美ヶ原  長野県 2034m    百名山 
 


2010710

 この山も手抜きをすればただの高原散策で終わってしまいそうだ。ビーナスライン沿いの美ヶ原高原美術館から歩くと高低差は殆どなきに等しい。ところが地図を眺めるとこの台地は結構、等高線の詰まった急峻な地形の頂上部分に形成されているのがわかる。楽をするのは好きだが、やはり汗をかいて頂上を極めることで多少なりとも達成感を得ないと不完全燃焼になりそうだ。と言うことで美ヶ原の南西の麓にある三城いこいの広場から百曲登山道を登ることにした。



            駐車場から美ヶ原を見上げる                     駐車場(下山後撮影)



 
霧ヶ峰から1時間ほどで三城に着いた。駐車場から車道を横切ってすぐに百曲登山道の案内がある。ここから歩き出すがすぐにまた道路になってオートキャンプ場のなかに迷い込んでしまった。キャンプ場の一番奥まで進むがこの先には踏み跡が無い。地図を見ると道は沢沿いにつけられているようだ。沢音のする方向へ苔むした木々と羊歯の林のなかを藪漕ぎしていくとすぐに登山道に出た。しばらく沢の流れを遡行していくと全く人の気配が無い県民の森キャンプ場に着く。ここから百曲りの登りとなる。



            草深い登山路                          ちょっと荒れ果てた感じがしないでもない




日本庭園




 
山自体の斜面の勾配はきついが、登山道は適度の斜度を保ってジグザグにつけられているので快適である。それこそ名前通り数え切れぬほどのジグザグを繰り返したところで正面に茶臼山への稜線の岩峰が見えてきた。最後の急坂を終えると目の前にいきなり広い空と共に大平原が広がった。何とも言えない開放感がある。左手遠くにはアンテナの林立する王ヶ頭が見える。宮崎監督の天空の城ラピュタを連想するとどなたかが書いていたが、まさにそんな雰囲気だ。かつて牧牛に塩を与えたという塩クレ場を過ぎると車道があり、その先に美しの塔が見えてくる。この塔自体は何の変哲もない非対称な構造物であるが、ここに刻まれる詩人の尾崎喜八の詠った詩がポイントなのだろう。「登りついて不意にひらけた眼前の風景にしばらく天井が抜けたかと思ふ云々」はまさに先ほど私自身も感じたことだ。三城から額に汗して登ってきて大正解だった。



王ヶ頭のアンテナ群




     牧場のなかを歩く                美しの塔


 
美しの塔から王ヶ頭へはバスが往来する道を進む。ホルスタインの牛達がのんびり草を食んでいる。王ヶ頭ホテルとアンテナ群のなかを抜けていくと王ヶ頭の頂上があった。山の頂上という感覚からはほど遠い。クライマックスは百曲登山道を登りきったところで既に終えているので頂上は単なる通過点といった感じ。すぐに下山にかかる。しばらくは急な下りであり、こちらを登りにとるのは辛いかも知れない。次第に緩やかな下りとなる。この辺りで何組かのハイカーとすれ違った。最後は車道をしばらく歩いて出発点の広場に帰着した。



               王ヶ頭山頂



 
ただの高原歩きと思って正直気乗りしないでも無かったが、美ヶ原にしても霧ヶ峰にしても流石は百名山としてノミネートされるだけはある。それだけの価値があるとあらためて納得した一日だった。



行動時間    3時間10分
歩行時間    2時間45分




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