八甲田山  青森県 1584m      百名山
岩木山  青森県 1625m    百名山

八幡平から続く

20111020

八甲田山

 昨日の宿は安比の彩冬という温泉宿。その洒落た名に恥じないセンスあるインテリアと紅葉を眺めながらの露天風呂は最高だった。コストパーフォーマンスも申し分ない。心残りは、二食付きにも関わらず、朝食を抜かざるを得なかったこと。酸ヶ湯温泉まで、130km、約2時間半のドライブに備えて、この日も未明に出発したためだ。

 実際に訪れてみるまでは八甲田山も八幡平同様、緩やかな起伏の高原ではないかと漠然とイメージしていたが、これはとんだ誤解だった。八甲田連峰の名がある通り、幾つもの
1500mを越えるメリハリのある山塊なのだ。その最高峰が大岳1584mだ。酸ヶ湯温泉から最短コースをピストンすることも出来るが、それだけでは興が無い。そこでもう少し足を伸ばして大岳避難小屋、毛無岱経由の周遊コースを歩くことにした。

 夜明けとともに酸ヶ湯温泉に到着。温泉宿前の駐車場は沢山の車で溢れていたが、これは宿泊者のものらしい。そのすぐ上の広大な駐車場に車をとめる。ここにはまだ数えるほどしか車が無い。周辺の紅葉が真っ盛りで見事だ。


 5
50分、登山道入り口の鳥居をくぐって歩きだす。横着をしてスパッツを着けてこなかったことをすぐに後悔することになる。何しろ強烈な泥濘が延々と続くのだ。笹につかまりながら泥濘を避けて通るのも一苦労だ。ズボンを汚さないようにアイゼン歩行の要領で両足に間隔を保って歩く。樹林帯を抜けて右手に南八甲田の山々が望めるようになってようやく泥沼地獄から解放された。泥濘に代わって今度は火山ガスだ。鼻をつく硫化水素ガスの臭いがもの凄い。登山道を外れこのガスの溜まり場に嵌って何人もが命を落としているらしい。


           ここからスタート                           泥道が続く



南八甲田の山々



          火山ガスで荒涼とした沢筋                 振り返ると岩木山が


 ガスにやられて植物が育たない不毛の沢沿いを抜けると道は緩やかになり、木道に代わる。やがて小岳からの道との分岐に到着。ここで本日初めての登山者と行き合った。結構な大荷物を背負っている。彼は高田大岳を往復してきたとのこと。昨夜は仙人岱避難小屋に泊まったのであろうか。


         霜の降りた滑りやすい木道                   頂上はもうすぐ


 道は再び傾斜を増してきた。半時間ほど急な登りに耐えて大岳の頂きに立った。歩きだしてから
2時間10分ほど。ここからの景色は素晴らしい。360度遮るものの無い大絶景。奥羽山脈最北端の山々のなかにあって何といっても圧巻は岩木山の秀麗な姿だ。遥か眼下には青森湾と青森市の市街地を展望することができる。穏やかな天気の下で景色を十二分に堪能できた。今日はもう一山あるのであまりのんびりしていられない。そろそろお暇しよう。


               大岳山頂                     広々した頂上から360度の大展望



岩木山



青森の市街地


 火口のように見える井戸岳の大きなガレを眺めながら下山にかかる。大岳避難小屋から縦走路の分岐を左に折れて毛無岱へと向かう。ここからハイカー達と続々と行き交うようになった。延々と続く木製の階段の下方には点在する池塘が見える。毛無岱の湿原は辺り一帯が、きつね色に染まってなかなかの風情だ。ここから見上げる大岳、井戸岳、赤倉岳の三山そろい踏みはすばらしい。しかしこの感激を共有できない人もいるらしい。ハイカーの一人はペルシャ絨毯のようだという触れ込みで来たのに期待はずれだと不平を漏らしていた。


          井戸岳に向かって下山開始            ログハウスの素晴らしい避難小屋



             赤倉岳と井戸岳                      毛無岱の草原



右から大岳、井戸岳、赤倉岳


 樹林帯に入ると再び泥沼地獄が始まるが、往路ほどではない。酸ヶ湯温泉に戻ると紅葉が陽光に映えて素晴らしい見応えだった。残念ながら、ゆっくりしている余裕は無い。すぐにハンドルを握って次の目的地、岩木山へと向かった。

行動時間  4時間
歩行時間  3時間30分。



駐車場近くの紅葉



岩木山

 酸ヶ湯温泉から一路岩木山へと向かう。途中弘前市の市街地を通り抜けるので何かと時間がかかる。途中マックで昼食をとったりしたため、八甲田山で高まった山歩きのテンションが街歩きレベルまで一気に下がってしまった。この際、観光に転じて弘前城にも立ち寄ってみようかとも思ったが、いかんせん時間が足りない。市内観光は次の機会にしよう。

 岩木山は津軽富士の別名で呼ばれるほど富士山と同じコニーデの山。岩手山が岩手県を象徴するように青森県の岩木山にも一種独特の存在感がある。日本人は何故このような円錐体を好むのだろうか。たわわに実をつけているリンゴ園を眺めながら津軽岩木スカイラインの入り口へと向かう。
2750円也の通行料は高いが、8合目まで楽して行けるので我慢しよう。それにしても山歩きは機械に頼らないとする自らの拘りは、どこへ行ってしまったのだろうか。しかし、そんな反省を忘れさせてくれるほどヘアピンカーブ毎に現れる紅葉や黄葉が素晴らしい。

 うんざりするほどのペアピンカーブをやり過ごし、ようやく
8合目の駐車場に到着。リフトを使えば更に9合目まで行けるが、流石にそれでは何のための山歩きかわからない。リフトに隣接する登山道を歩くことにしよう。ダケカンバの樹林のなかを登っていくと半時間ほどで火口壁に着いた。リフトを降りたハイカーが続々とやってくる。ここからしばらく急な登りとなるが僅かな距離だ。


           スカイライン沿いの紅葉                     8合目駐車場



          8合目からの登山道                       火口壁までもうすぐ


 先行く人を追い抜きながら歩き始めから
45分ほどで岩木山の頂に立った。巨岩がごろごろして足場の悪い山頂をぐるりと一周してみる。東には先ほど登った八甲田山が良く見える。南に広がる黒々した山の連なりは白神山地だろうか。青森湾の上にかかる雲の上から突き出ているピークは函館山だろう。標高差350mほどの歩きでは、当然のことながら山に登ったという達成感、高揚感は紙ほどに薄い。やはり手抜きには手抜きなりの報酬しかないということ。それでも百名山が一つ終わったので良しとしよう。


                山頂の鐘                     ハイカーで溢れている



八甲田山



 往路をたどって
8合目の駐車場に戻った。今日はこれから青森市内のホテルへと向かう。今晩は若かりし頃の山友に十年ぶりに再会する予定になっているのだ。遅れる訳にはいかない。

行動時間   1時間45
歩行時間   1時間15


早池峰山へ続く


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岩木山
スイッチ切り忘れスカイライン途中まで軌跡あり
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