2012年3月22日
湯沢の温泉宿に一泊して、谷川岳界隈の人気の山、神楽ヶ峰と平標山をスキーで歩こうと欲張った計画を立てた。3月21日、午前7時にかぐらスキー場の駐車場に到着。車中泊の車の屋根やボンネットにはこんもりと雪が積もっている。これならノートレースのBCを楽しめるかなと期待しつつ身支度を整えていると、非情にも「強風のため、かぐら第一高速リフトから上は全て運休、田代エリアは全面閉鎖」とのアナウンス。
今日は天候回復との予報であったが、当てが外れた。それでも一応シールやツエルト等、BCの用意をしてロープウエーに乗り込む。リフトを乗り継いでかぐらゴンドラリフトへ。確かに上に行くほど強風凄まじく、風切り音とともにゴンドラが振り子のように揺さぶられる。辛うじて稼働している第1ロマンスリフトの降り場周辺はもはや地吹雪状態。視界も閉ざされているし、リフトも度々停止するような最悪の天候だ。とてもBCどころではない。
仕方ないので様子見がてら、テクニカルコースでオフピステの練習に励んだ。深雪のなかをもがきながら滑り降りた後はスキーを担いで第1ロマンリフトまで登ることの繰り返し。天気は好転しつつあるが、その足取りは遅く強風は一向に治まらない。結局この日はギブアップ。早めに切り上げて湯沢市内の宿でのんびり温泉につかることにした。
翌朝、空を見上げると高曇りながら視界は良好だ。予報では何とか午前中いっぱいは天気が持つらしい。再びかぐらスキー場へ出直し、ロープウエーに一番乗りした。リフトを乗り継ぎ、昨日は叶わなかった第1高速リフト降り場に立った。今日は仙ノ倉や平標山など屏風のような谷川山系の山々が一望できるし、風も穏やかだ。
高曇りだが展望に恵まれた
この先の第5ロマンリフトはまだ準備中とのことなので、ここからハイクアップすることにした。正面の樹木が点々とする尾根を目指して広々した雪原を歩きだす。この辺りは昨日風が相当強かったとみえてカリカリのアイスバーン状態だ。尾根への登りになると一転して深雪の雪面となり、スキートップが沈み込むようになった。
第一高速リフト降り場にて ハイクアップ開始、正面の尾根へと向かう
自分のトレースを振り返る 田代方面を望む
ようやく動き出した第5リフトを右手に見ながら更に高度を上げていく。トレースの無い白無垢の雪原を気持ちよくラッセル。稜線に出る直前にずっと右側にルートを取っていたテレマークのカップルに追いついた。そこからは僅かな距離でピークに到着。ここはニセ神楽と言うらしい。
本物の神楽ヶ峰にやや遮られているものの、頂上がすっぱり切り取られたような苗場山の眺めが素晴らしい。目を転ずれば仙ノ倉山を初め上越の主だった山々が一望できる。今回はピークハントが目的ではないので、目と鼻の先にある本物の神楽ヶ峰は割愛し、中尾根へと向かうことにする。
白無垢の雪原を行く
仙ノ倉山方面をバックにトレースを振り返る テレマーカーに追いついた
神楽ヶ峰と苗場山
右側が1984mピークと中尾根
正面の尖ったピークは鳥甲山か
シールを剥がして下降開始。下を眺めると私がラッセルしたトレースの上を何パーティも進んでくる。近くで見るとトレースはしっかりしたU字溝に育っていた。スノボーの連中が1984mピークへと連なる小雪庇の下をトラバースしている。降雪直後でもあるし、避けた方が無難そうだ。
ニセ神楽から一旦下がる稜線へはきつい傾斜を敬遠して回り込むようにして滑り降りた。ここで再びシールを装着。15分ほどで1984mピークに到着した。結構な人数のスキーヤーやボーダー達が休憩している。中尾根へ向かう人達の姿も見えた。さてお楽しみの?滑降を始めますか。しばらくは尾根の右側をトラバース気味に滑って行く。緩やかなスロープはやがて樹木も疎らで開けた天然のゲレンデになった。
中尾根から神楽ヶ峰を見る 中尾根の天然のゲレンデ
最初のうちは下手くそなりに気持ちよく滑っていたが、そのうち雪質が変化。突然現れるクラストした雪面に足を取られて何度も転んだ。次第に樹木の密度が濃くなってきたので立木に衝突しないようにゆっくり下る。最後は右側の谷合に降りて、かぐらゴンドラの降り場近くへ出た。相変わらず滑降は課題だらけだが楽しめた。しかし、所要時間はたったの2時間40分。余りにお手軽過ぎて物足りない。スキーの延長とは言え、やはり神楽ヶ岳の山頂は踏んでおいた方が良かったかなとちょっと悔恨。次回は山頂から田代方面に降りてこの借りを返しましょう。
ゲレンデより白く輝く仙ノ倉山と平標山
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