2014年9月11日(木) 二日目より いよいよ今日が最終日。せっかく広い部屋を独り占めさせてもらったのに、夜半から振り出した雨が気になって余り熟睡できなかった。午前2時半に起床。雨具上下、ザックカバー、電子機器や貴重品の防水など雨対策をしっかり施して宿を後にする。時刻は午前3時20分。 他の宿泊客は10時15分の渡しの便ということで、こんな早い時刻に出発するのは私だけだ。ヘッドランプに照らされて光る雨滴を見ると、幸いそれほど雨足は強くないようだ。 道は奥黒部ヒュッテを出るとすぐに東沢谷を渡り、黒部川の右岸沿いに進むようになる。梯子段の登下降が多いとガイドブックにあるが、その数は想像以上。雨に濡れた丸太が滑りやすいので一歩一歩慎重に足を運ぶ。梯子を登ったり、降りたり、ともかく忙しい。 そうこうしているうちに、いつの間にか黒部川の沢音が聞こえなくなった。そろそろダム湖に差しかかったようだ。梯子で時間を使い過ぎたようなので途中から少しスピードアップ。長い梯子を登ると船着き場までにあるはずのない避難小屋があった。 行き過ぎたことに気がついてGPSを確認しながら引き返す。しかし、どうもおかしい。地図上の船着き場に来ているはずなのに湖畔に降りることができないのだ。どこかで分岐を見落としたのだろうと行きつ戻りつするがわからない。時刻は既に6時を回ろうとしている。焦りながらも下の方を良く観察すると船着き場らしきものが見えた。立派なコンクリート製の階段もある。降り口が鉄パイプでクローズされているので、どうもおかしいと思いつつも時間が無いのでともかく船着き場まで降りてみた。
しばらくするとエンジン音が聞こえて対岸から小型船が向かってくる。やれやれと思ったのは一時のこと。何と、船は目の前をスルーして黒部川の方へ行ってしまった。再び焦りまくり息せき切って崖を駆け登り、船を追いかけた。何のことはない、登山道から湖畔に降りる立派な階段があった。雨模様で薄暗がりとはいえ、どうして気がつかなかったのだろう。現在の船着き場は地図にある旧船着き場よりもずっと南側にあったのだ。なまじGPSと地図を過信したばかりに悪戯に血圧と心拍数を上げてしまった。
渡し船には乗客が一人。心配しながら私を待ってくれていた。ようやく船上の人となって、今度こそやれやれと胸をなでおろした。対岸を歩き出すと平ノ小屋に泊ったハイカー二人と一緒になった。話をすると私のようなオッチョコチョイが何人もいるそうだ。平ノ小屋が船着き場への降り口に案内標識を設置する申請を出しているが、なかなか国の許可が下りないのだとか。
その後はお気楽な湖畔沿いのハイキング。但し思いのほか時間がかかる。ロッジくろよんが対岸すぐ近くに見えたのに延々と入江を遠回りさせられたりするので叶わない。
10時にダムに到着。そのままトロリーバスの乗り場に直行し扇沢へと向かった。扇沢でタクシーを呼び、七倉山荘へ直行。料金は\6000とお高いが仕方ない。すぐに車をピックアップして帰宅の途に着いた。途中、立ち寄った葛温泉は、気持ちの良い露天風呂でくつろげ、美味い蕎麦にもありつけて最高だった。 今回色々トラブルはあったものの、目的の山々は踏破できたし、連休前のタイミングが良かったのか、静かで落ち着いた山旅を楽しむことができた。それにしてもつい二、三年前には標準コースタイムの7掛けを目安に歩いていたものが、今や標準通りか、やや遅いくらい。過去の体力を前提に計画を立ててはいけないということを学ぶ良い機会にもなった。悲しい現実ですが。。。 行動時間 7時間 一日目(野口五郎岳)へ 二日目(赤牛岳)へ |