雪倉岳  2611m 新潟・富山県       二百名山
 

一日目より

2019年9月7日(日)

 午前3時に起床。相部屋は私を除き三人。一人は栂海新道を下山、あとの二人は三国境から白馬大池経由蓮華温泉へといずれもこの日長丁場を控えた早立ち組だ。

 3時45分に朝日小屋を後にする。ここから雪倉岳へは朝日岳の富山側を巻く水平道に進むのが一般的だが、私は敢えて朝日岳へ登り返すことにした。朝日岳から赤男山との鞍部迄、主稜線を歩いておきたいためだ。一筆書きとはいかなくても、行く行くは親不知から焼岳まで縦走路を繋げてみたいという他愛無い拘りのせいで、高度差250mの登降をすることになる。


水平道分岐


 ヘッドランプの明かりを頼りに前日下ってきた道を登る。見上げれば降るような星空、振り返れば黒部市や魚津市辺りの夜景が美しい。55分かけて二度目の朝日岳山頂に立った。


 残念ながら北アの峰々は漆黒の闇の中。東を眺めると赤みがかった瑠璃色とのグラデーションを背景に頚城の山々がシルエットになっている。こうした大自然のショーを目の当たりにすると山歩きを続けていて良かったとつくづく思う、ささやかな至福の時だ。


 山頂から縦走路へ進むと途端に道のクオリティが低下する。ガレ場のような下りや踏み跡も薄い登山道。明らかにこの道を選択する登山者は少ないのだろう。

 白み始めた空の色は時々刻々変化し、やがてご来光を迎えた。日の出は雨飾山と高妻山の中間辺りだろうか。水平道に合流したところで小休止していると、折しも相部屋の若い二人組と夕食時ご一緒した京都の女性がやってきた。彼女は私より一回り年下、山小屋で食事をしても寝泊まりはおひとり様テント。重荷を背負って今日は白馬大池経由蓮華温泉まで歩くという女傑だ。彼等とは鉱山道分岐までご一緒することになる。


ご来光



雪倉岳



朝日岳からの縦走路のクオリティは今一つだが、、、



水平道はこんなに立派


 赤男山を新潟県側から巻くと、どっしりした雪倉岳が正面に見るようになった。ここから山頂まで意外に長い。やっと山頂かと思わせるとまだその先にピークがあるというフェイントに何度騙されたか。体力以上にメンタルがやられそうだ。


先を行く三人



赤男山をトラバース



いよいよ近づいてきた雪倉山 このアングルから眺めるのは初めて



これが山頂と思ったら大間違い



主稜線に出てからが長い


 それでもめげずに休まず歩き続けていくと、ようやく本物の頂に着くことができた。時刻は7時30分。二年前の5月以来三度目の雪倉岳だ。大展望を心行くまで堪能し、次のマイルストーンへと進む。


二年ぶりの頂



白馬岳と旭岳がド迫力



剣岳も



下界に目を転ずれば能登半島と富山湾



頚城の峰々もくっきり



鉱山道分岐へと向かう



内部はとてもきれいに管理されていた雪倉避難小屋


 二年前にスキーで山頂を越えた鉢ヶ岳の夏道は東側を大きく巻いている。三国境に向かって100mを登り上げるとようやく鉱山道の分岐があった。ここまでご一緒した三人に別れを告げ一足先に下山にかかる。マーキングを外さないよう注意しながらザレた斜面を下って行く。ここで単独の若者と行き交った。濡れた下草と蜘蛛の巣が酷かった由。露払いして頂き助かった。丁重にお礼をしておく。


鉢ヶ岳を巻く



振り返ると鉢ヶ岳が凛々しい



鉱山道分岐



ザレ場を下る 正面は2年前に滑降した東面の尾根


 この辺りから暑さがボディブローとなってきた。頭がボーッとし足取りも危なっかしい。強い陽光に首筋が焼かれ頭に登る血流が沸騰。脳天が完全にオーバーヒート状態だ。幸いそこかしこに水の流れがあるので冷却水には事欠かない。タオルを冷たい水に浸し頭から被った。この強制水冷でようやく壊れかけた頭は正常に復帰。足の運びもしっかりしてきた。


水場は豊富



この沢は飛び石で渡渉 大雨直後は通過困難かも



ここにもジジ岩、ババ岩があった


 その後、単独、カップルの三名と行き交ったが、異口同音に今日初めて人に出会ったと言われる。確かに利用者は少ないようで踏み跡は薄く、完全に草で覆いつくされている箇所すらあった。

 やがて沢音が大きくなると瀬戸川が近い。そこで出会ったのが軽装のカップル。この道はどこに行くのでしょうかと聞かれて思わず仰け反った。どうやら遊歩道と間違えて鉱山道に入り込んでしまったらしい。瀬戸川の仮橋を渡った後、15分ほどで遊歩道との分岐点に着いた。そこには、はっきりと鉱山道と書かれているに先ほどの二人は何故ミスルートしてしまったのだろうか。私もかなりの方向音痴だが、上には上がいるらしい。


瀬戸川の仮橋



随分と下ってきた



蓮華温泉に戻ってきた


 30分ほど木道を歩き続けると、野鳥の森で往路に合流。午後1時15分に駐車場に帰着した。実地に現場に足を運んだことで、栂海新道と山スキーで朝日岳を再訪したいというモチベーションが益々高まってきたが、実現できるかどうかは偏に老化の進行次第かな。


行動時間 9時間30分


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