乗鞍岳BC          百名山   
 

20121128

 今年5月、カリカリのアイスバーンに大苦戦した乗鞍岳。懲りもせずまたチャレンジすることにした。但し、山頂にはこだわらず、初冬の雪山のバックカントリーを楽しむのが今回の目的。少しでも気象条件が悪ければ尻尾巻いて退散する軟弱作戦なのだ。

 早朝
6時過ぎ、夜が白々明ける頃、乗鞍高原休暇村に到着した。エコーラインの除雪はここまで。この先は通行止になっているので、前回のように三本槍からハイクアップする訳にはいかない。幸い目の前のゲレンデには薄いながらも雪がついているので、スキーを担がなくとも済みそうだ。

 ザックを背負い、スキーを履いて、いざ出陣と歩きだしたら何かおかしい。そういえばシールを付けていなかった。ボケがかなり進んできたようで、我ながら心配になる。

 シールをセットして正面のゲレンデを登り始める。結構な斜度があるように見えたが難なく直登できた。さらにユートピアコース沿いに高度を上げて行く。


        休暇村の駐車場からゲレンデを見上げる                      ゲレンデ上部 


 第二ペアリフトを過ぎるとエコーラインからのスキートレースが合流してきた。どうやらスキーヤーは二人。三本槍レストハウスの寄った後、正面のカモシカコースを直登している。ゲレンデ中央部には滑降した跡もあるのでトレースは昨日のものらしい。そのトレースを有り難く使わせてもらい、ゲレンデ上部に登り上げた。彼らのトレースはここまで、そこから滑り降りていた。


       第二ペアリフトの先には真っ白な乗鞍岳が                   昨日のスキーヤーの滑降跡


 この先のバックカントリーエリアは、完全にノートレースだ。それでも雪はさほど深くないのでラッセルは苦にならない。スキー場の先はブッシュが雪に埋もれて出来たと思われるコブのような起伏だらけで、両側の迫った急斜面へと突き上げている。ここは帰りの滑りが大変そうだ。


天然のコブコブコース


 その先は一転して緩やかな登り。正面には青い空をバックに真っ白な剣ヶ峰が見えてきた。明るい切り開きをひたすら黙々と歩く。やがて行く手には大きな襞のような起伏がいくつも連なっている。起伏の底から先は急な壁でシールではとても登れない。それでも根性を出して、と言うか本当はスキーの着脱が面倒なので、立木の枝に掴まって体を引き上げて越えた。このアスレチックを何回か繰り返し、大汗をかいてしまった。


正面に剣ヶ峰が見えてきた


 森林限界が近づいて来ると風の吹きすさぶ音と飛ばされた雪片が舞うようになった。剣ヶ峰の周辺には雪煙が舞い上がり、相当なスピードで流れているのが見える。

 位ヶ原が近くになると今度はブッシュに捕まってしまった。絡み合う枝の隙間を縫って先へ先へと進む。前回
5月に同じところを歩いたが、こんなに酷いブッシュは無かった。乗鞍岳は北アルプスの最南部に位置しているだけあって、遠目には真っ白に見えても、まだ降雪は充分ではないようだ。


            自分のトレースを振り返る                         ブッシュに捕まる


 ブッシュ帯を抜けて森林限界を越えると広々した雪原が目の前に開けた。凄まじい風と雪礫が歓迎してくれる。メガネをかけていても目が開けていられない。雪面もカリカリとクラストしてきた。


剣ヶ峰に雪煙が飛んでいるのが見える



森林限界を抜けた


 どうやらこの辺りが限界、この先さらに進んでもスキーになりそうにない。今日はここまでとしようと、軟弱者の決断は早い。シールを剥がし、ヘルメットを装着して滑降開始。ブッシュを少しでも避けるため、やや左より(エコーライン寄り)を滑り降りた。短いがパウダーの斜面もあったりして満喫できた。


               ブッシュ帯を抜ける                       時には気持ちの良いパウダーも


 やがて先ほど大汗をかいた起伏帯に突入。凹凸の凹部分に突っ込むとスキーの先端が壁に刺さってしまう。四苦八苦してようやくここを突破した後は、しばらく緩斜面をだらだらと下る。自分のラッセル跡に乗ると少しはスピードアップできた。

 途中、景色の良い日溜まりでランチ休憩。再びスキーを履いて滑降開始すると、スキー場上部の急斜面に出た。日陰でクラストしているのでエッジを効かせながら下降する。お次は天然のコブゲレンデ。吹き溜まりがあったり、氷化していたり雪質が突如変化するので、反射神経の鈍った還暦スキーヤーは簡単にバランスを崩して転倒してしまう。もう体中雪まみれだ。


         緩やかなスロープをダラダラと下る                     自然のコブコブスロープ


 やっとスキー場のゲレンデに突入すると、整地されていないにも関わらず、非常に滑りやすい。あらためて自然のゲレンデの難しさを痛感する。

 駐車場も間近になった最後のゲレンデで本日初めて人に出会った。年配のご夫妻で三本槍までバックカントリーするとのことだった。ゆっくり降りたつもりでも
1時間少々。あっという間に下ってきてしまった。まだ正午前だったので休暇村の温泉に浸かろうとしたが、生憎の休館中。諦めて帰宅することにした。高速道路もスムーズで、自宅にはまだ陽のあるうちに帰着できた。


行動時間 5時間25

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