白馬大雪渓BC    長野県        
      

20145月16日(金

 5月も半ばを過ぎ春スキーもそろそろ終盤。白馬山荘を根城にして柳又谷や清水谷などの源頭を滑ろうと計画した。大ベテランのKさんにも声をかけ、同行して頂けることになったので何かと心強い。気がかりなのは天候。午後には気圧の谷が通過して崩れるとの予報なので午前中が勝負となりそうだ。

 深夜に自宅を後にして猿倉には早朝
4時半に到着。手早く身支度を整えてスキーを肩に歩き出す。雪解けがかなり進んでいて、2週間前には駐車場から途切れることなく続いていた雪は所々にその名残があるのみだ。残雪と反比例して若葉の緑が際立ってきた。雪と新緑のコントラストが季節の移り変わりを感じさせてくれる。


           スキーを担いで猿倉を出発                       青空の下、小蓮華山の稜線


 長走沢の手前まで来てようやく雪がつながったのでスキー登行に切り替えた。金山沢との出会いから大きく左へドッグレッグして、いよいよ大雪渓へと入る。縦皺だらけだが、落石も少なくスキーには不自由なさそうだ。


        金山沢の下部はまだ雪がつながっている                長野県側は晴れているが、、、  



大雪渓の奥は不気味なグレー


 やはり気になるのは天気。上空に目をやると、富山側から雲が驚くほど早い速度で押し寄せている。先ほどまでの青空と陽光はどこへやら。大雪渓の奥の白い稜線を際立たせるように、背景の空がどす黒い不気味なグレーに変わりつつある。

 つい先ほどまで見えていた小蓮華山の稜線もいつしかガスに覆われ始めた。杓子尾根を観察すると風の咆哮と共に、木々が激しく揺さぶられている。気温も低下し雪面は早くもクラストしてきた。どうやら予想よりも早く天候が悪化しそうな気配だ。

 白馬尻を過ぎると斜度が一段ときつくなる。標高
1900m辺りでクトーを装着。風はますます強まり霰が舞うようになってきた。幕が下りてきたかのように今や杓子岳は完全に雲に飲み込まれてしまった。

 葱平が近くなると、辺り一面大小の落石だらけ。まるでバケツの砂利を撒き散らしたかのようだ。しかも直径
20cm前後の石が、こちらに向かっていくつも転がり落ちてくる。


先行する単独、周囲は落石だらけ


 この落石地帯を前に先行していた単独スキーヤーがアイゼン登行の準備をしていた。彼は初めての大雪渓なのでもう少し上の様子を見に行くと言う。

 さて我々はどうするか。足元は既に氷化しているし、暴風、視界不良、現在進行形の無数の落石とこれ以上登行を続けるモチベーションは何一つない。
Kさんと相談し、ここで引き返すことに決定。

 シールを剥がして
815分に滑降を開始する。エッジを効かせてスピードを抑え、地雷を踏まないよう注意しながら下る。


落石を縫って滑降開始


 標高が下がるとカチカチだった雪面も緩んで来て、少しスキーが楽しめるようになってきた。途中で若いカップルと単独の登山者
3名とすれ違う。雪の途切れたところでシートラーゲンに切り替え、930分に猿倉に帰着。タイミングを見計らったように小雨が降り出した。


          楽しい滑降は一瞬で終わり、、、                         後はテクテクと



行動時間 4時間20

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