斜里岳  北海道 1547m    百名山
 


  

200983

 羅臼町のまるみ旅館を未明に出発し、昨晩同様の土砂降りの雨のなか、海岸線沿いの国道335号線を走る。牧場地帯を一直線に貫く近道から知床半島の付け根を横断する国道244号線に入る。北海道を車で旅行してつくづく感じるのは、道路が例外なく非常によく整備されていることだ。補修工事もいたるところで行われている。こうした公共インフラにはかなりの税金が投じられているに違いないが、どこに行っても交通量(利用者)が非常に少ない。がらがらの快適な道でドライブさせてもらって物申せる立場ではないが、これだけ立派なインフラの費用対効果はどうなっているのだろうと考えてしまう。北海道の公共投資の地元負担率は僅か10%であり、残り90%は国庫から出ているとも聞いた。と言うことは私も納税者の一人として胸を張ってドライブを楽しんでもいいのかもしれない。しかしやっぱり無駄じゃないのか、などと考えているうちに清里町に到着した。雨は既に上がっているが、山は深い雲に閉ざされている。立派な清岳荘脇の駐車場に車を停めた。ふと隣を見ると千葉県ナンバーのバンであり、昨日の羆遭遇事件の御仁の車だった。登山者名簿に記入し530分に歩き出す。

 一旦林道に出てしばらく進むと一匹のシマリスが足元を横切った。流石野生動物の宝庫だ。沢沿いの道を何回か渡り返しながら上流に向かう。下山後、隣に車を停めていた首都圏からの登山者から聞いた話であるが、前回は雨で水量が多くて断念したとのこと。幸い前日の雨にも拘らず、今日はほどほどの水量で靴が水に浸かることもない。

 下二股で尾根筋を通る新道と分岐するが、計画通り旧道の沢コースをとる。流れを渡り返しながら高度を上げていく。羽衣の滝、方丈の滝、竜神の滝など見事な滝が次から次に現れ、飽きることが無い。気掛かりな天気もガスが次第に晴れて青空も見えてきた。日の光を浴びた滴がきらきらと輝き辛い登りを忘れさせてくれる。ネットの下調べでもこのコースは高く評価されていたが、十分頷ける。鉄分を含んだ赤い岩肌を流れる水が次第に細くなったところで新道と合流した。



 
ここから胸突き八丁のガレ場を登っていくと空が一気に開け、馬の背に飛び出た。ここから一息つく間もなく左手に聳える斜里岳への最後の急登を終えると、広々した頂上に立った。時刻はちょうど8時。数パーティが休んでいたが、よく見れば皆さん見覚えのある顔で羅臼岳から転戦してきた方ばかり。昨日の羆事件の5人組み、千葉の百名山ハンター氏とも再会した。天気もまずまずで、オホーツク海沿いに広がる斜里の街並みや、羅臼岳、三ッ岳、サシルイ岳、南岳、硫黄山など知床連山が遠望できた。残念ながらその他は初めて眺める山々ばかりで同定できなかった。





 先行者が三々五々下山していくなか、千葉の御仁としばらく話し込んだ。曰くボックスカーを駆って7月初めの伯耆大山を皮切りに北上しながら虫食い状態で残った名山を一気に片付け、残り5山まで来たとのこと。「次は二百名山ですね」と水を向けるとこんなしんどい行脚は百名山で打ち止めにする由。同氏と別れを告げ、一足先に帰途は泥だらけの新道を一気に下る。旧道と合流してからは、再び渡渉の繰り返し。最後の流れで泥まみれの登山靴を洗った。林道に出たところで再びシマリスが出迎えてくれた。北海道には蝦夷リスという種もいるらしいが、これにはシマ模様が無いので私が見たのはシマリスと断定してもよさそうである。清岳荘帰着は1040分。実歩行時間4時間40分の山旅であった。着替えを済ませたところで千葉の御仁が到着したので、ボックスカーの中を見学させてもらう。お手製のベッドやデスクが設えてあり、登山用品や食料品がきちんと整頓され、限られたスペースを最大限有効に活用しているのに感心した。これから利尻へ向かうとのこと。再び同氏と別れを告げ、次の目的地、阿寒湖とへ向かった。

行動時間    5時間10分
歩行時間    4時間40分
標準CT     6時間50分



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