2013年8月8日(木)
一日目
先日北岳で痛めた左膝は意外に回復が長引いた。痛みが去った後も両膝を触って比べると左膝には明らかに熱感があるのだ。大事を取ってしばらく膝に負担をかける運動を自粛していたが、ようやくこの温度差が解消したので3週間ぶりに山歩きを再開することにした。
百名山のピークハントの名残でいつも日帰りばかりの山歩き。しかし、せっかくの好天続きなので今回はテントを担いで点から線にスタイルを換えて見ようと思う。とは言え、久々のテント泊、比較的ハードルが低くそうなコースを選んでみた。柏原新道から登り、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳を縦走、遠見尾根に下山というポピュラーなルートを二泊三日で歩くことにした。
早朝4時半に扇沢手前500mほどの登山口に到着。しかし、ここは既に満車状態だったので、少し引き返したところにある駐車スペースに車をとめた。
5時5分に歩き始める。久しぶりに担いだ65Lのザックの重いこと。20キロも無いはずなのにずっしり肩にくる。柏原新道は歩き易く造られているとの評判通り、一定斜度でよく整備された実に足に優しい道だ。心配していた膝も今のところ大丈夫なようだ。この程度の登りで痛くなるようなら即回れ右のつもり。
林道のような歩き易い路を行く どこまでも快適、柏原さんに深謝
息が乱れないスピードに抑えているのに、いつの間にか遥か左下に扇沢駅が俯瞰できるようになった。左手正面に見える雪渓の残る峰は岩小屋沢岳だろうか。稜線上には赤いとんがり屋根の種池山荘も遠望できる。
扇沢駅を俯瞰する ここまでで約1/3の行程
主稜線が見えてきた 種池山荘も視界に
この頃になると下山してくる多くのハイカーとすれ違うようになった。夏休みとあって、なかには小中学校生の団体もいる。元気いっぱいの子供達に次から次に挨拶されてコンニチワを返すのも大変だ。
雪渓をトラバースすると稜線は近い。種池山荘が近くなると辺り一面満開のコバイケイソウが群生している。今年はこの花の当たり年とか。このように見事に開花したのを見るのは初めてだ。
針ノ木雪渓と雲のかかる針ノ木岳
雪渓のトラバース 見事なコバイケイソウ群生地
8時20分に種池山荘に到着。小屋の周辺に多くのハイカーが屯している。混雑する小屋泊まりを避けてテント泊にしたのはどうやら正解だったようだ。(もっともこれがとんだ早計だったと後に思い知ることになるのだが。。。)
トイレ休憩の後は再び重いザックを背負って爺ヶ岳へと向かう。登山道の両脇は色とりどりの美しい高山植物でいっぱいだ。山歩きを再開してから私も人並みに花の名を覚えようと努力した時期もあった。しかし哀しいことに数の減った脳細胞は受け付けてくれない。無駄な努力と悟って、その後は指示代名詞で済ませてもっぱら鑑賞するのみ。いつしかカメラを向けることも少なくなってしまった。
花に囲まれた種池山荘を後にする
爺ヶ岳へ向かって歩く 爺の名が気の毒な女性的な山
百花繚乱の緩やかな尾根道を登って30分足らず、私にとっては初めてとなる爺ヶ岳の南峰に着いた。雲の多い天気ながら、見晴らしはまずまずだ。
南峰頂上 中峰へと向かう
10分ほど滞在してすぐ隣に見える最高峰の中峰へと向かう。ここでランチタイム。後は眼下に見える冷池山荘のテントサイトまで下るだけだ。しばらくのんびりと景色を楽しんで10時に下山開始。膝を意識してダブルストックを活用しつつ、足元を選んでゆっくり、慎重に下る。
中峰山頂 鹿島槍には東側からガスがかかっている
南峰を振り返る
冷池小屋
2年前に鹿島槍岳をピストンした際に登降した赤岩尾根の分岐を過ぎると樹林帯を抜けて冷池小屋に到着。ここでテント代を支払い、水とビールを2本を仕入れてからテント場へと向かった。11時25分、本日の宿泊地に無事着いた。
冷池小屋目指してどんどん下る 赤岩尾根分岐
このサイトは眺望は抜群だが、いかんせん小屋が遠いのが難点。しかも外トイレが工事中なので一々靴を着脱して内トイレを使わないといけないのだ。
時間はあり余るほどある。ビールを傾けながらゆっくりテントを設営。一年ぶりのせいか、それともほろ酔いのためか、フライシートが裏返しになっているのに気がつかず、やり直したりと時間がかかってしまったが、テントの出入り口からは立山と剣岳が借景という最高のお宿の完成だ。
出入り口から立山と剣岳が一望
一足先にテント設営を終えたお隣の方はこれから鹿島槍へ向かうとのこと。明日は赤岩尾根を下山するとか。私の方はぼんやり景色を眺めたり、昼寝をしたりしてまったりと第一日目の午後を過ごした。暇を持て余すといきおい夕食の支度も早くなる。ガスが上って視界が閉ざされるといよいよすること無し。まだ明るいうちに寝袋に潜り込んだ。
行動時間 6時間20分
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