立山BC       百名山
   
一日目より


二日目(420日)

 昨夜8時過ぎに就寝してから一度トイレに立っただけで朝まで殆ど爆睡状態だった。5時過ぎに起床。外の様子を確認するとすっきりと晴れており、今回のツアーで初めて屏風のように連なる雄山から奥大日岳への真っ白な山並みを一望することができた。

 しかし、
GPV天気予報をチェックすると、どうやらこの好天は長続きせず、昼前には立山一帯は雪になるらしい。であれば急ぐに越したことはない。食堂に一番乗りして朝食を済ませ、慌ただしく出発の準備を整えた。

 7
15分にスキーを履いて出発。雷鳥平へと滑り降りる。ボトムでシールを貼ってハイクアップ開始。昨日の新雪が落ち着いて適度に締まっている。立山らしい雄大な景色を眺めながら歩けて最高の気分だ。


           雷鳥平へと向かう                         ハイクアップの準備をするKさん




奥大日岳



昨日トラバースで苦戦した雷鳥沢上部


 標高が上がると雪面が少しクラスト気味になってきた。クトーを持参しなかった
Kさんは早々とシートラーゲンに切り替えている。私の方はスキー板直付けのViole製クトーの性能を試したいので、行けるところまで頑張るつもり。

 
2700mを越えると稜線も間近となり傾斜が一段と急峻になってきた。それに氷化している個所もあって明らかにシール登行の限界と言った感じ。しかし下部の傾斜は緩くなっているので落ちても大事には至らないだろうと、シール&クトーのままでチャレンジしてみることにした。

 クトーの歯だけが辛うじて引っかかる硬い急斜面を斜めに登行する。後
1mで突破できると一瞬気を抜いた隙に、スキーが滑って約10m(帰宅後GPSで確認)転げ落ちてしまった。直付けクトーの限界を身をもって学習する良い機会になったとは負け惜しみ。流石にもう一度トライする気にはならず、観念してアイゼンに履き替えることにした。

 狭くなった稜線を進んで
840分剱御前小舎に到着。周囲の景色を見渡すと、峰々の背景はいつの間にかどんよりと雲底が低くなっていて、風もどんどん強くなっている。雷鳥沢を吹き上げてくる強風を避けて昨日同様小屋横で休憩する。

 剱沢で幕営していた3人組が別山へ向けて登って行ったが、直ぐに引き返してきた。天候は予報通りにどんどん悪化しつつあるので、真砂沢滑降は議論の余地なく却下。せめて剱沢だけは少し滑って見ることにした。所々にあるアイスバーンを避けさえすれば極めて快適な雪質だ。ノートラックの広々したバーンを二人で心ゆくまで楽しんだ。


              剱沢幕営パーティ                           剱岳、少しご機嫌斜め、、、



               剱沢上部                                    滑降開始



            雪質は少し重いが最高                         安定感のあるKさんの滑り



往きはよいよい、帰りが怖い♪


 標高
2260m辺りまで滑降したところでストップ。デブリも出ていないし、雪質も安定しているのでもっと下まで降りることもできるが、天候悪化は時間の問題。この辺りで妥協して引き返すことにした。

 登るほどに風は強まり、早くも描いたばかりの
2本のシュプールが消えかかっている。剱沢小屋を過ぎると、別山乗越を越えて吹き降ろしてくる風をもろに正面から受けるので体が前に進まない。

 登り返し開始から
1時間半、何とか剱御前小舎に帰着。視界はすっかり閉ざされ、雷鳥沢からの風は益々凄まじい状況になっている。長居は無用、さっさと下山しよう。

 昨日のトラバースルートは懲り懲りなので、今度は
Kさんの先導で雷鳥沢を下ることになった。雪礫に備えてゴーグルを装着したが、目は保護できても、むき出しの頬に当たる雪礫が刺すように痛い。

 
1115分下降スタート。クラストした斜面をこわごわ10mほど下降すると、急斜面ではあるものの、スキー板をコントロールできる程度の雪質になった。ターンを繰り返す毎に視界も少しずつ改善し、ようやく滑降を楽しむ余裕が出て来た。昨日の滑走痕がクラストして引っかかることを除けば快適そのもの。15分少々で雷鳥平へと降り立った。


              雷鳥沢を滑るKさん                           雷鳥荘へ無事帰還


 時刻はまだ
11時半。さて今日はどうしたものか。翌日も荒れ模様との予報が出されており、スキーを楽しむ状況ではなさそうだ。Kさんと相談の結果、予定を一日短縮して下山することに決めた。

 再びシールを貼って雷鳥荘へと登り返す。預けた荷物を引き取って雪の降りしきる中を室堂へと向かった。立山ホテルやターミナル内は大勢の観光客でごった返し、中国語の飛び交う別世界。ほんの少し前まで居た厳しい自然環境との落差に唖然とするばかり。

 ともあれ、今回のツアーでは真砂沢滑降という目的こそ果たせなかったが、季節はずれの厳しい寒気の御蔭でパウダースキーを楽しめたし、冷や汗ものの貴重な経験も得ることができた。未熟でマイペースな私に同行頂いたKさんには格別にお世話になった。
またどこかお付き合い願えれば、望外の幸いです。


行動時間  5時間45分

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