焼岳  長野・岐阜県 2455m    百名山 

  

2010731

 今回の山旅は先々週に引き続いて北アルプス百名山めぐりの第二弾。メインは槍ヶ岳と奥穂高岳になるが、行きがけの駄賃にもう一山、焼岳にも寄ることにした。槍穂高はいずれも日帰り困難な山なので小屋泊りかテントを担いでの重装備登山になる。しかしこの時期の山小屋はそれこそ布団一枚に二人や三人寝かされるような混雑が予想されるし、かといってテント背負って縦走するのもしんどい。結局得られた結論は、これらの山が日帰り圏内にあるテント場をベースキャンプにするということ。新穂高側には適当なテント場が見当たらないので、上高地から入って横尾をハブにすることにした。横尾の場合、到着当日に3時間ほど歩くだけになるのでいかにも勿体ない。話は長くなったが、こうした経緯から行きがけの駄賃としての焼岳になったわけである。

 午前
1時に自宅を出発、いつもはガラガラの真夜中の中央道が結構混雑している。今が夏のレジャーシーズンのピークかも知れない。国道471号線に入ってからも車は途切れることなく続いている。それでも渋滞にはまるようなことは無く午前5時に中ノ湯近くの登山口に着いた。道路わきの駐車スペースには既に20台ほど。運転席に人影が見えるのでどうやら皆さん仮眠中のようだ。梅雨明けからずっと好天続きであったのに昨日から雨模様、山々は厚い雲に覆われている。雨具上下、傘、スパッツと雨対策をしっかり準備して道路わきの新中の湯登山口から歩き出した。


熊笹のなかの道



 しばらくは道路と並行した熊笹のなだらかな道であるが、次第に勾配が増してくる。樹林帯のなかの道はぬかるんで泥んこである。そのうち雨がパラパラと落ちてきたので傘をさした。樹林帯を抜け出るとやや明るさが増したが、それでも濃い霧で視界は
10mほどであろうか。


霧で視界が利かない


 展望のきかない山はもはや消化試合、わき目もふらず黙々と登り続ける。次第に硫化硫黄のにおいともに火山ガスの噴出音が聞こえるようになってきた。稜線に着いたが焼岳小屋への分岐の道標はあるが山頂が見えない。ぼんやりと見えている右手のピークに登ってみたが、頂きには杭があるのみで明らかに焼岳山頂とは言えないようだ。小さなガスの噴出口に注意しながら分岐点へ引き返す。しばらくウロウロするうちにガスの噴出口の方にマーキングを見つけることが出来たのでそちらに向かう。ゴーゴーという火山ガスの噴出音がど迫力。辺り一帯は黄色く染まっている。


10m先も見えない、頂上もどこだか



火山ガスが噴出する頂上直下



全く視界の利かない頂上


 
頂上には焼岳小屋からという先着者が一名。昨日の西穂も深い霧で何も見えなかったとぼやいていた。行きがけの駄賃などという不遜な考えが山の神のご機嫌を損ねたのかも知れないななどと思う。いずれにせよ全く視界がきかない以上長居は無用、すぐに下山することにした。誰とも出会うことのなかった静かな登りと対照的に下りでは続々と登ってくるハイカーとすれ違うことに。百名山、しかも地味な焼岳にはジジババしか来ないのかと思っていたが、若い人たちや家族連れがたくさん登って来るので驚いた。眺望なしの山は汗をかいただけ。結局スタンプを押しただけのつまらない登山になってしまった。いつかリベンジしよう。車に帰着した後は靴を履き替えるのが常だが、今日は横尾まで歩くことになるので、泥靴のまま運転席についた。どうせ沢渡までは僅かな距離だ。沢渡の市営駐車場にはタクシーが一台待ち構えていた。タイミングよく到着した4人の観光客と相乗りできたので、800円也とバス代(1200円)よりも安上がりで済んだ。上高地のバスターミナルから重荷を背負って歩きだす。若い頃に山にハマっていたにも関わらず、上高地だけは訪れたことがない。その当時から観光地化していた上高地にはあえて背を向け、同じアルプスでも泥臭い南アに関心が向かっていた記憶がある。と言うわけで山のメッカとでも言うべき上高地に来れて感慨もひとしお。脳裏を過る万感の思いとともに梓川沿いの道を気持ちよく歩く。しかし、あいにくの空模様なので左手に聳えているはずの穂高のほの字も見えない。徳沢のキャンプ場に到着。テント場は緑の絨毯の上でとても快適に見える。しかしトイレが遠そうだ。


徳沢のテント場



横尾のテント場、正面が私のマイホーム



 
横尾キャンプ地には1時過ぎに到着した。徳沢に比べるとはるかにこじんまりとしているが環境は悪くない。さっそく宿泊の手続きをした後はビール販売機へ直行。飲みながらゆっくりテントを設営する。その後は河原でのんびり読書をして過ごした。それでも時間が余って仕方がないので再びビールを片手に周囲のテント族を観察する。意外に私と同世代のキャンパーが多いようだ。団塊の世代の行動パターンはいつも似ている。早めの夕食を済ませた頃、高校生たちが到着、にぎやかなキャンプ地になった。翌日はハードワークが待っているので7時過ぎにはシュラフにもぐりこむ。周囲の喧騒にもかかわらず、睡眠不足と疲れから10秒もしないうちに爆睡モードに入ることができた。

 

一日目      二日目     三日目      四日目
焼岳   →  槍ヶ岳 →   奥穂高岳  → 上高地(下山) 
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