乙妻山BC  2318m 長野・新潟県              
 


2016
3月13日(日)


 昨年2月に初めて訪問し、北東斜面のパウダースノーにすっかり魅入られてしまった乙妻山。雪不足の今年は無理かと半ば諦めかけていたが、埼玉のYさんからお誘いを受け再訪することになった。

 
Yさんは同氏のブログを通じて知り合いになった間柄。私が山スキーを始めてからというもの、ブログに収録されたご本人の山スキー記録は手垢がつくほど参考にさせて頂いている。私のBC師匠のお一人と言って良い方だ。

 
Yさんとは前日に申し合わせ、早朝午前6時前に大橋に集合。あいにく当日の予報は、参考にした週間予報からどんどん悪化して朝から高曇りで午後には崩れ荒れ模様とのこと。中止、他に転進というオプションも視野に挨拶もそこそこにして事前協議。結局、天候が悪化したら即撤退と言う条件付きでGoすることになった。結果的にはそれが大正解、今シーズンの、おそらくはラストとなるパウダーを存分に楽しむことが出来た。


        ゲートが露出しているのは初めて                       黒姫山登山道との分岐   


 大橋スタートは午前
610分。高速道路のようにしっかりしたトレース上をYさんと山談義に花を咲かせながらハイクアップして行く。周囲を見渡すと他の山域同様、寡雪ぶりには目を覆いたくなるほど。笹は埋まり切っていないし、黒姫山登山道との分岐を過ぎてからは板を外さねば渡れない小沢もある。この時期これほど少ない積雪量はかつて経験したことがない。


        スノーブリッジ崩壊は時間の問題                         ブナ林の尾根を行く


 佐渡山のコルへと向かう尾根に取り付くと案の定の藪地獄。スキー下手の私は下降の際にはえらく難儀しそうだ。出発から
1時間45分ほどで佐渡山のコルに到着。ここから標高差150mほどを下降して梯子尾根の取りつき点へと向かう。Yさんは当たり前のようにシールのまま、シール滑降が苦手の私は面倒でも転ぶよりはとシールを外した。


           青空が続くのはいつまでか                        佐渡山のコルに着いた



木々についた模様が面白い


 氷沢川へ下ると予想通り沢は大きく割れていた。目の届く範囲にスノーブリッジは見当たらないので、板を手に浅瀬を歩いて越える。幸い水量は少なくブーツを濡らすこともなく渡渉できた。前回の万太郎山での毛渡沢ドボンに懲りて用意しておいた特大ポリ袋の出番は幸い無かった。


氷沢川渡渉 せいぜいこんな水量


 対岸で再びシールオンし梯子尾根の取り付き点へと向かう。梯子尾根周辺は藪の色が濃く、梯子尾根右手の沢は水の流れこそ出ていないもののブッシュだらけ。天候悪化時のエスケープルートとして考えていたがとても使えそうにない。


梯子尾根と右の沢には驚くほど雪が少ない


 梯子尾根に取りつくと、いよいよ中妻(高妻山と乙妻山の間にあるピークの仮称)迄標高差約
850mの急登が始まる。歩き始めてすぐにYさんの張り流しシールが剥がれてしまった。しかし、そこは手馴れたもの。手際よくシールの着雪を落として粘着テープで応急修理されていた。


            梯子尾根に取りつく                              視界はまだ良好


 急登が一段落する
1912mピーク地点に到着すると先行する二人の姿が見えた。ダケカンバ疎林のオープンバーンまで登ったところで彼等にキャッチアップ。挨拶がてら色々と情報交換。その後もハイクアップを続け1140分、中妻のピークに立った。出発からちょうど5時間半。


雪稜を登行するYさん



稜線方面 雪が少ない



              妙高方面                                  最後の急登



            中妻 頚城の山々をバックに                   北アルプスは雲に飲み込まれそう

 小休止の後は乙妻山との鞍部へ向けシールのまま滑走する。私はシール滑走の苦手意識がどうしても払拭できない。念のためヒールを固定したにも関わらず、どうということも無い緩傾斜地でも転けてしまう有様で情けない。

 鞍部から乙妻山山頂までは一登り。1220分、1年ぶりの山頂に立った。嬉しい誤算で予報通りの高曇りながら視界は良好、風も穏やかだった。噴煙立ち上る焼山を始め、頚城の山々といった近場のみならず、北アルプスの眺望も得られたのは想定外だった。証拠写真を撮った後はお楽しみタイム。急いで滑降準備して鞍部に一旦滑り降りた。


            乙妻山山頂にて Yさん                          高妻山&中妻



噴煙を上げる焼山


 北東斜面に飛び込むと、期待にたがわずやや重ながら素晴らしいパウダー。前日のシュプールが凍結して引っ掛かるのが煩わしいが、広大なバーンには手垢の付いていないスロープがいくらでも残されている。
Yさんは、スキーを履いて生まれてくる?と言われる北国のご出身とあって、しなやか、かつ臨機応変にきびきびした滑りは流石。加齢とともにぎごちない動きしかできない私と同年輩とはとても思えず、羨ましい限り。


乙妻山山頂から滑り降りる



Yさんの滑り



同上


 斜度の緩んだところまで降りて振り返ると先ほどのお二人が滑り降りるのが見えた。結局この日乙妻に入山したのは休日にも関わらず4人だけということらしい。


           追いついてきた二人組                           佐渡山のコルに帰着


 標高
1380mまで滑り降りて再びシールオン。氷沢川の左岸沿いを進み往路のトレースに復帰した。疲れた脚に鞭打って佐渡山のコルへ登り返す。コルからは往路を辿って痩せた支尾根沿いに下山。雪質は悪くないのに藪の急斜面というハザードではやはりスキーの実力差が如実に出てしまう。何度か転んで雪まみれの私を尻目にYさんは実にスマートに滑り降りている。

 最後は鬱憤を晴らすかのように林道をかっ飛ばし、
1530分、無事大橋に帰着した。今回は天候悪化も杞憂に終わり、雪質にも恵まれて大満足、久々に機械力に頼らず歩いただけ滑る本来の山スキーが楽しめた。お誘い頂いたYさんには大感謝です。


行動時間  
9時間20




  
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