赤牛岳      二百名山  
 

2014910(水)

一日目より

 午前3時に起床。出来るだけ物音をたてないようにパッキングを済ませ、頼んでおいたお弁当を頂く。他の登山者は朝食付きとのことなので早発ちするのは私だけだ。335分に小屋を後にする。

 山の上は既に秋。標高
3000m近いだけあって流石に空気が冷たい。風もかなりある。手袋をつけジャケットを重ね着しておく。野口五郎岳の山頂は昨日踏破済みなのでパス、巻き道を行くことにする。仲秋の名月から二日を経てはいるものの、月はまだ満月に近い照度。時折雲間から月が姿を現すとヘッドランプが不要になるほど辺り一帯が明るくなる。

 やがて道は真砂岳の山頂を右から巻いていく。この山は日本百高山の一つのはずだが、同名かつ標高がほぼ同じ山が立山にあるのでややこしい。裏銀座の真砂岳の方がたった1mではあるが標高が高いのでこちらが本命と勝手に見做している。本来であれば山頂を目指したいところだ。しかし、夜明けまでまだ間があるし、暗がりの中で登山道を外れての行動は控えておくべきだろう。帰宅後調べると竹村新道側からは山頂に向かって明確な踏み跡があるとのこと。いずれにしても後の祭りということで、先々の宿題としておく。


            湯俣温泉への分岐                             東の空が明るくなってきた


 水晶小屋へと続く稜線は殆ど下降傾向だが、細かなアップダウンがあって意外に手ごわい。東沢乗越がこの稜線のボトムで、ここから水晶小屋へ向かって
200m弱の登り返しが始まる。急坂を喘ぎ喘ぎ登っていると、本日初めて出会う登山者3名が下ってきた。


             槍ヶ岳方面の展望                          水晶小屋、水晶岳までもうすぐ


 標準コースタイムをややオーバーする
2時間40分をかけて水晶小屋に到着。これで北は雪倉岳から南は西穂高岳までの稜線がほぼつながったことになる。「ほぼ」と言わざるを得ないのは蓮華岳と七倉岳間だけがまだ繋がっていないからだ。ホスピタリティで有名な船窪小屋にでも泊ってこのミッシングリンクを完結させたいと思うが、いつになることやら。。。


          水晶小屋直下のガレ場                           水晶小屋まで後もう少し


 水晶小屋から水晶岳へ向けて歩き出すと、朝一番で山頂をピストンしてきた人達とすれ違うようになった。朝日が登ると、これまでグレースケールでくすんでいた峰々が色づいて生き生きしてくるから不思議だ。緑の絨毯に浮かぶ雲の平、一段と存在感を増した薬師岳の赤茶けたカール等々、雪があっても無くても北アルプスの自然にはいつも感動させられる。


水晶岳から戻る団体さん



水晶小屋を振り返る



          水晶岳への険しい道                                 4年ぶりの山頂



これから向かう赤牛岳への山稜


 午前
7時、4年ぶりに水晶岳の頂に立った。この先は私にとって未知の領域だ。痩せた稜線上をアップダウンを繰り返しながら下降していく。特に危険個所も無く登山道も明瞭なので、鼻歌気分で歩いていたら、あろうことか、一般登山道で道を見失ってしまった。

 場所は、温泉沢の頭の手前の
2904mピークへと連なる細い稜線。しっかりした踏み跡が東沢方向に降りているので、何も考えずに追随していくとガレ場に降りてしまった。うろうろと行きつ戻りつしながら辺りを捜すがそれらしき道は見当たらない。

 「迷ったら戻る」の鉄則通り引き返すと、明瞭な踏み跡にマーキングまである。やはりここかともう一度ガレ場に降りて、さらに下ってみたが道らしきものは無い。おそらくは稜線上でハイマツに覆われた登山道を見過ごしたのだろう。もう一度引き返すのが面倒になったので
2904mピークに向かってガレ場を直登することにした。崩れやすい足場にヒヤヒヤしながら急斜面を登っていると、後続の登山者がやはり同じ場所で立ち往生している。大声でそのまま進むと道はないですよと伝えたが、その後彼に遭うことは無かった。無事だったのだろうか。


            道を誤ったガレ場                           登山道に復帰してから振り返る


 私の方は横着をしたおかげで要らぬ大汗をかいて登山道に復帰。その後は花崗岩がゴロゴロして歩き辛い個所もあるが、特に問題もなく広々した稜線をのんびり歩く。


          赤牛岳への道程はまだ遠い                        薬師岳が指呼の距離に


 愈々赤牛岳が近くなってくると先行している
4人のハイカーが視野に入ってきた。気合を入れ直して山頂直下、最後のひと頑張り、出発から6時間半を要して念願の赤牛岳の頂きに立つことができた。夕張岳以来、私にとって49座目の二百名山ゲットだ。


                        石がゴロゴロしたりして思ったより楽な縦走路ではない



             もうひと頑張りで山頂                     山頂には先行の4人が記念撮影の真っ最中




黒部ダムまでの道程はまだ遠い


 苦労して辿りついた赤牛岳だが、展望の良い尾根歩きを続けてきたので山頂から見る景色には左程新鮮さはない。むしろ読売新道のずっと先に黒部湖が遠望できて、これからの道程の長さにうんざりさせられると言うのが正直なところ。

 ゆっくり昼食をとっている先ほどの
4人を山頂に残し、一足先に下山を開始する。山頂からしばらくはガレ場の急下降。その後は、長い長い尾根下りの始まりだ。やっと樹林帯に入ると、今度は苔蒸して滑りやすい岩、泥濘、そして根っこのジャングルジムの3点セットが待ち構えていた。

 8
分のナントカの標識がカウントダウンしていくのだが、遅々として進まない。既に長時間歩き続けて棒と化した足には何とも耐え難い過酷な道だ。やがて上ノ廊下、東沢谷のどちらからも沢音が聞こえてくるようになるが、標識はまだ2/8辺り。それでも両足を機械的に動かしているうちにさしもの読売新道も終わりに近づいたようだ。


    根っこのジャングルジムで嫌というほど遊んで、、、             ようやく森の中の奥黒部ヒュッテに到着


 午後
230分に本日のネグラ、奥黒部ヒュッテに辿りついた。受付を済ませた後はさっそくビール。有難いことに入浴が出来たので、さっぱり汗を流した後はまたビール。ぐだぐだと時間をつぶし、早目の夕食の後はまだ明るいうちに床に着いた。


行動時間 
11時間


一日目(野口五郎岳)へ
三日目(黒部湖)へ



Map
 Track Weather  Map 
  トップ             自転車                 山歩き 
inserted by FC2 system