雌阿寒岳  北海道 1499m    百名山
 


  

200984

 斜里岳登山を終えて再びハンドルを握る。時間に余裕があるため、摩周湖へ立ち寄ることにした。カーナビをセットし、391号線を進む。途中でキタキツネに出会った。道路の真ん中でのんびり寛いでいる。手の届きそうなところまで近寄っても平然と逃げる様子もない。まだ子狐なのだろうか、結構可愛いが、エキノコックスが怖いので触るのはやめよう。空いた道を快調に飛ばし、いかにも火山然とした硫黄山を右手に見て川湯温泉から52号線へと入る。摩周湖畔を一望する展望台で車を停め、しばらく雄大な景色を楽しんだ。摩周湖からの下り道は、後続の車に次々に追い越されるが法定速度を守りつつ、景色を楽しみながらゆっくりと走る。それでも午後2時過ぎには阿寒温泉に着いてしまった。予約していた阿寒ロイヤルホテルでは部屋の用意がまだ出来ていないとのこと、時間つぶしにしばらく温泉街をぶらつくことにした。土産物屋何軒かを冷やかすが、どこもかわり映えのしない没個性の木彫りばかりが並んでいる。40年前に貧乏バイク旅行で訪れた頃と何も変わらないではないか。もう少し創意工夫があってもいいのにと思う。1時間待たされようやくホテルにチェックインした後は、温泉に直行する。今まで温泉なぞに好んで行こうとする人の気が知れなかったが、どうも今回の遠征ですっかりやみつきになってしまったようだ。簡単に夕食を済ませて横になると頭を枕に落として2,3秒もしないうちに爆睡状態となった。

 翌朝は朝
4時前にホテルをチェックアウトした。「これから札幌にセールスですか」とホテルマンに聞かれる。早出の客にはその手のセールスマンがいるらしい。一応登山の格好をしていたのだけど。車にアタッシュケースならぬアタックザックを積みこんでホテルを後にする。上空を見ると次第に明るくなってきたものの、雲が重く垂れ込めている。足寄国道から野中温泉へと向かい、ホテルから30分ほどで登山口に到着した。435分に登山者名簿に記入するが、本日の初登山者だった。根っこが絡み合う赤エゾ松の林の中を進み、徐々に高度を上げていく。すぐに這松帯となるが、夜露でびっしょり濡れている上に登山道に覆いかぶさっているため、あっという間に全身ずぶ濡れになった。


オンネトーを眺める

 先行する者は誰もおらず、雄大な自然の独り占めできることは有難いが、文字通りの露払いは辛い。樹林帯を出ると次第に硫化ガスの臭いが鼻に付くようになってきた。天気も懸念していたほど悪くない。下界は完全に雲海に覆われているが、幸い上方はすっきりと晴れている。ゴーゴーという蒸気の噴出音も聞こえ始めると頂上まであと一息で、620分に雌阿寒岳の頂上に立った。荒涼とした火口と蒸気の噴出を眺めながら、地球は生きているということをまさに実感できた。火口付近にはイワツバメが多数飛び交っているが、硫化水素の渦巻くなかで良く無事でいられると思う。


噴煙をものともせず飛び回るイワツバメ


ここは地球ではない?



あっさり着いた頂上



火口



阿寒富士を眺める




オンネトー国設野営場



 
雄阿寒岳は一時顔を出したが、殆ど雲のなかで姿が拝めない。代わって進行方向正面にはコニーデの阿寒富士がすっきりとよく見える。下りにかかると小石状の火山礫岩で何度かスリップする。ビブラムのソールが大分磨り減っているのかなと注意が逸れた隙に大きく足を取られ見事に尻餅をついてしまった。本日第一回目の失態。阿寒富士との鞍部近くで初めてオンネトー野営場からの登山者と行き会う。ここから再び森林帯に入り単調な道を下る。途中大声で歌いながら登ってくる若いカップルとすれ違った。結局この山旅で出会ったのは3名だけであった。野営場には750分に到着した。ここからキャンプ地のなかを抜けてオンネトー湖畔沿いをしばらく進み、再び山道に入る。赤エゾ松の森のなかを露だらけの下草に悪態を付きながら、歩を進める。しかも終始上り勾配の道であり、頂上から往路をピストンしなかったことをちょっと後悔した。50分ほどでようやく野中温泉の屋根が見えてやれやれと気が緩んだ途端、濡れた桟橋で滑って見事に尻餅をついてしまった。本日2度目の失態。おまけに片足を泥濘のなかに突っ込んでしまった。途中靴の汚れを落としたりしながら、野中温泉へは840分に帰着した。実歩行時間3時間50分で大自然を殆ど独り占めの雌阿寒岳山歩きを終えた。

行動時間    4時間5分
歩行時間    3時間50分
標準CT     4時間50分



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