剣沢BC           
      

2012519(土)

 春スキーもそろそろ旬を過ぎようとしている今日この頃。今シーズンの滑り納めはまだ訪れていないメジャーな山でと、言わずと知れた山スキーのメッカ、立山に行くことにした。

 いつものように深夜に自宅を出発。午前
6時前に扇沢の無料駐車場に車を乗り入れた。土曜日で時間も早いせいか、車の数はそれ程多くは無い。この日のトロリーバスの始発は730分、早めに並んでおいた方が無難だろうと手早く身支度をして駅へと向かう。改札1時間前にも関わらず、発券窓口前には既に行列が出来ていた。待っている間にも、観光バスが次から次に到着して、団体客が大挙して押しかけてくる。

 名物駅員の洒脱なセールストークを聞きながら、何とか始発に乗り込むことが出来た。トロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイ、再びトロリーバスと様々な移動手段を乗り継いで室堂に到着。時刻は既に
9時を回っていたので速攻でハイクアップを開始する。ターミナルから暫くは緩い登り、シールを付けずに板を担いで行く。前日積もった新雪でトレースを外すと膝辺りまで潜ってしまう。


           室堂ターミナルより歩きだす                          新雪で山は真っ白


 一ノ越へと向かうトレースをしばらく歩いた後、玉殿岩屋を左手に見る辺りから称名川へと滑り込んだ。新雪の重パウダーが気持ち良い。ターンが面白いように決まってくれるのが嬉しい。急斜面が終わると後はずっとだらだらした下りが続く。


              称名川へと滑り込む                          まるで厳冬期のようだ


 この時間の雷鳥沢はまだノートラックで、左手の尾根筋に登って行く人達がゴマのように見える。雷鳥平のキャンプ地を目前にした辺りで、シールを装着し尾根に取り付いた。すぐに斜度がきつくなるが、ザラメにシールが快適に利いてくれるので助かる。大汗をかきながらも休まずに歩き、
1時間15分ほどで別山乗越へ着いた。


           雷鳥沢はまだノートラック                        真砂岳方面にはトラックあり


 剣御前小舎前には頻繁にヘリが飛来して資材を降ろしていた。喧しいので休む気にもならず、ノンストップで乗越から剣御前への稜線の途中にある
2792mピークへと向かう。


           別山乗越までもう一息                          剣御前小舎へ荷揚げするヘリ


 乗越からは50m程の標高差なので10分もかからない。11時10分にピークに立った。ここから眺める剣岳は見事の一言。その威容と迫力には声も出ない。明日向かう予定の奥大日岳へのルートも良く観察しておく。雪庇が相当に残っているようなので要注意か。風も無く穏やかな山頂で雄大な景色を眺めながらのリッチなランチタイム。これだけでも十分満たされた気持ちになるのに更にスキーも楽しめるとは何という贅沢なのだろうか。


剣岳、手前は剣御前を登るスキーヤー



雪庇の連続する奥大日岳



滑降準備に余念のないスキーヤー達、背後には槍穂がちらっと見える


 このピークの先、剣御前に向かう人達もいて思わず我もと心が動くが、私の足前ではここで止めておいた方が無難と頭を冷やす。周りにいた人達も思い思いにドロップしていくので、私も滑降開始。これまで経験したことのない最上級の雪質だ。いつもなら腰が引けてしまうような急斜面も上手く滑ることが出来るし、引っ掛かることもなく小回りターンが気持ちよく決まってくれる。ワンランク上達したかのような錯覚に陥りそうだ。もう脳内ドーパミンの蛇口が開きっぱなしといった感じ。


剣沢へと滑り込む


 剣沢小屋まで一気に下ってしまった。さてどうするか。ここから下の剣沢にはシュプールは何本も付いていない。下った分だけ登り返さねばならないので、快感と労苦のトレードオフを考えないといけない。結局快感追及の本能に負けて滑降を継続することに。剣小屋の脇から急斜面を一気に滑り降りた。


剣沢小屋から剣岳の雄姿


 沢は
Vの字状に狭くなり、左岸の斜面にはデブリが出てきた。先行シュプールが無くなった高度2300m地点まで降りたところでストップ、ここから登り返すことにした。それにしてもスキーは早い。500mの高度差を10分少々で降りてしまったことになる。後から降りてきた単独スキーヤー氏は、更に先の武蔵谷との出合いまで降りて行った。壮大なデブリがあったのと雪質の変化を考えるとその辺りが限界だろうか。


                左岸のデブリ                      ここでストップ、つぼ足のトレースがあった


 暑さに閉口しながらまた
1時間半をかけて別山乗越まで登り返した。一休みした後、雷鳥沢に滑り降りる、、、つもりだったのだが、かなりの急傾斜に恐れをなしたのと、重いザラメでスキーが回りにくいので尾根沿いを大回りで滑り降りた。かくも短時間で雪質がこれほど劇的に変化するとは知らなかった。


       雷鳥平へ向けて滑り降りる                雪が重く板が回らない

 雷鳥平からは再びシールを貼って雷鳥荘へと
100m少々の登り。午後215分に雷鳥荘にチェックインし、本日の行動を終えた。後はお決まりの温泉とビール。夕食の際には隣り合わせた山スキーの大先輩Kさんとスキー談義をして楽しいひと時を過ごすことができた。たっぷり歩き、滑った疲れから早目に就寝し、大満足の一日目を終えた。


行動時間 5時間

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