第二日目(唐松岳)より続く
2011年9月9日
三日目
3時に起床。雪倉岳へ向かう相部屋の二人が起きだしたので、私も一緒に寝床を離れた。山荘に用意してもらった弁当を食べて彼らより一足先に山荘を出発。外は濃いガスと強い風が吹き荒れている。昨日の穏やかな天気とは何という違いだろうか。ガスのなか、ヘッドライトの明かりだけでは頼りない足元が、曇った眼鏡を通すので余計に見辛い。
白馬岳の山頂には昨日往復しておいて良かった。山頂標識はそのまま素通りして三国境へと向かう。予報によれば、富山県は雨、新潟県は曇り、長野県は晴れだとか。今日のコースは富山県方向へ向かっていくので最悪だ。案の定、風がますます酷くなってきた。こんな悪天候が続くようなら雪倉岳ピストンは諦めようかと弱気になる。
ところが三国境が近くなると少しガスが晴れて、雪倉岳が姿を現したではないか。天候悪化との競争になるが、行ける所まで行ってみようと腹を決めた。それにしても随分と下るものだ。白馬岳山頂から既に高度を200m下げている。ここからさらに300mを下らねばならない。時折波状攻撃してくる強風に体がもっていかれそうになる。あまり格好良くないが、少し腰を落とし、足をがに股気味に広げて風に負けないように歩く。
朝日に元気づけられる 雪倉岳が見えた
鉢ヶ岳の巻き道辺りで本日初めての登山者と行き合った。大きなザックを背負った男女の若者達だ。雪倉岳の避難小屋から来たのだろうか。やがてその避難小屋が見えてきた。振り返るとさっきまで見えていた小蓮華山がすっかりガスに隠れてしまったではないか。天候は着実に悪化しつつある。雲がどんどん低くなってきているのだ。
雪倉岳方面にはまだガスは無いが。。。
後ろを振り返ると雲がどんどん降りている 避難小屋
少しでも展望があるうちにとペースを上げて雪倉岳山頂を目指すのだが、風の抵抗を受けてままならない。ともかく、この辺りの風が一番凄まじかった。背中をどつき、足をすくってくる。バランスを崩さないようにするのが精いっぱいだ。山頂に着いた頃には周囲はすっかりガスに飲み込まれてしまった。残念だがタッチの差で遅かった。長居は無用。山頂標識をカメラに収めてすぐに下山を始めた。
山頂には着いたものの 視界20m
天候は見る見る悪化
避難小屋まで下ったところで、相宿の二人組に出合った。強風に気を付けるよう伝える。しばらくして振り返ると時々立ち止まっているので、やはり風に難渋しているようだ。この頃になると風に加えて雨も降りだしてきた。雨滴がパラパラと顔を打つ。風を避けハイ松帯のなかで雨具上下を身に付けた。最近は予報が晴天を約束する日に日帰り山行ばかりしているので、雨具を着るなんて本当に久しぶりだ。
すっかりガスに閉ざさてしまった道を行く。蓮華温泉へと続く鉱山道への分岐を過ぎるといよいよ雨が酷くなってきた。その分風が治まってきたのがまだしもか。三々五々、中高年のパーティと行き合う。こんな天気にも関わらず、皆さん朝日小屋を目指しているらしい。
見落としてしまいそうな鉱山道分岐 三国境
300mほどの高度差を登り返してようやく三国境に到着。ここからは比較的緩やかに下り続けていく。晴れていれば気分も最高の稜線漫歩なのだろうが、今は機械的に足を動かすのみ。小蓮華山の頂上付近は崩壊のため立ち入り禁止となっていた。先行する人達を追い抜いてどんどん下り続ける。ようやく白馬大池が見えてきた。ここも天気が良ければ風光明美な高原の湖なのだろうが、今日はモノクロの風景。そのまま素通りして先を急ぐ。大きな石が累々と堆積していて歩き難い。
雨の稜線歩きは悲惨 白馬大池
乗鞍岳を通過し、濡れた岩でのスリップに気を付けながら下り続ける。次から次にハイカーとすれ違う。やはりここは人気の山域なのだ。雨は小ぶりになってきたし、高度が下がり暑苦しくなっていたので雨具を脱いだ。時折雨脚が強まることもあるが、面倒なのでこのまま下山を続ける。天狗原から樹林帯のなかをジグザグに下り続け、栂池ロープウェイ駅に直行した。
白馬大池発12時14分の列車に間に合わせたかったが、力及ばず。栂池高原駅到着は12時半になってしまった。次の便は3時間以上も後なので大糸線で戻ることは断念。温泉でさっぱりしてからタクシーで道の駅白馬へと向かった。八方へ向かう大宮の方と相乗りになったので多少のコストダウンができたのは幸甚。
行動時間 7時間40分
歩行時間 7時間30分
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