十勝岳  北海道 2077m    百名山 


  

200985

 雌阿寒湖の登山を終えた後、再びハンドルを握る。今度は今回の旅行中一番の長丁場のドライブとなる。実は昨晩、次のターゲットをどこにするか悩んでなかなか決まらなかった。トムラウシに挑戦するか、十勝岳(プラスもし出来たらロープウエイから旭岳ピストンも)の2つの選択肢を考えた。天候には恵まれそうだし、体調も悪くないので歩行時間の長い前者であっても、勝算はあると思えた。問題は下山後、帰りのフライトを予約した女満別空港のチックイン時間に間に合うかという点。悩んだ末、無難な十勝岳としたが、結果的にこの山にしておいて良かったことになる。

 話しを戻して阿寒湖から十勝岳連峰へのルート、大雪山系を層雲峡経由北回りと帯広経由南回りの二通りのアプローチがある。土地勘がないのでカーナビにお伺いを立てることにした。距離優先かつ一般優先でルート検索した結果、南周りのルートで行くことにした。昔は地図を片手に、それでも道に迷って大変な思いをしたものだが、
GPSのおかげで何も考えずに目的地にたどり着ける。便利な世の中になったものだ。今回の旅行で重宝したのは、一番にカーナビ、二番に山中の行動食となったコンビニのお握りである。ナビの指示通りに帯広から富良野を越えて白金温泉へと向かった。宿が決まってなかったので途中でガイドブックにも紹介されている某ホテルに電話すると、もともと一泊1万円と高い上、お一人様の場合、通常料金の5割り増しとのことで、あっさりと諦めた。目的地に到着後、食堂つき民宿に空き部屋を尋ねるが一人部屋は塞がっていると断られる。次に見かけはパッとしない「銀瑛荘」に行くと近くのホテルの凡そ3分の1の値段で部屋が確保できた。温めの露天風呂にゆっくり浸かった後、夕暮れの道に車を走らせ登山口の望岳台を下見した。2段に別れた広い駐車場にはキャンピング仕立ての車が何台も停まっている。こっそり観察させて頂くとオーナーは、いずれも団塊の世代と思しき中高年ばかり。たくましき同世代のオジサン達に秘かにエールを送りつつ宿へと引き返した。



夜明け前の十勝岳



望岳台からの十勝岳、天気は上々だ



 翌朝例によって
4時過ぎには宿を出て昨日下見した登山口へと向かう。登山者名簿を見ると本日も一番乗り。出発435分、下山予定10時と記帳し歩き始めた。天気も上々で目的の十勝岳、富良野岳などもすっきりと見えている。これまでの山々とはえらく様相が異なり、樹林帯が全く無い。ごつごつした火山礫の登山道を快調なペースで登り、噴火口跡で軽く休憩したのみで最後の急登を一気にクリアして710分に頂上に立った。頂上からはと十勝連峰の山々、美瑛岳や富良野岳、遠くに雲海上に霞む大雪山系の全貌が見渡せた。目を転ずれば先日ツアー客大量遭難があったトムラウシもかなたに聳えている。


登りの一コマ



ここは火星?




十勝岳山頂



美瑛岳の奥は大雪山系?



十勝岳は荒涼としているが周囲の山々は緑だ



 
体調も申し分ないので、この調子なら旭岳も往復できると帰路を急ぐことにした。9時前に望岳台帰着を目標に急ぎ足で下り始める。山頂直下をいずれもハイペースで登ってきた単独の登山者2人と行き違った。その頃になって右足太もも上部(大腿四頭筋?)に何となく違和感を覚えたが、特に気にせず下り続けた。3人目の登山者とすれ違った直後、火山礫に足を取られて左足がスリップ、思わず右足で堪えようとした途端、右足の太ももに激痛が走った。しばらく休んだ後、ゆっくり歩を運ぶが、痛みは治まらない。途中再びスリップして2度目の激痛に思わず悲鳴を上げる。右足のふんばりが利かず痛さのあまり脂汗が出てきた。3度目をやったら歩行不能になると思い、しっかりした足場を見定めてさらにゆっくりしたペースで下る。眼下には望岳台が見えているが、もどかしいほど遠くに感じられる。


永遠にも思えた下り路




 当初計画した旭岳行きは論外となった。行程の長いトムラウシで同じ故障を起こしていたらどうなっていただろう?十勝岳にしておいて本当に良かった。激痛の原因はおそらく大腿四頭筋が傷ついたか、軽い肉離れなのだろう。3日連荘の山歩きで本人が自覚している以上に疲労が蓄積していたに違いない。やはり若い頃とは違う、無理はできない齢なのだということを文字通り「痛感」した。皮肉にも天気は上々。かんかん照りの太陽に首筋を焼かれストックに縋りながらとぼとぼと、無限に遠いと思えた望岳台の駐車場にようやく帰りついた。時刻は935分、ほぼ登りと同じ時間をかけて下山してきたことになる。すぐに短パンに履き替え、水で冷やしたタオルを太ももに当てながらハンドルを握った。途中何回かタオルを水に浸し太腿を冷やしながら一路網走へ向けてひた走る。幸い、しばらくすると痛みもやや治まってきた。

 旭川で「くさび」というラーメン店に偶然入ったが、これが大当たり。おそらくこれまでの生涯でトップ
3に入る旨い店だった。ちょい辛の黒味噌ラーメンにしっかりした味付けのチャーシューは絶品だった。すっかり満足した後は再びゆっくり車を走らせ、サロマ湖、能取湖、網走湖を経由して女満別空港へ夕刻到着した。5日間で約1000Kmを走行したことになる。2030分のフライトに搭乗、東京の自宅へは真夜中に帰着した。今回の遠征では結局比較的楽な山ばかりを歩いてきたので、残るは大物ばかりになってしまった。幌尻岳、トムラウシにいつチャレンジするか、一週間経っても足の痛みはまだ治まっていないが、もう次の計画に向けて頭は一杯になっている。

行動時間    5時間
歩行時間    4時間30分
標準CT     6時間55分

一日目   二日目   三日目    四日目     
羅臼岳   斜里岳  雌阿寒岳  十勝岳         
 
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