2015年4月9日(木)
前回守門黒姫でビンディングが破損したスキーがショップから戻ってきた。担当者曰く、ヒールピース脱落の原因はネジの緩み以外には考えられないとのこと。スキーも乗り物、やはり安全のためには事前の点検が不可欠のようだ。締め付けに必要なヘクスローブドライバーも早速注文しておいた。またもう一つのトラブル、ウイペットのバスケットも入手。万一の紛失に備えてこれからは予備を一枚携行することにした。
かくして山スキー再開の準備は完了し、後は天候だけということでスタンバイ。ようやく晴れの予報が出たこの日、前回黒姫に転進したため空振りとなった浅草岳へと向かう。一度は歩いてみたかった長大な早坂尾根からアプローチするつもり。
午前7時前に大自然館前の除雪スペースに車を乗り入れた。平日とあって先着は2台だけ。今日は静かな山歩きが楽しめそうだ。
雪壁を登ってGo 黒姫がお出迎え
7時5分、雪壁を登ってハイクアップ開始。いつもはすぐに右に折れて桜曽根を目指すのだが、今回は直進して白崩沢を渡り、ネズモチ平へと続く本沢沿いの林道を行く。前日のものと思しきスキーやスノーシューなどのトレース多数。いずれも朝の冷え込みでカチカチに凍りついている。
単調な林道歩き ずっと片流れで疲れる
変化の無い単調な景色にちょっと飽きて来た頃、高原のように見晴らしが開け、早坂尾根がその全貌を現した。ここから右に向かう本沢を見送り、沢地形の中をうねうねと尾根の末端を目指して登っていく。急な斜面もあってシールが滑ることもあるが、全般的に斜度は緩やか、クトーを使うほどでもない。
早坂尾根全景
尾根筋へと向かう 一気に景観が開けた
ようやく尾根へと登り上げた標高1000m辺りで前日のトレースが忽然と消えてしまった。どうやらトレースの主は皆ここで登行を止めて滑降したらしい。
この先トレース無し 陽光を浴びた着雪が美しい
足元には前夜積もった新雪が1~2cmほど。手垢の付いていない真っ新な雪面にあるのは己のトレースだけだ。木々の枝の着雪がキラキラと輝き、その美しさは息をのむほど。思わず足が止まってしまう。
急坂を一頻り登ると突如無木立の大斜面が目の前に広がった。尾根と言うよりは広大な雪原、山と言うよりはスキー場のゲレンデ。今まで経験したことのない景観だ。しかしそんな感動も一時だけ。歩けども歩けども変わらぬ景色に次第にうんざりしてくる。
長く広大な早坂尾根だが、、、
こんな癒しもあり
この尾根は登路とするよりは、スキー下降に使う方が正解かな等とも思いつつ、それでも機械的に足を前に運んでいるうちに前岳や嘉平与ボッチの稜線が大分近くなってきた。山頂を目指す3名のスキーヤーの姿も遠望できる。
緩斜面でもいつの間にかかなり登ってきた
10時50分、藪を避けて左手から回り込むようにして浅草岳の頂きに立った。先ほど見かけたスキーヤー達は既に前岳に向かって引き返しており、山頂には私だけの貸切状態。大パノラマの景色を堪能しながら栄養補給、青空の下、風も穏やかで至福のランチタイムだ。
中々近くならない山頂に、、、 やっと到着
守門の山々
大休止の後、重い腰を上げて行動再開。スキーを担いで雪の消えかかった夏道を下る。今年は雪解けが早いのか、例年よりも地面がかなり露出しているようだ。雪がつながったところでスキーを履いて前岳へと歩を進める。
夏道が完全に露出 前岳の頭もふさふさ
前岳に着くと、その頂きもやはり藪が出ていた。ちょっと手前のフラットな場所で滑降の準備をする。11時25分、滑降開始。ちょうど登ってきた単独のスキーヤーとすれ違う。嘉平与ボッチとの鞍部まで降りて一時停止。
時間も早いのでムジナ沢源頭へ滑り込もうと斜面を観察すると、真新しいシュプールがついている。どうやら先ほどの3人組はムジナ沢へ降りたらしい。ドロップするとカリカリながら薄ら新雪を纏った急斜面は中々滑りやすい。あっという間にボトムに到着。
ムジナ沢源頭を見下ろす あっけなくボトムに
過去2回はここからドロップ地点に登り返した。今回は気紛れを起こし、もう少しムジナ沢を賞味してみることに。勾配の緩くなった沢床をどんどん滑り降りる。1080mの大滝は左岸を少し登り返して巻いた。
沢は狭くなって、、、 デブリも
更に下っていくと先行する3名のスキーヤーが休憩していた。色々お話をしていると、どうやらその内のお一人とは先日仙ノ倉山へ登る途中でお会いしたことがわかった。山スキーの世界は本当に狭い。暫しの談笑後、彼等に別れを告げて一足先に下る。
守門を正面に眺めながらの沢滑降 右岸の法面は雪割れ酷く登れず
沢床は次第に雪割れが酷くなってきた。どこかで右岸を登り返して桜曽根ルートに出ようと思っていたが、何とかスノーブリッジが渡れても右岸の急な法面はズタズタにクラックが入っていてとても登れそうにない。かといって沢沿いを下り続けるのは、更に雪割れが酷くなるだろうからリスク含み。残った選択肢は左岸を少し登って尾根筋に出ること。浅草山荘方面に下山してしまうことになるが、安全第一だ。
つぼ足になって左岸の急斜面を登る。斜度が緩やかになった所で再びスキーを履いて滑降再開。標高が落ちるに伴いザラメ化が進み、スキーがよく走るようになってきた。
複雑な地形に多少右往左往しながらも無事、浅草山荘に到着。そこには何と先ほどのお三方の姿が。私より早い段階で沢を離れて尾根にトラバースしたとのことだ。この方々には大自然館まで車で送って頂いたりと大変お世話になってしまった。ショートツアーながら、天候にも恵まれ変化のあるコースで密度の濃いBCが楽しめた一日だった。
破間川ダムの氷が流氷(流木?)のよう
行動時間 5時間25分
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