奥穂高岳   長野・岐阜県 3190m    百名山  
 前穂高岳  長野県 3090m  
 

2012108

 日本で3000mを超える山は21座、そのうち前穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、南岳の4座の頂きにはまだ立てていない。これらは全て槍穂高周辺に集中しているので一回の山行でまとめて踏破すべく計画してみた。起点は新穂高温泉。一日目が三連休の最終日と重なるため、上高地の混雑を敬遠したためだ。

 結果としてはほぼ目論見通り。移動性高気圧の下、最高の秋晴れに恵まれ、未踏の
4峰に無事フットプリントを残すことが出来た。涸沢の紅葉もピークを迎えていて念願の素晴らしい景観も存分に楽しめた。唯一計算外だったのはカメラの不調。あろうことかSDカードが壊れてしまったため、買ったばかりの一眼レフは使いものにならなかった。おまけにスマホを車の中に置き忘れてしまい、今回は絶好の被写体を前にして画像ゼロという残念な結果となってしまった。


写真はパクリですがこんな感じ


 夜半過ぎに自宅を出発。まだ夜の明けやらぬ
530分に深山荘近くの無料駐車場に車をとめた。いつもの通り、地図を眺めながらの朝食を摂り身支度を終えて550分に歩きだした。駐車場の入口に戻って475号線に出る。二つトンネルを抜けたところでハイカーが駐車場からの近道を登ってくるのを発見。この無料駐車場は初めてだったので、わざわざ遠回りをしてしまったようだ。

 途中の管理事務所で登山届を提出し、右俣林道を登って行く。ゲートからすぐに穂高平避難小屋への近道に入った。細かなアップダウンが結構多くて、大きく蛇行する林道経由と時間的にはさほど変わらなかったかも知れない。

 再び林道に戻って歩き続け、白出沢出合に到着。標高は既に
1500mを越えている。駐車場から約500m高度を稼いだものの、奥穂までまだ1700mの辛い登りが待っている。ここで一息入れていると一人が追いついてきた。同氏とは抜きつ抜かれつしばらく一緒に歩くことになる。

 出合からしばらくは紅葉が色付き始めた樹林帯の中を緩やかに登る。道は沢筋に降りるとネットで見覚えのあるほぼ垂直にかかった長い梯子が見えてきた。重太郎橋を渡りその梯子を登る。ちょっと高度感のある岩切道を抜け一頻り歩くと、いよいよ長いガレ場の登りの始まりだ。

 マーキングはあって無いようなもの。適当に歩き易そうなところを拾い歩くが、浮石を踏んで何度もバランスを崩してしまう。この沢はアイゼンの鉄下駄を履いてでも、残雪期の方が余程楽かもしれない。一緒に歩いて来た単独氏は次第にペースが落ちてきた。上部から三々五々ハイカーが下山して来たが、下りも楽では無さそうだ。

 そうこうしているうちに、左岸から落石。人の頭ほどの石が派手な音を立てて転がっていった。出来るだけ右岸よりに歩くことにしよう。上を見あげる度にちっとも近づかないコルにがっくりすることを何度も繰り返す。いつの間にか遅れていた単独氏の姿が見えなくなってしまった。

 踏ん張りの効かなくなった太腿を叱咤激励しつつ我慢の歩きを続け、
1040分、やっとのことで穂高岳山荘に着いた。ここまで4時間50分。標準CT9時間とのことなので、私としては完全にオーバーペース。前穂まで吊尾根のピストンに足が耐えられるか心配だ。

 それにしても小屋前のテラスから眺める涸沢の紅葉は形容しようのない程美しい。一週間遅くても早くてもダメだったかも知れない。カメラが使えないのは返す返す残念。代わりに網膜にしっかり焼き付けておく。

 前穂ピストンに備え、コンビニ弁当でエネルギー補充をして出発。奥穂への登りは出だしに梯子や鎖があるものの、その後はゆったりした登り。
40分程で奥穂高岳山頂に着いた。ガスが上がってきたし先があるので頂きはスルーして吊尾根へと向かう。

 ここから約
300mの下り。疲労困憊の大腿四頭筋が言うことを聞いてくれず、思いの外時間がかかってしまう。このまま重太郎新道を下ってしまうのではないかと不安になる頃、ようやく紀美子平に着いた。

 ここから前穂への登りにかかる。ところがのっけからマーキングを見落としてしまい、本来のルートよりかなり右側を登ってしまった。幸い上部で行き詰まることもなく、少々ハイマツを漕いだだけで無事山頂に立つことができた。時刻は午後
1時半。

 しばらくパノラマを楽しむが、ガスが登ってきて稜線が隠れ始めている。そろそろ引き返すことにしよう。下を見ると県警のヘリが紀美子平の上をホバリングして救助隊員を降ろしていた。どうやら遭難事故があったらしい。奥穂までの帰り道は長かった。黙々と足を前に進めるのみ。ガスに覆われた奥穂山頂を再び素通りして穂高岳小屋を目指して下る。
2700mの累積高度差を歩いた足はもはや限界。転ばないようにゆっくり歩き、午後4時過ぎにようやく今日の寝座に辿りついた。


行動時間  10時間15
歩行時間  9時間30


翌日へ続く


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