ニペソツ山より続く
2011年7月29日
今日の目的地は昨日に引き続き東大雪の石狩岳だ。昨日同様午前3時半に宿を出た。ニペソツ山登山の後、アプローチの下見をしているので道に不安は無い。273号線を左折してから砂利道を30分も走ったが、まだ登山口が現れない。そのうちに車の底を擦るほどの酷い道になってしまった。さらに渡河のおまけつき。何と露天の岩間温泉まできてしまったのだ。余計な寄り道をしたが怪我の功名かも知れない。下山後の立ち寄り温泉はここにしようと決めた。Uターンしてしばらく戻ったところに、シュナイダーコースの登山口があった。車が一台も駐車していないので見落としたのだろう。
駐車スペース(下山時撮影) シュナイダーコースの案内
昨日びしょ濡れとなってまだ乾いていない登山靴を履く。雨具を着るべきか迷ったが、この暑さでは発汗で内側から濡れてしまうだろうと思いとどまった。4時45分に車をあとにした。しばらく沢沿いの平坦な道を行く。先行者がいないので、時折ホイッスルを吹きながら進む。羆と出合い頭のお見合いだけはしたくないものだ。ここも笹漕ぎが酷くて昨日同様あっという間にびしょ濡れになってしまう。しかし今回は覚悟の上だ。沢を右岸へ渡ると急登が始まった。山腹のジグザグ道をどんどん高度を上げて行き、間もなく尾根筋に立った。ここから石狩岳の稜線がよく見える。しかし、ウンザリするほど遥かな高みにあるのだ。まだまだ先は長い。
笹の生い茂る登山道 稜線が見えたが高度差は大きい
暫くはゆるい斜度の登りだ。これならガイドブックの言うほどの急登じゃないなと甘い判断をした途端、とんでもない大間違いと思い知らされることになった。尾根が痩せて来るのと比例して勾配も一気にきつくなってきた。胸を突く急登の連続と言っても過言ではない。屈指の急登で名をはせる笈ヶ岳の尾根への取り付き辺りに似ている。ようやく登った岩場の上に可憐なシャクナゲの花を発見したり、かくれんぼ岩なんて可愛い名称が現れるが、ちっとも癒しにはならないのだ。苦しいものは苦しい。それでも南の方角にマッターホルンか槍ヶ岳と見まがうほど、すっきりと天を突くニペソツの山容を展望できたときは嬉しかった。昨日はどうしても全貌を拝めなかった山だ。深田久弥氏が後悔した理由がよくわかる。やはり見て良しの素晴らしい山なのだ。
ニペソツ山がくっきりと見えた
尾根の急登 同左
ところが、天気は無情だ。あれよあれよという間にガスが湧いてきて頂上付近はガスに隠れてしまった。私にとって頑張って登ったご褒美は、山頂からの景観なのだが、今日もお預けらしい。急登に耐えて高度を上げていくと、ダケカンバに、はい松が混じるようになりやっと稜線へ出た。そこかしこにお花畑があって素晴らしい。残念ながら今日も山頂はガスの中だ。
石狩の肩 山頂は雲のなか
一歩一歩踏みしめて歩き続け、8時25分、石狩岳の頂に立った。昨日同様、靴はすっかり浸水してしまったので、水浸しのソックスを絞る。山頂には半時間ほど滞在するも、一向に晴れ間が期待できず、汗が冷えて寒くなってきたので下山することにした。しかし下り始めて振り返ると、青空が顔を覗かせているではないか。せっかちな性分で気長に天候回復を待つことが出来ないので損ばかりしている。
山頂標識、1m高い最高点はここから200mほど行ったところにありちょっとすっきりしない気分だ
石狩の肩方面はすっかりガスのなか 素晴らしいお花畑
往路を辿ってシュナイダーコースを下り始める。改めて見下ろすと、よくぞ登ってきたと言いたい急坂だ。しかし、見上げると稜線にはどんどん晴れ間が広がっている。いかにもタイミングが悪かった。あと一時間遅ければと思うが、後の祭りだ。往路ではとても余裕が無かったが、帰路は周囲をゆっくり観察しながら歩く。かくれんぼ岩、そういわれてみれば座り込んで目隠ししているような岩だ。
シュナイダーの下り
登り返しも無いのでどんどん下り続け、11時半過ぎ車に帰着した。他の車も見当たらないので、おそらく本日唯一の登山者ということになる。汗まみれのまま、車を走らせ岩間温泉に直行。人っ子一人いない露天風呂だ。誰はばかることも無くスッポンポンになって湯船に飛び込んだ。虫がわんわんと煩いが湯加減といい雰囲気といい実に素晴らしい湯だった。
すっきり見える稜線、ちょっと下山が早すぎた
岩間の湯 車のタイヤが半分ほど水没する渡河
行動時間 6時間50分
歩行時間 6時間20分
大雪山、黒岳へと続く
|