1668m 北海道 | |
2014年7月14日(月) 昨日は樽前山を終えてから夕張へと移動。スキー場近くのホテルに投宿し財政破綻した地元にささやかな経済貢献を行った。翌未明、ホテルを発って小雨の降る中を夕張岳登山口へと向かう。 まだ薄暗い中、452号線から白銀橋を渡るポイントを見過ごして思わぬタイムロス。それでも何とか午前4時過ぎには起点となる林道のゲートに着くことができた。先着の車が数台。皆さん車中や駐車スペースにテントを張って夜を明かしたようだ。 本来であれば、ここからさらに7Km奥まで車で入れるのだが、擁壁の崩落により今シーズンは通行止めとのこと。徒歩で行くしかない。今日の天気は今一つ。雨具上下はもちろん、足元はロングスパッツで雨対策を万全にして車を後にする。時刻は4時30分。
林道歩きはいつもながら単調で、どこまで行っても景色が変わり映えせずうんざり。それでも様々な鳥の囀りや、道路脇に繁茂する巨大化したフキやシダ類など、私には余り馴染みの無い植生が気を紛らわせてくれる。 行程の三分の二ほど来た所で自転車に乗ったハイカーに追いつかれた。彼は少しきつい上り坂になると躊躇なく自転車を降りて押し歩きをしているが、それでも単に歩くよりはずっと早い。直に姿が見えなくなってしまった。 1時間30分かけて本来の林道ゲートに到着。ようやくスタートポイントに立てた。このすぐ先で尾根か沢で道は二手に分かれる。私は尾根を辿る馬の背コースを選択。自転車氏は冷水コースを登るそうだ。
改装中の夕張ヒュッテを過ぎるといきなり急坂の始まり。泥濘で滑りやすいので慎重に足を運びながら、どんどん高度を上げていく。噴き出る汗がポタポタとメガネに滴るのが鬱陶しい。多少の視界不良を我慢する方がマシとメガネを外していくことにする。
急登が一段落すると痩せた尾根を登り下りしながら歩くようになる。これが馬の背の所以なのだろう。嬉しいことに次第に上空のガスは薄くなり、時折太陽が顔を覗かせるようになってきた。どうやら雲海を突き抜けつつあるようだ。左隣には滝ノ沢岳らしき姿も見える。
ほどなく冷水コースと合流。所々ロープのかかった急坂を登っていくと望岳台に着いた。十勝岳にも同名の地名があるが、スケールは百分の一以下といったところか。ここから道は前岳の山腹をぐるりと左から巻いて行く。
次第に植生保護のための木道歩きが主体になる。男岩やガマ岩などの奇岩を過ぎると愈々お花畑が連続する素晴らしい眺め。圧倒的に多いのはシナノキンバイらしき黄色の大ぶりな花だ。ともあれ、個々の花名は絶望的に頭に入らないので美しいイメージだけを脳裏に焼き付けることにしている。
しばらく平坦なお散歩コースが続いた後は最後の急登を喘ぎ登り頂へ。8時55分、夕張岳山頂に立った。雲が多くて眺望は歩いてきたお花畑方面だけだが、雄大な眺めには大満足。ただ陽が雲に遮られているので少々肌寒い。
どうやら今日の山頂一番乗りは私だったようだが、その代償は大きかった。登山道脇にびっしりと生えた下草の露払いの連続で下半身がずぶぬれになってしまった。登山靴もずっと水浸し状態だったのでついに浸水。ソックスを絞ると驚くほどの水を含んでいた。どうやらこれが後述の苦難の原因になったようだ。 ハンガーノックに備えて早めのランチを胃に納めてから下山開始。山頂から鞍部へ下りきったところで自転車氏と再会する。その後も次々に後続のハイカーと出会った。お花畑を過ぎた頃からそれまで快調だった足に異変が起きた。両足のつま先が痛いのだ。山頂でしっかり靴紐を締めなおしておいたにも関わらず、歩くほどに痛みが強まり、特に左足親指は生爪を剥がされているかのような激痛に苛まれるようになってきた。 トレッキングポールに縋りながらそっと足を下ろしながら下山するので登りよりもむしろペースダウン。理由は良くわからないが、ソックスが濡れてクッション性が失われ、靴の中で足が遊ぶようになってしまったからではと推察している。 林道歩きでも痛みは治まらず、そろりそろりと歩く拷問の7Kmとなってしまった。午後1時20分、ゲートに帰着。早速足枷状態であった靴を脱ぐと親指と小指の爪は赤黒く変色し、爪の生え際が赤く腫れあがっていた。今までの山歩きで経験したことのないトラブルで、久々に泣きの涙の辛い山歩きになってしまった。どうも2年前のカムエクといい、今回といい北海道の山とは怪我に縁がある巡り合わせになってしまったようで残念だ。 行動時間 8時間45分(登り下りがほぼ同タイム) |