涸沢岳   長野・岐阜県 3103m     
 北穂高岳  長野・岐阜県 3106m 
 南岳  長野・岐阜県 3033m 
 

前日より続く

2012109


 昨日は夕食後すぐに床についたものの、目が冴えてなかなか眠れなかった。昼間のハードワークが過ぎたせいか、緊張しきった交感神経から副交換神経へのバトンタッチがうまく働いてくれなかったようだ。それでも消灯時間を過ぎてからは爆睡、十分休養することが出来た。

 朝
4時を過ぎると同じ部屋のオバサン達が起きだして騒がしくなったので、もう少し横になっていたかったのだが、私も仕方なく起床。コンビニのパンで朝食を済ませて445分に小屋を後にした。

 涸沢岳へは
20分ほど。途中でカメラと三脚を担いだ方に追いついた。山頂にもカメラマンが三脚をセットして日の出を待っていた。5時を回るとヘッドランプが不要な程度には明るくなってきたので、北穂への岩稜帯を下り出す。長い鎖やハシゴの連続。高度感もたっぷりあってかなりスリリングだ。

 マーキングを外さないこと、浮石を踏まない、落とさないことの二点に注意してゆっくりしたペースで稜線を下る。随分高度が下がったはずだと高度計を見るが、コルでもせいぜい
3000mを少し切った程度。これなら北穂への登りは100mちょっとのはずだ。

 北穂の南峰を通過し北峰へと向かう。北穂高小屋は山頂の一角、絶壁にへばりつく様に建っていた。よくぞこんな険しい場所に建てたものだ。

 ここから長谷川ピークまでは再び鎖、ハシゴの連続。明るくなってきたので涸沢岳の下りよりも高度感が感じられる。

 浮石だらけのナイフリッジの稜線を慎重に下る。どんなに注意してもちょっと触れた拍子に石が落ちてしまうこともある。最近は昔と違ってクライマーだけではなく一般のハイカーもヘルメットをつけているが大いに賛成だ。

 大キレットのコルから見る獅子鼻はまるで欧州の教会のカテドラルのようで、なかなか迫力がある。随分高いように見えるが高度差は
200mちょっと。

 胸を突く急登を登りきると今までの緊張感あふれる岩稜帯が嘘のようなのっぺりした稜線が続いている。但しその平和な風景は大喰岳まで、その先にはそそり立つ槍ヶ岳が他を圧倒する強烈な存在感で聳えている。

 南岳小屋前のベンチにザックを置いて南岳を往復。これで予定していた
3000m4座を全て踏破することが出来た。後は高度差2000mを下山するだけだ。

 南岳新道は、暫くの間はジグザグに歩きやすい道だが、西尾根に取り付くと一変して痩せ尾根となり再び鎖や梯子が登場してくる。その先は石がゴロゴロして歩きにくく、疲れた足には酷な道だ。

 所々に掛けられた木の梯子が滑りやすいこと。尻餅をついたり向う脛を嫌というほどぶつけたりしながら下って行く。労が多い割には眼下に見える槍平小屋の赤い屋根が何時までたっても大きくならない。

 槍平小屋は
107日に閉じられたせいか、すれ違ったハイカーは3名だけ。南沢を渡って対岸をしばらく下るとようやく小屋前に出た。ここから勾配も緩く歩きやすくなった道を下る。

 滝谷を渡って暫く行ったところで中年のカップルに追いついた。彼らとお喋りをしている間に槍平でテントを撤収していた中年単独氏に追い抜かれた。ダラダラと歩いていても仕方ないのでこの単独氏をペースメーカーにすることにした。彼を常に視野に入れて歩く。大荷物を背負っているのに足が早く、置いていかれないようにするのに精一杯だ。

 槍平から
3時間かかって駐車場に帰着。昨日に引き続いて今日も11時間近く歩き通しだった。写真が撮れなかったのは返す返す残念だったが、ともあれ最高の景色を堪能できて大満足の山旅だった。


行動時間  11時間5
歩行時間  10時間20


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