岩手山  岩手県 2038m    百名山
八幡平  岩手・秋田県 1613m  百名山

20111019

岩手山

 日本百名山の踏破も余すところ7座となり、いよいよカウントダウンに入ってきた。これら7座のうち5座が東北、それも青森、岩手県と最北の山々である。もともと東京から遠いことに加え、大震災のため、この地域の物見遊山を自粛していたからだ。しかし、このところ観光が奨励されるなど風向きも大分変わってきている。それならば、年内に何とかこの5座を踏破してしまいたい。それも本格的な降雪が始まる前、さらに欲を言えば紅葉の季節が終わる前にだ。

 週間天気予報を見ながら、タイミングを計っていたところ、
19日と20日の少なくとも2日間は好天が続くとのこと、21日の予報は曇りだが何とかなるだろう。初日は岩手山と八幡平、2日目は八甲田山と岩木山、3日目は早池峰山と、かなりタイトな計画を立てた。もう少しゆとりを持つべきとも思うが、雨の山歩きは御免だし生来のんびりすることが苦手という損な性分なので仕方が無い。さらにこの機会にテレビの映像や新聞を通してでしか知らない津波被害の実態を、自分の目で見、肌で感じてみることにしようと思う。

 前日
18日は昼まで用事があったので午後2時過ぎに自宅を出発。東北道を一路、北へ北へと向かう。それにしても東北は遠い。夜も更け、運転がしんどくなってきたので、途中の紫波SAで車中泊することにした。

 
5時間ほど仮眠、夜明け前に再びハンドルを握ってドライブを続ける。岩手山の馬返し登山口には5時前に到着。既に何台か車がとまっていて、皆さん出発の準備に余念が無い。お隣の人は既に準備万端、ヘッドランプを点けて歩き出したところだ。私も早速身支度を始める。パッキングをしながら、体調をチェックするが、どうも今ひとつなのだ。足首の捻挫はまだ完治していないし、どうやら風邪を引いたようで喉がひどく痛む。それに腹具合もおかしい。510分に車を後にしたが、案の定、すぐにトイレに直行する羽目に。駐車場の先にある広場のトイレに駆け込み、ぎりぎりセーフで事なきを得た。こんな調子では先が思いやられるが、天気だけは申し分ないのがせめてもの救いか。



         駐車スペースより(下山後撮影)               立派なトイレがある(同左)    

 
 朝日に照らされながら、ブナやナラの広葉樹林帯を歩く。紅葉はすっかり終わってしまっていて、既に山は晩秋から初冬の気配だ。道端には
0.5合目刻みの標識が出て来る。体調が思わしくないせいか、このスパンが随分と長く感じられる。やっと2.5合目の標識が現れた。ここは新道と旧道の分岐点になっている。先行していた登山者が一人休憩していた。ガイドブックによれば、新道は樹林帯、旧道は岩と砂礫の道とのこと。帰路は旧道ということにして、往路は新道を選択した。新旧登山道は並行して走っているので合目毎に100mほどの連絡道がつけられている。


          紅葉はすっかり終わっている                山頂方面が姿を現した



             新旧道の分岐                       新道五合目


 時折背後から大砲や機関銃の発射音が聞こえる。これは麓の陸上自衛隊の演習場からだろう。愛鷹山を歩いた際に富士山の裾野からも同じような火器の音がしていたことを思い出す。新旧登山道の分岐の標高は
1050m辺り、地図を見るとここから再び両登山道が合流する1700mまで等高線がかなり密になっている。歩いた実感もその通りで傾斜はかなりきつい。

 
7合目まで来るとハイ松の緩やかな道となり、ようやく山頂方面が望めるようになってきた。やがて8合目の立派な避難小屋に到着。ここに泊まった登山者から声をかけられた。昨夜は相当に冷え込んだとのこと。そう言えば小屋前に水場が見事に凍結している。


