岩手県 1917m | ||
岩木山より続く 2011年10月21日 昨夜は久しぶりに再会したかつての山友と大いに語り合い、とても楽しい時間を過ごすことができた。現在青森在住の山友は、現役バリバリの多忙な時間を割いて青森の新鮮な海の幸で歓待してくれたのだった。彼はピッケルをゴルフクラブに持ち替えて毎週のように草刈りに励んでいるとのこと。背負うものと歩く場所こそ違うが、お互い還暦を過ぎても健康でアウトドアスポーツをエンジョイできるのは素晴らしいことだ。 翌日はいつものように未明にホテルを後にした。体調はこれまでで最悪だ。飲み過ぎで頭には泥が詰まっているようだし、風邪をこじらせたらしく体全体が熱っぽく咳とクシャミが止まらない。 午前7過ぎに小田越の登山口に到着。最短距離で早池峰山を終えるにはここがベストなのだ。ところが、辺り一帯はロープが張ってあって駐車厳禁。体調が良ければ河原の坊の駐車場から登ることに何の不都合も無いのだが、今日は別だ。少しでも最短距離に拘りたい。小田越から花巻市側に少し下ったところに2〜3台分のスペースを見つけてここに車をとめた。小田越の反対側(遠野市側)にはもっと広い駐車スペースがいくつもあったのだが、頭が機能停止状態でこの時は気がつかなかった。 7時45分に歩きだす。いつものペースより大幅にスローダウンし、息が乱れないように試みるが、それでも時折咳き込んでしまう。いつでも来ることのできる山ならこんな無理は絶対にしたくないのだが。。。
しばらくは樹林帯のなかをゆっくり高度を上げて行く。すぐにハイ松帯となって巨岩が累々としているなかの急な登りとなる。登山道脇のロープをチェックしている人達がいた。地元の山岳パトロールの方々だ。登山道を歩いて感じたことだが、環境保全と快適な登山に拘って細心のケアをされているようだ。コース内に無数にある石の頭頂部には一つ一つに刻みが入れられいるのはその一例だ。これなら登山靴でなくともスリップを防ぐことができる。他の山でここまで気配りをした登山道があったろうか。
山頂間近という感じなのだが、いよいよピークかと思うとその先にまたピークがあってがっかりさせられる。極め付けはそろそろ頂上かと思うところで5合目の標識が現れるのだ。これにはきっと誰しもがっかりさせられる。しかしそれも一時の辛抱。やがて山頂避難小屋が左手に見えてきて元気づけられる。
傾斜はますます急となり、鉄梯子やロープの個所も出て来るが、危険を感じる所は無い。急登も一段落するとハイ松のなかの木道を歩いて避難小屋へと向かうようになる。遮るものが無い2000m近い山の稜線だけあって冷たい風が吹き荒れている。山頂到着は9時35分。咳とクシャミを連発しながら登りついた貴重な山だ。林立する大岩の一つに登って周囲の景色を見渡す。早池峰山は北上山地の最高峰とは言え、周囲には見知らぬ山ばかり。唯一雲上に突き出た岩手山の秀麗な姿が印象的だ。
ぞくぞくと悪感がするので、そそくさ下山することにする。木道に差し掛かった所で犬連れのハイカーとすれ違う。何とも無愛想な男だ。さらにその先で登山の監視員が待ち構えていたように犬に遇わなかったかと聞いてきた。堰を切ったように件のハイカーとひと悶着あったことを話しだした。この山はペット持ち込み禁止と注意したが、聞き入れなかったのだと。犬連れの山歩きに関しては、どうやらネットでも色々な議論が交わされているようで、この手の話は賛否両論、何れも相当に感情的な対立にエスカレートし易いらしい。暫くガス抜きにお付き合いして再び下山を続ける。 この頃になると引きも切らずにハイカーと行き合うようになった。中には華やかな山ガールスタイルの若い女性もいて中々人気の山のようだ。車には11時15分に帰着した。スタート時にはどうなるかと心配したが、山のフィトンチッドのお陰か、早池峰神社の霊験の賜物か余り辛い思いもせずに東北における最後の百名山を無事終えることができた。
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