三岩岳BC  福島県 2016m       
   

2017年4月15日(土)

 昨日は南会津町の温泉宿でゆっくり休養して疲れを癒した。今日の目的地は三岩岳。昼過ぎから雨模様との予報なので午前中が勝負となる。まだ薄暗いうちに宿を出発、小豆温泉スノーシェッド近くの広い路肩スペースに車を止めた。

 午前5時10分、板を背に車を後にする。まずは道路脇の胸の高さほどの雪壁を攀じ登るところからスタート。雪の締まり具合を調べながらスノーシェッド方向に歩いて登りやすそうなところを見定めた。どこもかなりの急斜面。三岩岳も南会津の山の例外ではない。いきなり容赦のない急登で始まるのだ。シール登行は端から諦め、シートラで登って行く。


小豆スノーシェッド脇を登る


 前日にこの山に入ったスキーヤーのシュプールが所々に残されていたが、雪切れで出来た段差を飛び越えたりして実に危なっかしい。雪を繋ぐのにかなり苦労したようだ。

 150mほど登ったところで急登は唐突に終わる。この899mピークにはNTTの中継所があった。ここから暫く起伏のある痩せ尾根が続く。既に地面がかなりの部分で露出しているので板はまだ下せない。


尾根筋は御覧の通りすっかり春の様相


 標高980mまで来たところで、ようやく雪がつながったのでシール登行に切り替えた。ザラメにシールが小気味よく効いてくれる。ジグザグを繰り返しながら高度を上げて行くと、遥か高みに白く輝く三ッ岩が望めるようになった。


ようやく雪がつながったのでシール登行



三ッ岩を遠望


 陽光が差し始めると俄かに気温が上昇し、どっと汗が噴き出てくる。裸同然の薄手インナー一枚になってもまだ暑い。我慢して黙々と登り続ける。やがて右手にこれまた白一色で端正なフォルムをした窓明山が姿を現した。暫くはこの美しい山を眺めながら歩き続けることになる。


窓明山


 スタートから3時間、ほぼノンストップで1699mピークに着いた。ここで小休止し、軽く栄養補給する。三ッ岩と現在地との高度差はそれほどあるように見えない。しかしそれは緩い斜度がだらだらと長く続くことによる錯覚。まだ300m以上登らねばならないのだ。


メローな斜面を登り続ける



同上


 1816m地点で前日のシュプールは途絶えていた。どうやらここから引き返したらしい。アイスバーンを心配していたが、それは杞憂だったようだ。昨日よりも高い気温のおかげで、アイスバーンは氷片がさらさらと滑り落ちる理想的なフィルムクラストと化していた。帰途の滑走が大いに楽しみだ。


山頂まで人頑張り


 黙々と歩き続け、9時10分に三岩岳の山頂に立った。単純標高差1350mにちょうど4時間を要したことになる。地図上の山頂に立ってみると、その先にももう一つピークがある。どう見てもそちらの方が若干高そうなので行ってみた。


ピークまでもう一息


 残念ながら昨日同様、視界は今一つだ。全体に靄がかかり、せっかくの大展望はくすんでしまっている。一応景色に敬意を表してカメラを向けるが、どんな絵が撮れるのか、余り期待できそうにない。


昨日の山々を振り返る



もう一つのピーク 三角点のある山頂より少し標高が高い


 山頂では長居せず、即刻シールオフ。9時25分、滑降を開始する。フィルムクラストのバーンは、昨日とは比較にならないほど滑りやすい。

 私好みのメローなスロープに加えて絶妙な雪質に大感激。息を整えるため立ち止まるだけで、15分もかからずに標高1580mまで降りてしまった。ここでスキーヤーのカップルが休憩していた。この後、誰とも出会うことは無かったのでこの日、入山したのは私を含め3人だけということになる。

 登行時には巻いた1308mピークを若干登り返して踏んでみた。これで方向感覚が乱れてしまったのか、その後、うっかり北東の支尾根を降りてしまった。幸いすぐにルートミスに気が付いたので、小沢を2本トラバースしただけで、登り返しをせずに本来のルートに復帰することができた。

 その後もツリーランを楽しみ、痩せ尾根まで降りたところで潔くスキーを諦める。板を背につぼ足でNTTの中継所まで歩いた。さてここからの激下りをどうするか。つぼ足のまま踏み抜きを量産するのは願い下げなので、やはりスキーを履くことにした。


最後は樹間も狭い


 細かいターンを繰り返しながら慎重に降りていくが、雪切れしている上に雪面が大きく波打っているところもあり予想以上に難儀だ。しかし、下方を良く観察するとスキーヤーズレフトの小沢は比較的雪がついていることがわかった。


小豆スノーシェッドの先にある駐車スペースに帰着


 私はゴールの一歩手前で気の緩みから怪我をしたことが何度もある。そのことを肝に銘じて慎重の上に慎重を重ねて、この小沢を最後まで滑り切った。10時50分、車に無事帰着。天気に恵まれ、アルプス方面とは一味も二味も違う静かな南会津の山を存分に楽しむことができた。心地よい疲労感に包まれ、じんわりと満足感に浸れるのは正に山歩きの醍醐味だ。


行動時間  5時間40分



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