大峰山  奈良県 1915m   百名山  
  


伊吹山より続く

2011422

 天気予報に依れば、今日は午後から雨模様になるらしい。明日の天気はさらに悪化して雷を伴う風雨になる由。当初の計画では、今日は金剛山や伯母子岳など二百名山巡りをしようと目論んでいたが、どうやらとてもそんな寄り道をしている余裕はないらしい。二百名山の予定は全てキャンセルし、百名山だけに注力することにした。何とか天気のもちそうな今日中に奈良県の百名山、大峰山と大台ケ原に行くことにする。まずは時間のかかる大峰山から。大峰山とは、単独の山を指す名前ではなく吉野山から熊野へ続く長い山脈全体を意味している由。本日の目的地はその最高峰の八経ヶ岳だ。奈良市内を午前4時に出発し、行者環トンネルへと向かう。ナビに導かれるままに国道309号線を行く。道は山間をくねくねと分け入り、そのうち車一台がやっと通れる幅員の山道になってきた。幸い対向車に遭遇することも無く、無事に登山口の行者環トンネル西口に到着した。広々した駐車スペースには、先着者の車が2台あるのみ。

 空を見上げると薄日が差しているが、降り出すのは時間の問題といった感じ。雨対策のスパッツを付けることにする。620分に歩きだした。しばらく沢の右岸沿いを進み、丸太で組んだ橋を渡ると本格的な登りが始まる。周囲はまだ冬景色一色だが、そこはかとなく春を感じるのは何故だろう。それはおそらく小鳥のさえずりなのだ。耳を澄ませば様々な鳥の鳴き声が聞こえる。遅い山の春はもうすぐそこまで来ているのだなどと思いながら、山腹につけられたジグザグ道を登っていく。それにしてもいつもは歩き始めてしばらくすると調子が上がってくるものだが、今日は今ひとつ体調が冴えない。腹具合がおかしく、足も鉛を履いたように重い。昨晩奈良の宿のバイキングを年甲斐も無く食べ過ぎたせいだろうか。そんな体調でも先行していた人に追いついたから不思議。この方は八経ヶ岳ピストンの日帰りにしては不釣合いな程の大荷物を背負っていたからだろう。弁天の森を過ぎる頃になると目だって残雪が増えてきた。聖人像のある聖宝ノ宿跡からは先は完全な雪路となった。キックステップでしばらく頑張っていたが、やがて傾斜も急になってきたので6本歯の簡易アイゼンを履く。足元が安定して具合がいい、夏道を無視して雪の斜面を直登する。木々の合間から見える空は、昨日とは打って変わって鉛色の空。正確な予報が恨めしい。ガスは周囲の山々を覆い隠し、それも次第に深くなってきた。下山まで天気が持つかどうか。。。


         行者環トンネルの脇が登山口                        しばらく沢の右岸を行く



            深山の雰囲気になってきた                       行者環岳への分岐



               弁天の森                             先行のハイカーに追いつく



          ガスが一瞬晴れて弥山が見えた               聖宝ノ宿にある聖人像、触れてはいけないらしい



周囲の山々(展望が開けたのはこの時だけ)


 弥山小屋には
843分に到着。弥山の山頂は後回しにすることにして、そのまま八経ヶ岳へと向かう。一旦鞍部へと下って登り返す。登山路の左手には鹿の食害対策の保護フェンスが延々と続く。八経ヶ岳山頂には914分に着いた。さほどの距離や標高差があるわけでは無いのに3時間近くかかってしまった。地図やガイドフックを見る度に疑問になっていたことだが、この山にはいくつもの呼び名があって紛らわしい。山頂標識には八経ヶ岳に付記して括弧内に仏教ヶ岳や八剣山とも書いてあった。敢えて山名を統一しない理由でもあるのだろうか。ガスで展望も何もないなか、長居は無用だ。簡単に昼食を済ませてすぐに引き返す。帰路は先ほどスキップした弥山の山頂神社に立ち寄った。修験道のメッカらしい立派な神社だが、写真に収めてすぐに回れ右した。


              立派な弥山小屋                              頂上はこの奥にある



         八経ヶ岳への尾根道                 鹿害対策のゲート


          三つの呼び名併記の山頂                       あるのはおさい銭箱だけ



弥山の山頂神社



 雪の斜面を下っていくと何組ものハイカーとすれ違うようになった。平日でかつ天気が冴えなくてもこれだけの登山者で賑わうというのは百名山であるが故だろうか。天気はますます下り坂となり、辺り一帯は往路の際よりもさらに深いガスに包まれている。深山幽谷の雰囲気を漂わせるこの山中で、その昔の修験者達は何を考えながら修行に励んでいたのだろうか。修験道とは、「自然と一体となって自然のエネルギーを体内に吸収すること、自然と人間との共生を体感すること」らしい。これなら、現代の登山者の感性に照らしても、かなりの部分で共感できるところがありそうだ。それにしても、その昔の修験者達はどのようにこの山の厳しい環境をサバイバルしたのだろうか。テントなどという便利なグッズを持たず、下界の村落から離れて遠く雨露をしのぐのに山小屋に駆け込むこともできなかった時代。登山口まで車で乗り付けてお手軽な登山を楽しむ我々は、いくら感覚的に近いものを持っていても、やはり「なんちゃって」修験者なのだ。ついに雨が降り出した。最初はぽつぽつ、次第に本降りになってきた。雨具を身に付けるのも面倒なので雨傘をさしながら下り続ける。ここまで来てようやく先行していたもう一名の年配の方に追いついた。駐車場帰着は
1130分。明日は更に天候が悪化するので、今日中に大台ケ原へ行くだけは行ってみることにする。

行動時間     5時間10
歩行時間    4時間50

大台ケ原続く

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