2860m、2841m 長野・富山・岐阜県 | |
2013年9月18日(水) 一日目より 昨夜は例によって夕食を早く済ませて、まだ明るいうちにシュラフにもぐり込んだ。少しうとうとしたものの、陽が落ちるとともにぐんぐんと冷え込んできたので、ダウンジャケットを着る。快適温度0度Cと表記しているシュラフだが、何を着込んで寝るかにもよるのでその真偽の程は定かではない。 午前4時に起床。テントの外を見れば満天の星だ。そう言えば夜中目を覚ますと街路灯の下にいるかのように明るかった。中秋の名月二日前のほぼ満月の月明かりは、澄んだ大気と相俟って半端ではない。 5時30分、テントを撤収して歩き始める。山荘前には日の出を拝もうとする人達が大勢いた。穂先を登るライトもいくつか見えている。表銀座の山々からの日の出を見届けた後、まだ日差しの届かない西鎌尾根へと下り始めた。
気楽な尾根歩きと思いきや、なかなかそう簡単に問屋は卸してくれない。ザレて足場の悪い下りが長く続くし、鞍部の千丈乗越からは、細かなアップダウン続き。しかしそれでもモルゲンロートに染まる雄大な峰々を眺めながらの尾根歩きはやはり気分が良い。
周囲の山とは全く異質な赤色をした硫黄尾根の不気味な景観も旅路に変化を与えてくれる。この山は冬季に歩かれているようだが、無雪期にも歩く人がいるのだろうか。楽しい山では無いと思うがちょっと関心がある。
細かな上げ下げを繰り返していい加減疲れてきた頃、日本百高山79番目の樅沢岳の山頂に立った。ここを越えると、ようやく本日の宿泊予定地、双六小屋が俯瞰できるようになった。
8時50分に双六小屋に到着。弓折尾根から多くのハイカーが登ってきており、小屋前のベンチはとても賑わっている。トイレ休憩の後、ザックのトップカバーを外して、ちょっと大き目のウエストポーチに仕立てる。これがオスプレイの60Lザックのユニークなところだ。 身軽になって小屋前の登り口から双六岳を目指して登り始めたが、いきなりの急登に加えて体調が今ひとつ。3000m前後の高度障害だろうか、今ひとつ足に力が入らない。おまけに記憶障害もあったようで、100mほど登ったところでGPSとカメラを忘れたことに気が付いて引き返す羽目に。忘れ物をピックアップしてリプレイ。
巻き道や中道ルートへの分岐を見送り、稜線ルートから双六岳山頂にまっしぐらに向かっていく。どこが山頂か分からないような、ともかくだだっ広い尾根だ。振り返ると槍穂の男性的なゴツゴツぶりが際立っていていかにも対照的だ。
こののっぺりした尾根道を緩やかに登り上げて小屋から50分ほどで山頂に着いた。黒部五郎岳、鷲羽岳や水晶岳など、3年前の夏に歩いた黒部源流の懐かしい山々との再会だ。少しゆっくりしたかったのだが、それはままならず。ツアーの団体など続々と到着する多くのハイカーに押し出されるようにして次の頂へと向かう。
100mほどのアップダウンを繰り返して、11時10分、懐かしの三俣蓮華岳に到着。これにて西穂高からのトレースがつながったことになる。ささやかな自己満足ながら、達成感がある。
天気も最高なので鷲羽岳まで足を伸ばす腹案も頭の片隅にあったのだが、余り体調が思わしくないので今日のねぐらの双六小屋に大人しく引き返すことにする。 帰路は中道ルートを通り、双六岳の山頂はバイパスする。荷物も無いのに何故か足が重い。急ぐ旅でも無いのでダラダラと歩き続けたが、それでも午後1時前に双六小屋へ帰着した。
早速小屋で受付をしてもらって、広々したテントサイトへと向かう。時間が早いせいか、設営済みのテントは数えるほど。双六池近くの住環境が良さそうに見えたが、年寄りには景観よりもトイレ。できるだけ小屋寄りの場所を選んでテントを設営した。その後はお決まりのビール。この日も早く夕食を済ませて明るいうちに横になった。 行動時間 6時間40分 三日目へ続く |