天塩岳  北海道 1558m   二百名山  
 


大雪黒岳より続く

2011731

 天塩岳の登山口、天塩ヒュッテには日暮れ前に無事到着した。旭岳が時計の9時とすれば、トムラウシの6時、黒岳の3時と反時計方向に回ってきて、ちょうど12時の位置に来たということになる。

 既に午後
6時を回っていたが、この時間になって相当年配のハイカー達が続々と下山してきた。彼らが慌ただしく帰った後には車が三台のみ残されていた。一台は自分のもの、二台目はやはりレンタカーで埼玉の人、三台目のオーナーは山中にいるらしい。


            天塩ヒュッテ(前日撮影)                           炊事場とトイレ


 火を使わない食事は味気ないが、その分手間暇かける面倒も無い。道すがら調達したコンビニ弁当と保冷剤に包んだビールで簡単な夕食をとる。今回の遠征で三日目となる車中泊。せっかく立派なヒュッテが目の前にあるのだが、大部屋に泊まるよりも慣れ親しんだ個室感覚の車内泊とすることにした。

 朝目覚めて辺りを見渡すと、いつの間にか車の数が増えている。隣には気がつかないうちに倉敷ナンバーの車がとまっていた。

 この車のオーナー御夫妻は先陣を切って
4時過ぎに出発。半時間ほど遅れて私も車を後にした。彼らには申し訳ないが、しっかり熊払いを頼みますよと声なき声で呟く。


         登山口には熊注意の標識(前日撮影)                       美しい清流


 しばらくは沢沿いの平坦な道を行く。歩き始めてすぐに上高地の大正池にも似た清流があった。その後板を渡した橋を何度か渡る。

 間もなく新旧連絡路分岐が現れるが、間違えて新道に少し入り込んでしまう。すぐに気が付いて引き返し旧道へと進む。さらに沢沿いを行く旧道との分岐を過ぎて山腹を登るようになる。傾斜が次第にきつくなり、呼吸も少し乱れ始めたところで先行していたご夫妻に追いついた。これで熊は自己責任で何とかしなくては。


                 沢を渡る                              新旧連絡路分岐


 標高が
1300mを超えると、そろそろ森林限界だ。山腹に伸びるトラバース道を見送って前天塩岳への岩礫地帯を登る。山頂は360度の大展望で文句なし。手入れする人がいないのか頂上標識が朽ち落ちている。目の前には天塩岳、堂々とした山容が立派だ。その背後には大雪山と思しき雪を頂いた山々が展望できる。

 それにしても、前天塩などとあたかも天塩の付属物かのような扱いはかわいそうだ。殆ど標高もかわらず、とても存在感のある立派な山なのにと思う。


        トラバース道分岐                   歩きにくい岩礫の道


           山頂まで後わずか                            朽ち果てた山頂標識



雲海に浮かぶ北方面の山々


天塩岳、背後は大雪山

 小休止した後は、白骨のようなはい松の枯れ枝のなかを下りにかかる。約200m下って登り返すしんどい道だ。それに狭い登山道の両脇から朝露に濡れた草木がおおいかぶさっている。またもや下半身びっしょりだ。またもや靴にも浸水してしまった。慣れっこになったとは言え、あまり快適ではない。


           はい松の枯れ枝多数                          これでまたびしょ濡れとなる         


 天塩岳の山頂近くまできたところで中高年のご夫妻と出合った。彼らは避難小屋に泊まった由。これで三台目の車のオーナーが判明したわけだ。

 7
30分、歩きだしてちょうど3時間で今回北海道3座目となる200名山の頂を踏んだ。一人占めの山頂。天候にも恵まれて今回の遠征で計画した全ての山に登ることが出来たのは感無量だ。


天塩岳山頂



この尾根を下る、雪渓の上に避難小屋あり


 しばらく景色を楽しんだ後、今回の遠征最後となるこの天塩岳に感謝をこめて有難うと言い下山を開始する。随分と遠方に見えた避難小屋だが、意外にあっさり着くことが出来た。円山から振り返り天塩岳に最後の別れを告げる。


円山から


 標高が下がるにつて蒸し暑くなってきた。新道分岐付近で単独男性や家族連れのハイカーと出合った。週末でもあるし、結構な登山者がいるらしい。ひたすらどんどん下り続け、
10時ちょうどにヒュッテに帰着した。


 泥のついた靴やスパッツを洗い、車に積み込んだ。着替えは後にしよう。すぐにハンドルを握り、旭川へ向かう途中の協和温泉へと向かう。ここでゆっくり汗を流した。目的も達したし、後はまともな食事にでもありつこうと幸せな気分で走り出した途端、いきなり後部のタイヤがバーストしてしまった。車のなかをあちこち捜索したが、スペアタイヤはあるものの、工具類が一切見当たら無い。携帯も通じない山中で無くて本当に良かった。愛別市街地に近かったので、時速数キロのゆっくりしたスピードでガソリンスタンドへと車を運んだ。店主いわく摩耗著しいタイヤで他もいつパンクしてもおかしくない状態とのこと。ネットで最安のレンタカー屋を選んだのだが、安いなりの理由があることに改めて納得したのだった。
       バーストしたタイヤ

 この日は旭川市内のビジネスホテルに泊まった。初日の安宿には懲りたので別のホテルだ。翌日午前中は時間があったので改めて美瑛を観光、その後旭川空港へと向かった。



行動時間  5時間30分
歩行時間  5時間

 

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