燧ヶ岳BC   2356m 福島県            
 


2018年3月13日(火)

 南会津の山々はどこも山スキーの好適地。昨春、大戸沢岳三岩岳などを訪れてすっかりこの山域の虜になってしまった。今年は暖かい日が続き雪解けが早そうなので、前回より一か月前倒しして再訪することにした。初日の予定は燧ヶ岳。

 前日に桧枝岐の観光事務所に電話して除雪状況を確認すると、開通しているのはミニ尾瀬公園迄とのこと。そうなると問題は長いアプローチ。一昨年に群馬県側の尾瀬戸倉から日帰り往復した際の移動距離は往復40Km。大清水まで自転車が使えたので実際歩いたのはその半分程度だったが、どうやらこの時期、福島県からだとそれ以上の歩きを覚悟せねばならないようだ。

 ♪春が来れば思い出す 遥かな尾瀬 遠い空♪

 日付が変わる前に自宅を出発。眠い目をこすりながらハンドルを握り一路桧枝岐へ。ミニ尾瀬公園に着くと、案内通りここで通行止めになっていた。早速支度をして午前4時30分に車を後にする。


ミニ尾瀬公園で通行止め(下山時撮影)


 通行止めでも除雪は進んでいるのではという淡い期待はあっさり裏切られ、完全な雪道でのっけからシール登行を強いられた。歩き心地の悪いスノーモービルの軌道跡を避けて道路脇をハイクアップ。暗闇の中、ヘッデンを頼りに黙々と歩き続ける。キリンテ橋辺りで夜が白み始めたため、ヘッデンオフ。出発から1時間15分かけてようやく七入に着いた。4年前に泊まった七入山荘はまだ深い雪に埋もれていた。


夜明けとともに浮かび上がる燧ヶ岳 それにしても遥か彼方。。。


 この先は一段と斜度が増し、国道はヘアピンカーブの連続となる。時短のためにはショートカットが必須。事前に予習してきたルート取りが奏功するかどうかちょっと心配だったが、最初の二回は難なく近道成功。次のショートカットは道路に乗り上げる最後の部分が雪壁になっており、突破するのにえらく苦労させられた。


ここは左手からショートカット


 この先暫くはフラットな国道歩き。適当なところで国道352号を離れ、モーカケ沢を右岸に渡った。この辺りブナ平の名称通りブナの大木が美しい、とても雰囲気の良い森だ。


この辺りから左に逸れてモーカケ沢を渡る


 沼山峠方面への林道をクロスすると、正面に真っ白な燧ヶ岳がズームアップし、否が応でもモチベーションがアップする。メラッパシ田代、東ノ田代を過ぎると前々日に降ったと思われる新雪で足首程度のプチラッセルを強いられるようになった。熊沢田代の台地を右に見ながら窪地にルートを取って登り続ける。


癒しの空間 ブナ平



メラッパシ田代より燧ヶ岳を望む



東ノ田代手前の急登



東ノ田代より



沢地形の中を登り尾根筋へ


 尾根筋に出てほどなく樹林限界を抜けた。愈々燧ヶ岳への最後の登りだ。雪面がかなり硬くなってきたのでクトーを装着。しかしそれも長くは続かない。標高2200mを越えると、クトーの爪がきしみ、ウイペットのピックが僅かしか刺さらない程のハードバーンなってきた。山頂まで標高差で残すところ100mほどだが、シール登行はもはや限界だ。ハイマツの安全地帯の中でアイゼンに換装し、板を背にした。


氷化斜面が出てきた


 スタートから7時間35分、2年ぶりに柴安ぐらの頂に立った。ここまで全くのノートレース状態。すぐ隣に聳える俎ぐらの急斜面にも足跡は見られない。絶頂を独り占めにし、悦に入っていると、何とスノーシューの登山者がひょっこり姿を現した。地元の方でスノーモービルで御池まで入ったらしい。まあ無風快晴の空の下、二人占めでも十分に贅沢だ。


俎ぐら山頂



柴安ぐらと至仏山



尾瀬沼


 滑降準備を整え、愈々スキーは登る道具から滑る道具への変身の時。12時30分、登山者に別れを告げ、滑降を開始する。氷化斜面は横滑りとジャンプターンで何とか凌ぎ、少しでも緩い雪面を探しながら滑る。少し標高を落としたところで登路より右手に吹き溜まりのスロープを発見。底つきながら熊沢田代や東ノ田代を見下ろしながら季節外れのパウダーランが楽しめた。


氷化斜面を避けながら滑降



吹き溜まりでまさかのパウダー


 東ノ田代に向かって沢地形に入ると途端に重い雪となった。陽光をたっぷり受けた雪面はグサグサでどうにもならない。ここは、お天道様から身を隠すように陰を渡り歩く日陰者となってツリーラン。


日陰者ツリーラン


 それでもやはりスキーは早い。メラッパシ田代まで40分ほどで降りてきた。この先はフラットな地形で重力は当てに出来ず、ヒールをフリーにしてクロカン歩き。やっとのことで七入まで下山しても、その先、ミニ尾瀬公園まで3Kmの道程がえらく長かった。疲れた足に鞭打ちながら歩き続け、午後3時15分に無事出発地に帰着した。


七入に無事下山


 距離25Km、行動時間11時間弱に及ぶ長丁場ながら、無事ピークハントを果たせたし、下手は下手なりに滑降にも満足。それにスギ花粉の代わりにブナのフィトンチッドにどっぷり浸かることが出来たのは何よりだった。帰京した途端くしゃみ連発でしたが。。。


Gear  Dynafit Denali 168cm / Scarpa F1 Evo


  
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