立山BC       百名山
   

2013419日(金)~20日(土)

 GW前の比較的空いた時期を狙い、山スキーのメッカ立山で春スキーを楽しむことにした。第一目標は真砂沢。それが叶わない場合でも、せめて昨年極上の雪を体験させてくれた剱沢を再訪するつもり。真砂沢は長丁場でもあるし、一人では心もとないので大ベテランのKさんをお誘いした。

 結論から言うと、天候に恵まれず真砂沢は断念せざるを得なかった。それでも雷鳥沢界隈や剱沢のパウダー滑降を堪能して、今年も楽しく思い出深い立山スキーツアーとなった。悪天候のなか、経験豊富な
Kさんの的確な判断に救われることもあった。この場を借りて同氏には改めて御礼申し上げたい。


第一日目(419日)

 深夜に自宅を出発し、730分の始発には余裕を持って扇沢に到着。まだ連休前で、かつ平日のせいか、無料駐車場にある車の数はそれほど多くない。週末にかけて降雪予報が出されているため、念の為に出来るだけ出入り口に近い場所に車をとめた。

 改札所前で
Kさんと合流。この時間帯は団体の観光客まだ僅かだ。スノーハイカーや山スキーヤー、ボーダーの姿が目立つ。接続が悪く1時間半かかってようやく室堂に到着。十分な待ち時間があったので、途中駅の黒部平の展望台から針ノ木岳やスバリ岳等の迫力ある眺望を鑑賞することができた。


            まだ閑散とした扇沢                              黒部平より針ノ木岳


 しかし、高度を上げるごとに天気は下り坂。室堂に着いてターミナルの外に一歩出ると、辺り一帯は濃いガスに包まれている。

 昨年は称名川へ滑り込んで真っ直ぐに雷鳥平へと向かったが、今日は視界不良なのでスキーになりそうにない。大人しく旗竿に沿って歩き、まずは雷鳥荘に立ち寄ることにする。


          タンボ平、上部には濃いガス                          雷鳥荘もガスのなか


 雷鳥荘では、チェックインを済ませただけで部屋には上がらずに、早速下見がてら別山乗越へと向かう。雷鳥平への新雪滑降は快適だが、あっと言う間だ。

 滑り降りるのと時を同じくして、あれほど濃かったガスが嘘のように晴れて陽光が差し込んできた。暑くなりそうなのでアウターをザックにしまう。

 
1040分、ハイクアップ開始。どうやら先行者はいないようだ。新雪でリセットされた雪面にはトレースやシュプールは見当たらない。歩き出してしばらくすると、周囲は再び濃いガスに閉ざされてしまった。辛うじて見え隠れしている旗竿を頼りに沢の左側の尾根を登っていく。


        旗竿に沿ってハイクアップ開始                        ツボ足に切り替えたKさん


 シールも効かない急なクラスト斜面に差し掛かったところでツボ足に切り替えた。アイゼンの前歯が辛うじて刺さるくらいの氷化斜面もあれば、膝ラッセルの吹き溜まりがあったりと雪質は様々に変化する。

 狭い稜線を進んで行くと、ガスのなかから突如剱御前小舎が目の前に現れた。時刻は12時30分。滑降の準備をして暫く待機することにした。上空には時折太陽が除き、ガスが晴れるのではと淡い期待を持たされるが、それも一瞬のこと。直ぐにまた白いベールが降りてしまう。


         剱御前小舎に到着(中央部は水滴)                 剱沢側の小屋の陰で強風を避ける


 
1時間ほど粘ってみたものの、視界に変化はない。残念ながら今日は剱沢の滑降は無理のようだ。諦めて雷鳥平へ降りることにした。

 視界不良なので無難なところで(と最初は思った)、往路を辿って滑り降りることにする。私が先導して往路よりも少し下の雷鳥沢上部をトラバースし始めたところ、かなりの急斜面で、かつカリカリのアイスバーンの連続。転けないようにエッジを効かせようと必死に足を踏ん張っているので太腿が悲鳴をあげている。

 それにホワイトアウトで空間識失調を起こしているらしい。止まったつもりでもまだ動いていたりして完全に雪酔状態だ。せいぜい数分程度のことなのに、尾根に近い新雪ふかふかの斜面にたどり着くまでが実に長かった。

 この頃には視界も少し改善し登行する人達の姿も見えてきた。艱難辛苦の後は
打って変わってお楽しみタイム。ファーストトラックの斜面に大回りの弧を描いて快適な滑降を楽しんだ。


          雷鳥平への斜面はシュプールだらけ                    右が自分のシュプール



別山方面は相変わらず雲の中


 雷鳥平に降り立つと雄山や浄土山等の峰々が姿を現した。山崎カールを滑るスキーヤーも遠望できる。もう少し乗越で辛抱した方が良かったかなともの思いも頭をかすめたが、別山周辺には相変わらず濃いガスがかかっていたので諦めもついた。

 明日の真砂沢本番に備えて本日は店じまい。温泉にゆったり浸かった後は、
Kさんとビールを傾けながら山談義。大いに盛り上がって時間の経つを忘れるほど。夕食後は、前夜の睡眠不足に疲れと酔も手伝って、午後8時には就寝。頭を枕に置いたその5秒後には爆睡状態に陥っていた。

行動時間 5時間15分


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