唐松岳BC  長野県 2696m             
 


2016年12月18日(日)

 立山のアルペンルートが冬季閉鎖された後に、一般のBCスキーヤーが日帰りでピークハントできる北アルプスの高山は機械力を駆使できる唐松岳くらいだろう。しかし、いくらアプローチが容易でも厳しい冬山であることに変わりはない。昨冬は、一回目のチャレンジは強風と時間切れで敗退、天候に恵まれた二回目にしてようやく登頂を果たすことができた。

 今シーズンもBCの皮切りはやはりこの山しかない。天気予報は晴。ゲレンデでスキーの足慣らしを入念に行い、群馬のスキー師匠、Kさんにも同行してもらえることになったので正に鬼に金棒、登頂成功間違いなしと思っていたのだが。。。前日の予報には無かった気圧の谷による強風に弄ばれ、残念ながら今回は途中敗退となった。

 ピークハントは断念したが、時間も早いことなのでスキーの特訓に予定を変更。下ノ樺から南斜面に滑り込んでパウダー滑降の練習。尾根筋に登り返した後は、苦手のモナカやアイスバーンなど様々な雪質が待ち構えていて大いに修行させられ、それなりに充実した一日となった。

 


日曜日&晴天とあって大勢のBCスキーヤー&ボーダー



グラートクアッド沿い沿いにハイクアップ



今春荒天にあってえらい思いをした白馬鑓のカールが良く見える

 まだ夜の明けやらぬ午前6時にゴンドラ駅前の駐車場に到着。八方ルールに従い、夜明けとともにスキー板を改札口前に置き順番を確保しておく。大勢のBCスキーヤー、ボーダーと共に8時の始発ゴンドラで兎平へ。さらにアルペンクアッドへと乗り継いでゲレンデ上部へと移動する。

 素晴らしい青空の下、白銀に輝く峰々が出迎えてくれた。早速シールオンし、8時30分にハイクアップ開始。久しぶりのBCに逸る心とは裏腹に、なかなか足がついてこない。最近とみに気になってきた腹回りのライフジャケットのせいだろうか。それとも加齢による体力の衰えだろうか( ノД`)。

 八方池山荘に着く頃には早くもオーバーヒート状態。アウターを脱いでエンジンを冷却する。若い人達にどんどん追い抜かされるのは仕方ないが、折々お待たせすることになるKさんには誠に申し訳ない。そんな中、御年オーバー70歳ながら、足取りが実にしっかりしたベテランBCスキーヤー氏とはペースが合った。この方と抜きつ抜かれつしながらハイクアップしていく。


上部に何やら怪しげな雲が、、、


 いつの間にか上部にはガスが立ち込め、風当たりが強くなってきた。第3ケルンを過ぎた辺りからは雪礫をともなった強風が間断なく吹き荒れるようになった。耐風姿勢を取らされたり、予期せぬ突風に危うくバランスを崩しそうになることもあった。


第二ケルンを過ぎた辺りから風が強くなってきた



富山側からどんどん押し寄せる雲


 引き返すにしても、せめて丸山まで前進してと思ったが、強風に叩かれ続け厭戦気分が頭をもたげてくる。下ノ樺を目前にしたところでついに白旗。Kさんと相談して撤退することに決めた。先ほどのベテランスキーヤー氏も前進を断念したようだ。風にシールを飛ばさないよう苦労しながら滑降の準備をしていた。

 時刻はまだ10時20分。時間もあることなので、ローカルのスキーヤー達が「南斜面」と称する広大なスロープを滑ることにした。既にラインが何本かつけられているので雪崩の心配はなさそうだ。


南斜面パウダー滑降するKさん



同上



同上


 少しでも風を避けようとダケカンバ林の中で滑降の準備を行う。ドロップポイントから下を覗き込むと直下はかなりの急斜面だ。40度近くあるのではなかろうか。トップバッターは、切り込み隊長のKさん。殆ど垂直落下するように滑降を開始。スプレーを舞い上げながら、パウダーランの模範演技を披露して頂いた。

 Kさんが遥か下まで滑り降りて停止したのを確認してから私もドロップ。南向きのせいか少し重めのパウダーながら実に楽しい。約200mの高度差を無我夢中に滑り降りてお楽しみタイムはあっけなく終了。


続いて私(Kさん撮影)



同上



降りてきた南斜面を振り返る


 すぐに続いてボーダーのパーティが滑り降りてきた。我々と同じところに暫く留まっていたが、その後、彼らは登り返しせず沢筋を降りて行ったが、どのように下山するのだろうか。


登り返し 先行者のトレースを有り難く拝借


 我々はシールを貼って登り返し。先行した連中のトレースがあるので助かる。高度が上がるほどにウインドクラストしてきたので慎重に歩を進める。強風を少しでも避けるため稜線には上がらず、直下でシールオフし滑降の準備を行った。カチカチの斜面にエッジを効かせながら少し登り気味にトラバース。板を持ち上げる動作が疲れた足に堪える。もたもたして寒風吹きすさぶ中でお待たせてしまい、Kさんには恐縮至極。


八方池からの下り 雪質にやられてヨレヨレの私


 昨年同様、モナカやアイスバーンなど変化に富む斜面を滑り降りていくが、スキーに必要な筋力不足を痛感。最後は瘤だらけになったゲレンデをヨレヨレ状態で滑り降りて今シーズン初のBCを何とか無事に終えることが出来た。


八方山荘が見えてきた ここまで降りて来たら風は嘘のように穏やかに


 無雪期は毎週のように山に通って足を鍛えていたつもりだが、スキーで使う筋肉は全く別物らしい。そんな訳で翌日は今度こそ絶好の登山日和であったにも関わらず、再挑戦は見送り、ゲレンデでひたすらスキーの特訓に励んだのだった。


行動時間  4時間5分



  
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