2813m 岐阜県 | |
2013年9月19日(木) 二日目より 昨夜は前の晩の槍ケ岳頂上直下より500mほど標高が低いにも関わらずえらく寒かった。テントを撤収した際にフライシートを畳む手が悴むほどだ。布地から霜がパラパラと崩れ落ちたので、零下まで気温が下がったのだろう。 今日は下山するだけの最終日。昨日の体調不良が尾を引いているようなら、迷わず鏡平経由の最短コースにするつもりだ。逆に実際歩いて見て調子が良ければ、抜戸岳まで足を伸ばして笠新道を下山する腹積もり。抜戸岳に拘るのは笠ヶ岳まで北方からの縦走路を繋げたいという思いのほか、3年前の笠ヶ岳ピストンの際に至近距離まで行きながら、この日本百高山59番目の頂きにちゃんと立てていない悔しさがあるからだ。 午前5時、まだ薄暗いうちにテント場を後にした。少し登り加減の木道にも霜が降りていてツルツルとよく滑るので慎重に歩を運ぶ。稜線に出たところで朝日を背後から浴びている槍穂のシルエットにカメラを向けたが、電池切れと標示されてシャッターが下りてくれない。電池残量が少なくなった上に低温で機能低下しているからだろう。景色は目に焼き付けるだけにして西鎌尾根から槍穂高連峰にかけての絶景を一望しながら歩く。 弓折乗越まで出合った人は一握り。そのうちの一人、乗越で休憩していた女性は、トレラン姿に姉さんかむりというチグハグな出立ちながら、とても足が速かった。大ノマ岳の登りで追いつかれてあっという間に姿が見えなくなってしまった。 大ノマ岳を下りきった秩父平は、奇岩に囲まれた素晴らしい景観に恵まれたところ。双六小屋を出発してから2時間半、休みなしだったので、ここで小休止。シャリばて防止の栄養補給をする。寒さも緩んでポカポカ陽気になってきたので、試しにとデジカメをオンにしてみると見事復活。思わずガッツポーズをして喜ぶ。
しばしの休憩後、行動再開。雪渓の残る斜面をジグザグに登って稜線へと出る。笠ヶ岳へと続く稜線上にポッコリ高くなった抜戸岳が見える。登山道を外れ、ガレた斜面を一登りして目的の山頂に着いた。
時折50mほど下の登山道を何人かのハイカーが通り過ぎたが、誰も見向きしない。稜線上のちょっとした膨らみという以外に特徴のない不遇の山だ。しかし私にとっては貴重な百高山の一つ。 記念撮影を終えて下山を開始する。来た道を戻らずに稜線の踏み跡を辿って笠新道に直接降り立った。ガレ場のような斜面をどんどんと下っていくと軽装の若者達が次々に登ってきた。笠ヶ岳を日帰りする連中だろう。
しばらく平坦な道を行くが、杓子平を過ぎると再びジグザグの急坂を下るようになる。ヘリが盛んに飛来して土砂を落下させていた。後で知ったが、上岩沢小屋沢の治山工事だったようだ。登山道の上を低空で横切るので思わず首をすくめることもしばしばだった。
後半は中高年の団体さんを追い抜いた他は人と出会うことも無い一人旅。休みなしでひたすら下山を続けたので、笠新道登山口に着いた時には膝ががくがくだった。そのまま左俣林道をダラダラと歩き続け、新穂高温泉には12時50分に帰着。前回笠ヶ岳日帰りの折にも利用した「ひかくの湯」で汗を流してから帰宅の途についた。 行動時間 7時間50分 |