平標山BC  新潟・群馬県 1984m    
  


2012
329


 この日は、移動性高気圧に覆われて雲マークのかけらも無い快晴の予報。前回神楽ヶ峰とセットで登る予定にしていて空振りに終わった平標山BCに再挑戦することにした。神楽ヶ峰や根子岳などリフトで高みまで運んでくれるラクチンBCとは違い、登っただけ滑り降りるオーソドックスな山スキーだ。滑降コースのオプションは色々あるらしいが、己の未熟さは良くわかっている。まずは無難な所でアプローチの容易なヤカイ沢の様子見から。

 午前
3時に自宅を出発、午前6時に起点となる三国小学校脇の駐車スペースに車をとめた。先着車は2台、そのうちの埼玉ナンバーの車から、ちょうど二人連れが出発しようとしていたので目礼する。いつものように、まずはしっかり腹ごしらえ。コンビニお握りやサンドイッチなどを詰め込んで120%充電を行う。次は装備。いつものアイテムに加えてアイゼンを追加した。諸先達の山ブログを拝見すると、この時期上部はアイスバーン状態との報告が多かったからだ。それと日焼け対策、前回の神楽ヶ峰では日焼け止めを忘れてすっかり逆さパンダになってしまった。今回は入念にクリームを塗っておく。

 
630分に車を後にした。先行者の足跡を追って小学校裏をショートカットし、別荘地へと続く林道に出た。道はきれいに除雪されているが路面には薄っすらと雪。どうやら前日の低気圧通過で積もった雪らしい。シールを付けて歩ける程ではないので板は肩に担いで行く。


          三国小学校裏から歩きだす                       素晴らしい快晴が期待できそう


 ほどなく林道の終点に到着。ここでシールを装着しハイクアップを開始した。先行者は何人もいるらしい。しっかりしたトレースがついている。しばらくヤカイ沢沿いを進み、平標山の家への道の分岐と思われる地点から正面の尾根の左側に回り込んで行く。ここで単独の中年テレマーカーに追いつかれた。相当に早いベースだ。歩くと言うよりもリズミカルにスキーを滑らしている感じ。あっという間に姿が見えなくなってしまった。


           ここからハイクアップ開始                        神々しい眺め、期待に胸が膨らむ


 密度の濃い林が開けてくると朝日に照らされた真っ白なお椀のすり鉢のようなヤカイ沢が目に入ってきた。左側に続く送電線の鉄塔のある尾根筋は、昨年仙ノ倉への行き帰りに歩いた道だ。しばらくして休憩中の
5~6人の山スキーのパーティに追いついた。この人たちも見るからに山岳会系で兵ぞろい。


            ヤカイ沢へと入って行く                             次第に疎林に



ヤカイ沢の全貌、右の尾根に取り付く



            先行者の姿が見えた                          トレースを追って尾根へ


 高度が
1400m辺りから一段と傾斜がきつくなってきた。この辺からは皆さんそれぞれ好みのルート取りをしているようでトレースが幾つかにバラけている。一番左側のトレースを拾って辿っていくと、駐車場で一緒だった二人連れに追いついた。しかしこの辺りが私の限界だった。傾斜はどんどんきつくなってきたことに加え、新雪の下に硬くクラストした層があるので、表面の雪を削り取るばかりでちっともシールが利いてくれない。それに私の危なげなキックターンでは、急斜面のスイッチバックがうまくできないのだ。結局、どこまでも斜めに登っていく情けないルート取りになってしまった。

 先ほどの二人連れは手慣れたものでスイッチバックを繰り返しながらジグザグに進み、どんどん先に行ってしまった。私の蟹の横這い歩きも、いよいよカリカリのアイスバーンが現れて万事休すになった。ズリ下がるばかりでちっとも捗らない。クトーがあればと思うが無いものは仕方なし。もたもたしている私を尻目に、先ほど追い抜いた山スキーの団体さんもさっさと先に行ってしまった。

 まだ樹林帯の
1600m地点で早くもスキー歩行をギブアップ。重い板を背負ってつぼ足で歩くことになってしまった。念のため兼用靴にアイゼンを履かせておく。つぼ足では荷重面積が狭くなるせいか、雪面がクラストしているようでも踏み抜いてしまう。しばらくは己の未熟さに涙しながら、膝ラッセルに耐えた。吹き溜まりも遇ったりしてペースは一向に上がらないが、下手なシール登行より余程ましだったかも知れない。


         重い板を背負って歩くトホホの姿                          いよいよ尾根筋間近



             クラストした雪面                              苗場山方面の展望


 
1700m辺りでようやく樹林帯を抜けて吹きさらしの尾根に出た。背負ったスキーが予想以上に風で煽られるので、ストックでバランスを取りながら歩く。目の前に真っ白なご飯茶わんを伏せたような仙ノ倉山がショーアップ、1年ぶりの再会だ。平標山から続く稜線に二人連れが早くもゴマ粒のような黒い点になっている。仙ノ倉山ピストン、それともシッケイ沢へドロップ?。


仙ノ倉山


 クラストした雪面を拾いつつ、
1025分、標山頂上に立った。1000mの標高差に4時間近くもかかってしまった。山頂では団体さんが滑降の準備に余念が無い。皆さん熟練のBCスキーヤーと見えて足回りは揃ってごっついファットスキー。彼らは粛々と西ゼンにドロップイン、美しい円弧を描きつつ滑り降りて行った。


             山頂までもう一息                          山頂で滑降の準備をする人達



先週遊んだ神楽ヶ峰と苗場山



谷川岳方面



仙ノ倉山方面


 そんな様子を暫く見ていたが、体が冷えてきたので私も滑降開始。但し殆ど往路を辿る安全第一のヤカイ沢コースだ。最初のうちはアイスバーンだらけでスキーにならない。登ってきたルートの、やや左側(東側)には雪がたっぷりあって滑りやすそうだ。登りとは真逆に雪のふかふかしていそうなところを選んで滑る。重いパウダーながら板も操縦可能で、転びもせずなかなか快調。尾根筋を一気に下って樹林帯のなかへと突入した。急斜面だが木々が疎だし、他人のシュプールが全く無い白無垢の雪面。最高のツリーランだ。


        尾根筋を滑降、登行中の人が見える                       気持ちの良いツリーラン



             シュプールを振り返る                       このまま沢沿にコースを取る


 登行ルートとクロスした後はヤカイ沢の流れに沿うように緩やかに滑っていく。そのうちねばりつくような重雪になって板が滑らなくなった。高度を下げた分、気温も高く、腕力頼みで漕いでいくので大汗をかいてしまった。最後は林道の終点直下の沢筋に出て本日のお楽しみは終了。
4時間かけて登った山を1時間足らずで滑り降りてしまった。やはりスキーの機動力は大したものだ。

 それにしても今回も課題だらけだった。シール登行が未熟なのに加えてクトーが無ければ、クラストした斜面で手も足も出ないことが良くわかった。クトー無しで苦闘なんてシャレにもならない。また追加投資が必要になりそう。それに今回は両足の踵の靴ずれが酷かった。何とか対策を考えねば。


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