会津駒ヶ岳BC  大戸沢岳BC  福島県 2133m、2089m       
   

2017年4月14日(金)

 4月も半ばを迎え、春山シーズン真っ盛り。3年前の会津駒ヶ岳以来、再訪の機会が無かった南会津を久しぶりに歩くことにした。この山域の特徴は、アルプス的峻険さとは対極的なたおやかさ。この女性的とも言える山容がとても気に入っている。今回の山歩きは地元の温泉に宿をとって二日がかり。初日は会津駒ヶ岳から大戸沢岳への縦走、二日目は三岩岳のピークハントと、ちょっと欲張った計画を立ててみた。

 早朝5時に下大戸沢スノーシェッドに到着。手早く自転車を組み立てて物陰にデポする。ここは大戸沢岳からの下山予定地。登山口の滝沢橋へ戻る足を確保しておくためだ。


下大戸沢スノーシェッド脇に自転車をデポ(下山時撮影)


 再びハンドルを握り滝沢橋へ。流石は日本百名山、会津駒ヶ岳登山者のために除雪された駐車スペースがあった。既に3台ほど県外ナンバーの車がとまっている。今日の山は貸し切りという訳にはいかないようだ。

 早速身支度を整えて5時40分にハイクアップ開始。国道から林道に一歩踏み込むとそこはもう完全な雪山。無雪期には夏山登山口(尾根取り付き点)まで導いてくれる立派な舗装道路は、まだ深い雪の下だ。


ハイクアップ開始


 雪面は朝の冷え込みで固く締まっているので、シートラーゲンで行く。林道をそのまま進むと竜ノ門分岐辺りは雪崩危険地帯。3年前の4月に訪れた際、雪崩防止柵を突き破った全層雪崩の生々しい跡を目にしたところだ。そんな剣呑な夏道は敬遠するに限る。


冬道を行く


 冬道は上ノ沢左岸沿いに暫く進み、南斜面から尾根に向かって直登する。雪面は適度に固いので、アイゼンが必要なほどではない。かなりの急斜面で時には四つん這いになりながら、標高差150mを喘ぎ登り尾根筋へと出た。この山に限らず南会津の山は、なだらかな上部とは対照的に取り付きがえらく急だ。


支尾根を登る


 広々した尾根は緩やかで気持ちの良いブナの森。フィトンチッドを全身に浴びながら登って行く。暫くして先行の単独氏をキャッチアップ。その頃から前日に降った雪で足元が沈み込むようになってきた。標高1500m辺りでシートラからシール登行に変更。


広々して気持ちの良い尾根


 樹相がオオシラビソに代わる頃、今度は下山者1名とすれ違った。もう山頂に行ってきたのですかと聞くと、6合目から引き返したのだそう。標高2000mを越えるともう駒ヶ岳は指呼の距離だ。単独スキーヤーが山頂直下を滑っているのが見えた。




燧ヶ岳



会津駒ヶ岳(右のピーク)


 駒の小屋はバイパスし、トラバース気味に山頂へ直進する。雪面は氷化部分と新雪がまだら模様になっている。新雪部分を拾いながら、シール登行を継続する。山頂に向かっていよいよ最後の登り。ここで快速の単独スキーヤーが追いついてきた。


快速スキーヤーが先行する


 9時40分、3年ぶりの会津駒ヶ岳山頂に到着。山頂標識がちょこんと頭を出しているのがご愛敬だ。健脚のスキーヤーは郡山在住の方で、何と今年古希を迎えられるのだとか。年を経るごとに同年代の山友が次々に脱落、最近は単独が多くなったので冒険出来ないとこぼしていた。


辛うじて頭を出している山頂標識



三岩岳と大戸沢岳(右)



雪に半ば埋もれた駒の小屋


 同氏に別れを告げて滑降開始。氷化斜面をおそるおそる滑り降りる。当初、北面の御神楽沢源頭部を滑走し、大戸沢岳に登り返す予定にしていたが、どこもかしこもアイスバーンだらけでスキーにならない。御神楽沢は諦め、大戸沢岳まで稜線通しで行くことにした。


稜線というより高原



会津駒ヶ岳を振り返る


 この辺りは稜線というより、広大な雪原と呼んだ方が相応しい。しかしフラットなようでもやはり起伏はある。下りきったところで小休止。アイスバーン上では僅かな登りでも滑って難渋するので、面倒でもシールを貼った。

 10時35分、大戸沢岳山頂に到着。どこが最高点か分からないだだっ広い頂だ。早速シールオフして滑降Go。噂に聞く無木立の大バーンだ。幸い東向き斜面なので雪も適度に緩んでくれている。しばらく滑り降りたところで現在地を確認。かなり北東尾根寄りに降りてしまったので東に進路修正した。


大バーンを滑り降りる


 ダテカンバやシラビソが疎らに点在する大斜面は快適至極。標高1850m辺りまで下ったところでシール登行する単独スキーヤーと出会った。彼は山頂から北東尾根経由、下大戸沢に降りるとのこと。既に沢割れしているので渡渉も覚悟の由。尾根筋をまったり滑り降りる私とは気合いの入れ方が違う。


大斜面を登るスキーヤー



北東尾根を滑る


 標高が下がるとともに雪質も低下してきた。ザラメになりきらない春の重雪。それでなくとも重い上に、不意に急ブレーキがかかったりするので踏ん張る太腿がパンパンだ。幸い悪雪は長くは続かず、さらに下降すると待望のザラメが登場してきたので、快適な滑走が楽しめた。最後は少々樹間のつまったツリーラン。ツリーホールに嵌らないよう慎重に滑走を締めくくる。


同上



いよいよ終盤


 11時50分、雪を繋ぎながら一度も板を外すことなく、スノーシェッドに帰着した。自転車の代わりに今度は板とザックをデポし、スキーから自転車に乗り替える。颯爽と漕ぎ出したのは良いが、何を勘違いしたのか、逆方向に1Km以上下ってしまった。方向音痴にも程がある。ルートミスに気が付いた地点から滝沢橋までは約5.5kmの登り坂。えっちらおっちらペダルを漕ぎ、12時30分、滝沢橋に帰着した。


行動時間 6時間50分



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