三俣蓮華岳  長野・富山・岐阜県 2841m   三百名山
 鷲羽岳  長野・富山県 2924m 百名山
水晶岳   富山県 2978m 百名山
  

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2010719

 黒部五郎岳より続く。昨夜は前夜の寝不足と疲れから、まだ明るい午後7時頃に寝入ってしまった。相部屋の人達の鼾で何度か目を覚ますが、それでも午前4時までぐっすり寝ることが出来た。今日の行程は長いが、この山小屋は朝食を4時半からサービスしてくれるので助かる。朝食を10分で片付けすぐに出発した。


モルゲンロートの黒部五郎岳


 
小屋裏からいきなり石のごろごろした急坂を登る。途中「ゆっくりコース」なるものがあるが、きつい登りには変わりない。そのうち三俣山荘への直行ルートとの分岐に着く。ここで昨日お会いした山慣れご夫妻に追いついた。分岐から三俣蓮華岳へは高度差200m足らずの登りである。頂上には黒部五郎小舎から1時間半ほどで到着。本日も昨日同様の快晴、素晴らしい眺望である。圧巻の槍穂高の峰々、遠くには富士山も見える。山頂にはハイカーがひっきりなしにやってくる。この山は槍穂高連峰、立山連峰と後立山連峰を結ぶ主稜線の接点という要衝の位置にあるからだろう。双六方面へ向かう人、三俣山荘を目指す人、黒部五郎岳方面へ向かう人などが入り乱れている。地理的には富山、岐阜、長野の県境というのも興味深い。


笠ヶ岳を遠望する


三俣蓮華岳への登り道にある雪渓


三俣蓮華岳(300名山)からの鷲羽岳方面


 
三俣蓮華岳の頂上から真下に見える三俣小屋へ向けて下る。途中双六小屋への巻き道ルートとの分岐にサックをデポして空身で頂上を往復する人も多い。所々に残る雪渓を滑らないように気をつけて下っていくとあちこちに散在するテント場に着く。山荘脇を通り抜けて鷲羽岳へと向かう。この山の命名由来は二説あるらしい。薬師岳や太郎山周辺から眺めた山腹の残雪と岩の模様が鷲の羽に見えるからという説。山容全体の雄大さをとらえて、鷲の羽ばたきに似ているからという説。しかし三俣山荘から、大きく聳え立つ鷲羽岳の山肌をよく観察すると鷲が羽を広げたような紋様がくっきり見える。私個人的にはこれが由来だと勝手に納得してしまった。ピラミダルな山頂へはザレた急坂を登ることになる。途中鷲羽池への分岐があるらしいのだが、じりじりと照りつける夏の日差しに耐えて歩くのに精一杯で気がつかなかった。


槍ヶ岳の手前に見える硫黄岳が異様に赤い


鷲羽岳から槍ヶ岳を見る


 
ようやく辿り着いた頂上からの展望は圧巻だ。特に眼前の異様に赤茶けた硫黄岳、赤岳のジャンダルムと「俺が北アルプスの盟主」とばかりその背後に聳える槍ヶ岳の穂先は強烈な印象を与える。立ち去りがたいが先が長いので早々に頂を後にする。痩せた尾根をワリモ岳方面へと下る。ワリモ北分岐にはザックが沢山デポしてあった。ここから水晶岳を空身で往復するのだろうが、ちょっと距離がある。せめて水晶小屋までザックを担いでいくことにした。緩く下ったところに残る雪田から登り返していく。ようやく水晶小屋が見えてきた。ここにザックを置いて空身で水晶岳を目指す。


水晶岳を望む、右手には黒部湖が見えてきた



水晶岳頂上から


水晶岳より、槍ヶ岳がだいぶ遠くなった


布団を干す水晶小屋


 
続々と下ってくる人は皆空身だ。長丁場の読売新道から水晶岳を越えてくる人は流石にそうはいないということか。所々梯子のある狭い尾根筋を登りきったところが頂上だった。3000m14mと僅かに及ばないが、今回登頂した百名山では一番標高が高い。水晶のイメージからほど遠いごつごつした岩肌の異様な姿の山である。三俣蓮華岳、鷲羽岳もそうであるが、北アルプス最深部の山と言われるだけあって360度見渡す限り、標高が同じレベルの山また山である。名前の由来となる水晶は花崗岩のなかに見出されたというが、確かに花崗岩が至る所にあり、何となくキラキラして見えるから不思議だ。まだまだ先が長いので早々に頂上を後にする。眼下にはこれから向かう雲ノ平や山荘が見えているが、距離感がよくつかめない。そろそろ疲労感が出てきたので実際以上に遠く感じるということも知れない。水晶小屋脇でパンとツナ缶の簡単な昼食を摂ってこれからの長丁場に備える。


水晶岳からワリモ北分岐へ戻る


 
再びワリモ北分岐へと戻り、雲ノ平方面へと下る。岩苔乗越にはオバサン達がいて騒いでいる。どうやら三俣山荘から高天原をピストンするらしいが、沢の状況がよくないと聞いて逡巡しているらしい。ここで昨日のテント装備の御仁と再会、雲ノ平まで一緒に歩くことになった。祖父岳への登りは大したことは無いが、そろそろ乳酸が溜まり始めた足には楽ではない。頂上は広く、360度を北ア最深部の山々に囲まれ、まさに自然の展望台だ。正午近いこの時間になるとどこからともなく雲が上がってきて早朝のようなすっきりした展望は望めない。


祖父岳から雲の平小屋方面



薬師沢への木道



やっと辿りついた薬師沢小屋


 
雲ノ平山荘へ向けて下山を開始、基本的に快適な木道歩きであるが、残雪がまだまだ多く木道が隠れているところもある。改装中の雲ノ平小屋を左手に見ながら進む。何とか庭園の標識があるが、ちょっと荒れた感じがしていておよそ庭園というイメージからは程遠い。快適な木道歩きが終わると一転していきなりの急降下である。苔むした滑りやすい石が累々とした急坂は木道歩きに慣れた足には拷問に等しい。途中でまた山慣れご夫婦に追いつき道を譲ってもらった。今日は同じコースだが水晶岳はパスしたとのこと、これで本日2度目の遭遇になったらしい。沢音がなかなか大きくならないし、薬師沢小屋の屋根が見えてからがまた遠い。梯子を上り下りして最後に吊橋を渡ってようやく本日の行程が終了した。10時間22分の行動時間であった。宿泊の手続きを終えた後は左俣(赤木沢方面)の河原へ降りて汗を流す。雪解け水は冷たく体を流れにつけることは到底できないので全身をタオルで拭くに留めた。下着も替えてさっぱりした後はお決まりの「ビール」。山慣れご夫婦を初め愉快な人達と楽しいひと時を過ごした。与えられた就寝スペースは2階の蚕棚の下段。布団2枚分を確保できたのでゆったりと過ごせる。夕食の後はナイトキャップのウイスキーをちびちびやりながら早々に床についた。



行動時間  11時間20分
実歩行時間 10時間20分
距離    約20Km? 
標準CT   12時間25分


第三日目黒部源流へ続く

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