霞沢岳  2646m 長野県      二百名山
 

 主稜線から外れていることもあり、これまで中々足が向かなかった日本二百名山の一つ、霞沢岳。上高地から日帰りすることを当初計画していたが、標準CTが13時間と相当な長丁場のため、どのみち前泊か、後泊が必要になってしまう可能性が高い。それならば、いっそ徳本峠小屋泊まりにして、山を愛す者として一度は歩きたかった「近代登山を支えた古典的ルート」、島々から徳本峠を結ぶ古の街道をこの機会に体験してみることにした。


2017年7月14日(金)

 今回は登山の起点が島々、下山地が上高地とかなり隔たっている。島々に車が置ければ良いが、事前に調べた限り、他人様に迷惑をかけずに駐車スペースを確保するのは難しそうだ。色々選択肢を考えたが、結局は無難に沢渡の有料駐車場に車をとめ、島々へは路線バスで向かうことにした。


沢渡大橋前の駐車場 平日早朝のせいかガラガラ


 午前7時前に沢渡大橋バス停前の駐車場に到着。時間があるので、ゆっくりと朝食と身支度を済ませ、7時51分、定刻通りやって来たバスに乗り込んだ。延々と登って来た野麦街道を20km近く引き返すのは、如何にももったいないが仕方ない。

 バスはすれ違いに窮するような狭いトンネルを幾つも抜けていく。実は選択肢の中には自転車という案もあったのだが、これは止めておいて正解だった。そんな選択をしたら何度も寿命の縮む思いをさせられただろう。

 安曇支所前で下車すると、道路脇には徳本峠入口との大きな案内板があった。辺りを見回しても他にハイカーはいない。今日も気楽な一人旅だ。島々宿の集落を抜けると、島々谷川沿いの遊歩道に出た。獣害防止柵を過ぎ、暫くは川のせせらぎを聴きながらの林道散策となる。


ここからスタート



獣害防止柵



川沿いの林道を歩く



砂防ダム 林道はまだまだ続く


 1時間20分、余り変化の無い林道歩きにいい加減飽き飽きし始めた頃、島々谷林道の終点、二股に着いた。ここから島々谷南沢沿いの山道となる。登山道は良く整備されており、渓谷美を愛でながら、ゆっくり高度を上げて行く。何か所か沢を渡るポイントがあるが、どこも立派な橋が架けられていたので濡れる心配は無用だ。


やっと登山道になった 「奇怪な樹形」が確かに多く見られる



例えばこれら



渓谷美を楽しみながら登行


 小沢を横切る場面で2か所ほど最近の大雨に依るものと思われる登山道の崩落があった。そんな危険個所には、しっかりした巻き道が踏まれていた。

 歩き始めから3時間を過ぎ、ようやく岩魚留小屋が見えてきた。廃屋小屋の前には単独男性二人とカップルの4名の先客が休憩していた。かつては賑わいを見せた街道も今や昔、ややマイナー感のあるコースだが、一度は歩いてみたいと思ったのは私だけではなかったようだ。


岩魚留(止?)小屋


 顔の周りを飛び交う虫が煩くなってきたので、特製ハッカ油スプレーを衣服や帽子に噴霧しておく。首筋にもかけるとひんやりと清涼感も満点だ。手早くランチを済ませ一足先に登行を再開した。

 歩き出してすぐに現れた倒木利用の橋は狭く、ロープも無いので中々スリリング。雨で濡れていたらかなり緊張しそうだ。次第に細くなった流れを渡り返しながら更に高度を上げて行く。


中々㋖な丸木橋



虫がまつわりつくジグザグ道


 徳本峠まで後1000mという辺りで単独の年配女性に追いついた。聞けば都内発の上高地行深夜バスを利用し、安曇支所前で途中下車させてもらったとのこと。成程そんな手もあったのだ。

 いつ果てるとも知れないジグザグ道にウンザリし始めた頃、いきなり目の前が明るく開けた。本日の目的地、徳本峠に着いたのだ。残念ながらウエストンが最後の別れに眺めて涙したという前穂や明神岳はガスのベールに包まれていた。歩き始めからの単純標高差1400m、5時間45分のトレッキングだった。


北アにしては質素な徳本峠小屋



上高地側は雲が邪魔しているが、、、



同じ雲でも南側の山には滝雲が流れ落ちていた


 早速徳本峠小屋にチェックイン。着替えを済ませた後は、早速お決まりのビールで無事到着の祝杯をあげたのだった。


二日目へ   


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