至仏山BC  群馬県 2228m   百名山    
   

20144月12日(日)

 山スキーを始めて今年で4シーズン目。これまで毎シーズン欠かさず、鳩待峠開通前の静かな至仏山で春スキーを楽しんできた。今年もそのつもりでチャンスを窺っていると、この日曜日はスポット的に山日和との予報。前回の浅草岳から余り間が空いていないが、老い先短い我が身、行けるときに行ってしまおうと、いそいそと支度をして自宅を出た。

 午前
6時に奥利根ゆけむり街道のゲート前に到着。駐車スペースは既にほぼ満車状態で、辛うじて残った僅かなスペースに車を潜り込ませた。後から来た車は路駐を余儀なくされている。先着の車の主は既に皆出発しているようで人気はない。

 6
40分、通常装備に加えてスキーとブーツでずっしりと重くなったバックパックを背負ってクロスバイクにまたがる。ゲートをやや下った所から、辛いヒルクライムが始まる。ウォーミングアップする間もあらばこそ、いきなりの重労働に心肺がついてこない。ぜいぜいと息も絶え絶えの55分、ようやく津奈木橋が見えてホッと一息ついた。


         重荷を背負ってバイクを漕ぐ姿            津奈木橋で自転車をデポ


 昨シーズンは何故か快調で鳩待峠までペダルを漕ぎ続けることができたが、今年は早くもここで戦意喪失。白旗を上げる。津奈木橋からちょっと登ったヘアピンカーブには自転車が
2台。雪壁も登り易そうなので、私も同じところに自転車をデポすることにした。


           シール登行開始                   高度が上がると笠ヶ岳が見えてきた


 スニーカーをスキーブーツ、タイヤをシールに換えて登行を開始。雪面は適度に緩んでおり、シールが良く効いてくれる。標高
1500m辺りで前を行く単独スキーヤーに追いついた。会釈をして先行させてもらう。


          1867mピークも視界に                燧ヶ岳も


 
1867mピークには、鳩待峠からの踏み跡が多数あった。しかしこの踏み跡が続いたのはすぐその先の雪を掘り下げて設えた大宴会場?まで。前日入山した春山ハイクの御一行様だろうか。その後はつぼ足の踏み跡が僅かにあるだけだ。これもどうやら前日のもののようなので、どうやら今日は私が一番乗りらしい。そうすると私より先に出発したはずの駐車スペースにあった車の主はどこにいるのだろうか?


           1867mピークに到着                 1年ぶりの至仏山


 樹林限界を抜けると、右手には如何にも美味しそうな無木立の大スロープ。つまみ食いの誘惑を振り払いながら先を急ぐ。小至仏山に差しかかった辺りでボーダーのカップルと出会った。彼等は稜線伝いではなく鳩待峠から山腹を巻いてきたようだ。彼等曰く、除雪してあったのは鳩待峠の
500m手前まで。そこに自転車をデポしてきたとのこと。またガイドツアーの人達も大勢登ってくる由。なるほど、これで先ほどの疑問は目出度く解消できた。


            武尊山がくっきり                  樹林限界を抜ける


 小至仏山を稜線沿いに行く彼等と別れ、私はトラバースで巻くことに。念のためクトーを装着しておく。出だしは傾斜が急なので少々緊張したが、すぐに慣れたし、雪も良い具合に緩んでいるのでどうということはない。しかしトラバースは少々上に行き過ぎて、至仏山との鞍部へはやや下るようになってしまった。後に続く人には申し訳ないルート取りで、お恥ずかしい限り。まだまだ修行が足りない。


           小至仏山をトラバース               貸切の山頂に到着


 
1035分、今回で5度目となる至仏山の頂きに立った。貸切の静かな山頂で360度の景色をおかずにランチタイム。それにしても今年は雪解けが早い。正面に聳える燧ヶ岳が例年よりも黒々して見えるのは気のせいだろうか。


越後三山、巻機山や平ヶ岳だけが一望


 ランチの後はお楽しみタイム。滑降の支度を終えたところで、先ほどのボーダーカップルがやってきた。彼等に特等席を譲って私はムジナ沢へと向かう
。天候が悪かったり、出発点から遠く離れる方向に向かってドロップするのに心理的に抵抗があったりして、これまで未体験だった沢だ。


ドロップ地点からの眺め


 ドロップ地点に立つと、目の前には尾瀬沼が広がっていて何とも素晴らしいロケーション。多くのBCスキーヤーに人気のあるコースというのも納得できる。上から眺める限り何の支障もなさそうだったが、スキーヤーズライトから回り込んで少し降りてみると雪が繋がっていないことに唖然とする。歩きを覚悟してブッシュの際まで近づいてみると、幸い岩とブッシュの間にぎりぎりスキー
2本分位のスペースはありそうだ。慎重に雪を拾いながら何とかこの隘路を脱出することができた。もう一雨来たら確実にスキーを担ぐことになるだろう。


          雪が繋がっていない!?              辛うじて通過できた


 その後はプライベートゲレンデ状態。上部は少々クラスト気味だったが、下るにつれて雪面は面ツルで緩み具合もベストコンディションとなった。ファーストトラックで下手なお絵描きをして、ムジナ沢を猫又川の出会いまで滑りこんでお楽しみ第一ラウンドは終了。


大バーンにあるのは自分のシュプールだけ



ムジナ沢終盤 まるでどこかのスキー場のよう


 山の鼻小屋までゆっくりスケーティングし、ここで小休止。ついでにシール登行に切り替える。ここから鳩待峠まで忍耐のクロカンの始まりだ。川上川の右岸をずっと遡行しながら観察すると、どこも沢割れがかなり進行している。スノーブリッジも落ちているのでワル沢やオヤマ沢を降りて来た場合、一端沢床に降りないと右岸には渡渉できないかも知れない。或いはいっそ渡渉を諦めて左岸側から鳩待峠に登った方が良さそうだ。


             第一ラウンド終了                人が入って小屋開けの準備中


 鳩待峠への登りにかかると流石に疲れが出てきて足が重い。
1867mピークまでは更に300mの登り返しが待っているので少々うんざり。水分をたっぷり吸って重くなったシールを引きずり、何とか午後2時前にピークに帰り着いた。


        鳩待峠の除雪はまだまだの状態            1867mピークへの辛い登り返し


 再び滑降の準備をして第二ラウンド開始。まるでゲレンデ状態だったムジナ沢とは雪質が全く違うが、とても滑りやすいザラメで至極快適。スキーを楽しみながらどんどん落ちていくと、どうも様子がおかしい。
GPSを確認すると案の定、登路とは別の小尾根を降りている。このまま降りると津奈木橋からどんどん離れてしまうので進路修正するが、どうも私の脳内ジャイロは右へ右へと向かわせるようで、その後も右方向の小尾根にミスルートしてしまう。強く左方向を意識してトラバースを続けて何とか出発点に帰着できた。

 ここからは消化試合。再び自転車に跨ってゲートまで一気に下った。自転車とスキーを駆使しての尾瀬の山歩き、実に楽しく年甲斐もなく止められそうにない。来年もまた来ることになりそうだ。


行動時間  
8時間20



 Map                 Track  Weather  Map
 トップ                山歩き 
inserted by FC2 system