2009年8月23日
中央高速の大渋滞が気掛かりであったため、北沢峠10時発の仙流荘行きのバスに間に合わせることを前提に計画を組むことにした。北沢駒仙小屋から小仙丈ケ岳から仙丈ケ岳頂上を経て藪沢を下る標準コースタイムは7時間15分なので軽装であれば6時間で済ますことができるはずだ。それにテント撤収時間30分を考慮して午前3時に発つことにした。昨日はまだ陽のあるうちに寝たので午前1時頃に目が覚めた。トイレに行こうとテントから顔を出して空を見上げると満天の星である。これなら午前中の天気は大丈夫だろう。それでも念のため雨具も含めて非常食など最低限必要なものをアタックザックに放り込む。テント内も下山後短時間でたためるよう整頓しておく。
午前3時前にテント場を後にした。頭にはLEDのヘッドランプ。その昔、単一の重い電池ケースを腰につけて歩いたこともあったけ。年寄りに楽をさせてくれる技術の進歩は有難い。北沢峠からの登山道はよく整備されており夜道であっても歩きやすい。1時間で馬の背に到着、休みなしで歩き続けるとやがて森林限界に出た。次第に夜が明けてきて近くの峰々のシルエットが浮かび上がってくる。北岳やどっしりした山容の間ノ岳が流れる雲間に見え隠れしている。
夜明け前の北岳
仙丈岳カールのモルゲンロート
小仙丈ケ岳の頂上に着いたときには、思わず「おーっ」と歓声が出てしまった。小仙丈ケ岳の陰になって見えなかった仙丈ケ岳のカールが見事なモルゲンロートに染まっている。仙丈ケ岳にはおよそ40年前の冬に訪れた際にもその美しさに感動したが、今回も期待は裏切られなかった。昨日の甲斐駒ケ岳と違って今のところ人影はまったくない。静かな山の「マイ・パノラマ・ビュー」を楽しみながら縦走路を歩く。仙丈ケ岳の頂上には6時5分に到着した。
頂上には既に数パーティいたが、すれ違いで下山していったため、山頂は一人占めになった。北岳、間ノ岳はもとより農鳥岳、塩見岳、さらに南ア南部の山々が黒々と続いている。地図を見ながら同定を試みたが、遠くの山々は残念ながらどれも確実とは言い切れない。やはりこれからも何度か登って山の形を頭に刻み付けないといけないようだ。近場の山だけではなくて伊那谷を隔てた中央アルプス、甲斐駒ヶ岳の後ろ、はるか先に八ヶ岳、それに特徴ある槍の穂先を付けた北アルプスの山々も見渡せた。
10時のバスが気になるので頂上には長居せず仙丈小屋へ向けて下山を開始する。この頃になると続々と登山者が登ってくるようになった。小屋近くで夏毛の雷鳥を見つけた。これも何年ぶりのことだろう。カメラを取り出そうとしている間に這い松の間に見失ってしまった。小屋からは馬の背への分岐があるが、藪沢ルートに選んで鋸岳を正面に見ながら下り続ける。藪沢小屋からは、展望の冴えない沢沿いを進み、大平小屋には8時45分に到着。時間がないので休まずに北沢峠まで近道を登る。長衛荘を過ぎ、北沢駒仙小屋のテント場には9時きっかり到着した。ほぼ計画通りの6時間であった。
仙丈小屋へ下る
薮沢からの甲斐駒ケ岳
ゆっくり休む間もなくテントを急いで撤収するが、何という虫だろうか、目と言わず口と言わず飛び込んでくるので敵わない。すっかり邪魔されて30分近くかかってしまった。それでもバス停には15分の余裕を持って到着できた。帰りのバスは観光案内つき。半分居眠りをしていたがそれでも大変参考になった。道中右手に聳えていた鋸岳には何時しかチャレンジしてみたいものだ。午前11時には仙流荘を発つことができたので中央高速の渋滞に巻き込まれることもなく、自宅には午後4時前に帰着することができた。
行動時間 6時間
歩行時間 5時間30分
標準CT 7時間15分
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