2019年4月4日(木)
今冬は寡雪と言われながら、4月に入り街ではサクラが満開というのに山には大量の降雪。おまけに真冬並みの寒さ続き。これなら季節外れのパウダーが狙えるかもしれないと、押入れ深くに仕舞い込んでいたスーパーファットを現役復帰させ、今シーズン3回目の平標山へと向かった。
しかも嬉しいことに今回はKさんのガイドで初見参の平標沢。2月に二居俣ノ頭に登った際、一ノ肩へと続く稜線の先に圧倒的な存在感があって強く印象に残った沢だ。
下山後は土樽へと抜けるのが一般的とは言え、毛渡沢沿いの長く単調な林道歩きは少々かったるい。いっそ日白山のコルへと登り返し、二居へ周回した方が面白そうだ。これなら累積標高差1800m近いスキー滑降を楽しむことが出来ると、地図を眺めながら取らぬ狸ならぬパウダーの皮算用をしてみた。
田代スキー場にKさんの車をデポし、私の車で火打峠へ。何とここで昨秋巻機山の米子沢遡行でご一緒させてもらったスーパー女史のSさんと嬉しい再会。彼女はお仲間と西ゼンを滑降するとのことだ。
岩魚沢林道の様子
午前7時ちょうど、Sさんパーティより一足先に、スキーを履いてハイクアップ開始。久々の太板はずっしりと重いが、この板無しには今日の行程は考えられない。幸い数名が先行しているので新雪に深く刻まれたトレースは盤石。良くできたハイウェイに楽をさせてもらい順調に高度を上げていく。
ハイウェイを有難く拝借
ヤカイ沢 左俣は全層雪崩、右股はデブリなし
尾根に出るとこの景色
被写体の定番 苗場山
佐武流山方面もくっきり
やがて仙ノ倉山も登場
10時25分に平標山山頂に到着。ラッセルのお礼をしたかったが、先行者は既にヤカイ沢を滑り降りていたのでかなわず。毎度お馴染みの強風の洗礼を浴びつつ、滑降の支度をする。
先行していた埼玉の方に撮って頂いた 季節外れのスーパーファット
風に叩かれてガリガリの稜線は横滑りでやり過ごす。一ノ肩の北側をトラバースし平標沢の源頭部へ。スタート地点に立つと二居ノ頭から遠目で観察した通り、幅も広く適度な斜度。緊張を強いるスティープなスロープも無い、私のために誂えたような沢だった。
二居俣ノ頭から日白山、東谷山にかけての稜線を望む
ガリガリの稜線を滑降するKさん
一ノ肩をトラバースする私
Kさん平標沢へGo 最初は堅いがやがてパウダーゾーンへ
同上 私
ドロップすれば、真冬と錯覚しそうな底突きなしの真正パウダー。貸し切りのナチュラルゲレンデに二本のシュプールを刻み、どこまでも落ちていく。
Kさん
Kさん
私
私
4月とは思えない雪
浮遊感を楽しむ
長釣尾根の手前にあるコルから派生する支尾根に登る予定だった
やがて沢幅は狭まり、カンバコギ沢との出合いを過ぎるとそろそろ登り返し地点となる。日白山と二居ノ頭との最低鞍部に出る支尾根に取りつきたかったが、下から眺めても地形が複雑でルートが読み切れない。結局歩き易そうな枝尾根に取りつき、長釣尾根をハイクアップする結果となった。
雪が重くなってきた
そろそろ前半戦終了
シールオンして、ここから登り返し
気温上昇でパウダーはすっかり水分たっぷりのグサグサ雪に化けてしまった。しかも未だ十分に沈降していないので、スーパーファットをもってしても脛までもぐってしまい始末に悪い。Kさんと15分毎に交替しながら重雪をかき分け道つくりに精を出す。いつしか仙ノ倉沢が遥か眼下に望めるようになると、屏風のように立ち並ぶ谷川岳の大展望を背にするようになってきた。
重雪をラッセルするKさん
結構な急斜面もある
少しずつ高度を上げると、
平標沢のシュプールが見えてきた
稜線の雪庇が凄い
コルまでもう一息
雄大な景色をバックに登高
当初予定していた支尾根 奥のピークは二居俣ノ頭
この急斜面を登れば稜線
登ってきた長釣尾根
日白山直下から稜線へ
平標沢見納め コルへ滑降するKさん
同上 私
600mの高度差に2時間45分かけてようやくコルに到着。当初予定していた最低鞍部より80mも高いところに出てしまったが、特に難所や危険なところもなかったので結果オーライとしておこう。
日白山の頂きは目と鼻の先にあるが割愛。早速シールオフし、再び滑走態勢に入る。一旦最低鞍部へと滑り降りてから、楽しいツリーラン・・・のはずが、腐りきって重く沈み込む雪にターンはままならず大苦戦。しかもスキーカットされた斜面からはアンモナイトのような雪まくりが大量発生。これがかなりのサイズまで巨大化し自重で崩壊するので、二人で滑っているうちに斜面は一面デブリで埋め尽くされてしまった。スキーにならないスキーで四苦八苦しながら、何とか林道に出ると後は自動運転。二居集落まで雪を繋いで滑り降り、今回の楽あり苦あり、何でもありの周回ツアーは無事終了した。
行動時間 9時間25分
Gear Pontoon 159cm / Scarpa F1Tr
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