窓明山BC   1842m 福島県            
 


2018年3月14日(水)


 昨春三岩岳に登った際、常に右手にあり、白一色でピラミッドのように端正なフォルムが強く印象に残った山がある。その名は窓明山。ネットで調べると新緑と紅葉の季節を中心に登られており、冬季の記録は少ない。

 更に深堀してみると窓明山単独よりむしろ、三岩岳を絡めて、ミチギノ沢を滑降し窓明山に登り返している例がいくつかあった。そんな周回ツアーに興味がそそわれたが、今回は家内から早く帰宅せよとの指示が出ていることもあり断念。シンプルに夏道の尾根コースを往復するだけにとどめることにした。


三岩岳の途中から眺めた窓明山


 桧枝岐の宿を夜明けとともに出発。小豆温泉を過ぎて間もなく、保太橋登山口と思しき広い路肩スペースに車をとめた。5時35分、シール登行開始。ウオーミングアップがてら体調をチェックする。前日のロングウォークの疲れは引きずっていないようなので、まずは一安心。

 南会津の山はどこも取り付きが急だが、この山もその例外ではない。こまめにキックターンを繰り返しながら暫くシールで頑張ったが、急斜面の上に大きな段差が連続し始め、早くも白旗を揚げる。板を背にツボ足で登り始めると、今度は踏み抜き地獄。自重を分散させるため両手もフル稼働させ、四つん這いになって登った。


急斜面で樹間も密で帰りの滑降が思いやられる



国道を俯瞰



まだ3月半ばというのにもう夏道が露出


 高度1050m辺りで急登が一段落したのでシール登行再開。ようやく目が地べたから空に向くようになった。今日も雲一つ無い文句なしの青空。見事なブナの森に癒されつつ緩やかに登って行く。


ブナの森を歩く


 やがて右方向に家向山が見えてくるが、このピークはスルーし、左に屈曲する尾根に向かってトラバースしながら約100m下降する。カリカリにクラストした斜面をシールでトラバースするのは難儀だ。延々と続く横ずらしに脚が悲鳴を上げている。このトラバースに要した時間は15分。横着せずにシールオフして滑降すれば1分もかからなかったろう。

 鞍部に下り立つと三岩岳から窓明山にかけての稜線が一段と近くなってきた。広々した尾根を登っているうちにいつしか森林限界を過ぎ、辺りは白一色の世界となった。下から眺めてピークと思い込んでいた場所に立つと、そこは単なる通過点、本当のピークは更にその奥にあった。


三岩岳(左)と窓明山(右)



そろそろ樹林限界を抜ける



三岩岳への稜線と今にも崩れ落ちそうな雪庇


 10時5分、窓明山の頂に到着。幕が開くように一気に開けた展望は圧巻だ。越後を初め南東北の山並みが一望の下にある。景色を飽くまで堪能したら、次はお楽しみタイム。


山頂より越後三山を遠望



ミチギノ沢源頭部滑降は次回の宿題にしておく


 最初に雪質を慎重にチェック。北側はややモナカ気味なので敬遠し、フィルムクラストの南側斜面を滑り降りた。雪質は上々。調子に乗り過ぎ、南東の尾根に少し入り込んでしまった。保太橋沢の源頭部をトラバースし、本来の尾根に復帰する。

 その先も気持ちの良いザラメが続き、家向山との鞍部まで一気に下った。ここで再びシールオンし100mの登り返し。尾根に復帰したところから巽沢山までブナの森のツリーランだ。極上ザラメはなおも続き、登り返し地点から僅か20分で巽沢山まで下ってしまった。


写真を撮る間もなくノンストップで滑降


 しかし極楽浄土はいつまでも続くわけではない。標高1100mを切ると流石に雪が重くなってきた。痩せ尾根から国道が俯瞰できるようになると、愈々最後の難所だ。登路の尾根は狭い上、とんでもない急斜面なのでスキー滑降は論外。舵を左に切って少しでも樹間が広く斜度が緩いスロープを選んで滑り降りた。


国道を見下ろすところまで戻ってきた


 雪は完全にグサグサに腐ってターンもままならない。安全第一と、キックターン、斜滑降を繰り返しながら慎重に下っていく。最後は沢地形から国道に出て無事難関をクリアした。

 12時5分、車に帰着。今日も短時間ながら、最高の天気、景色と雪質に恵まれ、昨日の燧ヶ岳に引き続き、山スキーの醍醐味を余すところなく味わうことができた。帰宅を急ぐため、温泉をパスせざるを得なかったことだけが唯一心残り。。。


行動時間  6時間30分
Gear Dynafit Denali 168cm / Scarpa F1 Evo


  
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