七合目からの山頂方面の眺め




             八合目避難小屋                       完全に凍結した水場


 正面には荒々しい岩峰(千俵岩か)が聳えていかにもアルペンチックな雰囲気だ。緩い登りを続けて行くと間もなく不動平に到着。ここから山頂の薬師岳へ向けて最後の登りとなる。岩手山には富士山同様、コニーデ火山上のピークに山名が付与されている。外輪山の最高峰を薬師岳と称しているのだそうな。ちなみに御鉢のピークは妙高岳と呼ぶらしい。火山帯だけあって不動平から上には樹木が全く見られない、月面のような火山特有の殺伐とした光景だ。


                  不動平                      九合目の避難小屋



火星のような風景、正面のピークが山頂



千俵岩方面を望む


 急だが、歩き易い道を登って御鉢のヘリに立つ。ここから半周した所が山頂だ。先行者が一名すれ違いで下山して行った。従って本日二番乗り、馬返しからちょうど
3時間で頂きに立った。快晴の空の下、山頂からの眺めは文句なしだ。地図と見比べながら、鳥海山、早池峰山を同定する。残念ながら今日これから向かう八幡平は雲海に覆われている。


          そっけない山頂標識                        御鉢のヘリ



八幡平方面には雲がかかっている



火口を覗く



妙高岳の背景は早池峰山


 しばらくすると単独が相次いで
2名登頂してきたので、そろそろ下りにかかることにした。せっかくなので御鉢をさらに半周して周回を完成させてから戻ることにする。この時間になると平日にも関わらず、ハイカーがどんどん登ってくる。姿も似ているが、やはり東北における富士山的な存在、地域の人に愛されている山なのだろう。帰路も演習場からの祝砲に迎えられながらどんどん下って11時ちょうどに馬返しに帰着した。休む間もなくナビを本日二つ目の目的地、八幡平にセットしてすぐに車を出した。


     下るにつれ見応えのある紅葉が出てきた           麓の農場から岩手山を望む


行動時間  5時間50
歩行時間  5時間10


八幡平

 馬返しから1時間半ほどで県境登山口に着いた。山頂レストランハウス周辺は有料なのでその下の無料の駐車場に車をとめる。八幡平はその名の通り、山というよりは高原台地だ。最高点を踏むだけなら30分もかからないが、それでは何のための山歩きかわからない。せめて八幡沼を周回して景色を楽しむことにしよう。

 石畳の立派な遊歩道を歩くと多くの観光客と行き違う。私は一応、ザックを背負って登山靴、ダブルストックという山歩きの出で立ちをしていたのだが、それが華やかでカジュアルな服装の観光客のなかにあって全く場違いなのだ。美ヶ原も似たようなミスマッチがあったことを思い出す。


              県境の駐車場                       石畳の道を行く



          岩手山が圧倒的な存在感                      正面は八幡沼



八幡沼の周回路


 遊歩道は石畳みから木道に変わり、八幡沼を半周したところで源太森への分岐があった。展望良好とのことなので、そちらに寄ってみることにする。少しは登山道らしい道を登っていくと、触れ込み通り素晴らしい展望台だ。ともかく印象的なのは岩手山。関東における富士山同様、この山域でこれほど存在感のある山は他にあるだろうか。その晩、宿でローカルテレビの報道番組を見ていたら背景に岩手山を配置していた。やはり地域のシンボル的な存在なのだ。


            ここから源太森へと向かう                  源太森のピーク



源太森から八幡沼を展望する


 再び八幡沼に戻って周回を続けて行くと労無くして八幡平の最高点に到着。ここには展望台があったので一応登ってみるが、どうということなし。今回の行程では、どうゆっくり歩いても距離が短いので時間がかからない。
1時間45分で八幡平を終えた。今日の宿、安比へ向けてハンドルを握る。


            八幡沼の北側を歩く



           頂上の実感無しの頂上標識                   展望台



岩手山を最後まで堪能する


行動時間  1時間45
歩行時間  1時間15


八甲田山へ続く


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