地蔵ヶ岳  山梨県 2764m     
20111228

 今年最後の山は南アルプスの鳳凰山で飾ることにした。冬型気圧配置の下であっても天気が良く、日帰り可能であり、かつ眺望が群を抜いて素晴らしいからだ。それと登山口から山頂まで1700mもの標高差があるので、歩き甲斐もある。実は3年前のドンドコ沢でひどい目にあったこともあり(その時の記録はここ)、いつか再チャレンジしてみたいと思っていたことも理由の一つだ。

 中央道韮崎
ICを降りてから20号線をしばらく走行し、鳳凰山の案内に従って林道へと分け入る。当初、青木鉱泉から中道を薬師岳に登るつもりでいたのだが、青木鉱泉へのゲートは12月から来年4月まで冬期閉鎖となっていたため、予定を変更し御座石鉱泉へと向かった。鳳凰三山のいずれかであれば良いので、躊躇することなくターゲットを地蔵ヶ岳に変更した。

 いつものように暖かい車内で朝食をとってから、おもむろに身支度を始める。外気温はマイナス
10度くらい。それでもすぐに汗をかくことになるのでアウターをザックにしまう。上半身は半袖の下着にミドル二枚の出で立ちだ。

 
645分に出発。駐車場のトイレ脇から登り始める。枯葉を踏みしめながらジグザグに。思ったより急坂で息が切れる。雪ははるか高みの沢筋に見えてはいるが、意外に少ない。この辺は強い西高東低の気圧配置になっても関東平野と同様、降雪には至らないようだ。盆地を挟んで北に対峙する八ヶ岳にはもっと積雪がある。裏日本に近い分、気象条件が少し異なっているのかも知れない。


               御座石鉱泉                                トイレ脇の登山口



          歩き出すとちょうど朝日がさしてきた                   雪は沢筋にうっすら見えるだけ


 尾根筋に出ると右手に八ヶ岳、背後には富士山が望めるようになった。しばらく急坂が連続するが、燕頭山から先は樹林帯のなか、緩やかな登りとなる。そのうち、地蔵ヶ岳のオベリスクや甲斐駒ケ岳がそのユニークな姿を現してきた。登山道の雪は標高
1500m辺りからチラホラと目に付くようになり、北斜面へ回り込んだ後は銀世界だ。これでようやく冬の山を歩いている実感が出てきた。


             八ヶ岳がすっきり見えている                          燕頭山



          燕頭山を越えるとフラットな道                      地蔵ヶ岳が意外に近く見える


 冬の山は静寂だ。自分の息遣いしか聞こえない。それに登山者も少ないのだ。こここまで行き会った登山者は単独1名とカップルの
3人だけ。下界は仕事納めで山どころでは無いのだろうが、おかげで大自然を貸切状態で静かな山歩きができる。

 登山道が北側斜面から次第に南側へと向かっていくにつれて、木々の間から陽が燦々と降り注ぐようになった。鳳凰小屋はその明るい日溜まりのなかにあった。冬期小屋の前のベンチの雪を払い、菓子パンのランチをとる。最近のお気に入りは甘いクリームたっぷりのやつ。凍らないし即エネルギーになるので良いのだ。口の周りをべとべとにしながら、アイゼンをどうするか考える。全般的に雪が少ないので不要かもしれない。しかし、この先は稜線にかけて勾配もきつくなるので、念のため装着しておくことにしよう。


              北斜面には雪が多い                          陽光降り注ぐ鳳凰小屋


 しばらく休憩した後、行動再開。そろそろ疎らになった樹林帯を抜けると、見覚えのある急坂のザレ場が登場。前回もここで苦労した記憶がある。花崗岩が崩れて砂状になっているので一歩進んでは半歩後退といった塩梅だった。今回は多少とは言え、クラストした雪が斜面に残っているし、アイゼンのおかげで後退はせずに済んだ。

 目の前に聳えていながら中々近寄って来なかったオベリスク基部にようやく到着。アイゼンを履いたまま、この鳳凰の嘴とも呼ばれる奇岩を攀じてみた。嘴の先端まであと僅かな所まで到達できたが、この先が手掛かり足掛かりが乏しくて厳しい。登りは何とかなっても、下りに苦労しそうだ。無理は禁物、潔くギブアップしましょう。

 オベリスク頂上近くまで来ても、残念なことに期待していた北岳の雄姿は赤抜沢ノ頭が邪魔をして全体像が拝めない。赤抜沢ノ頭を登ろうかとも思ったが、時計を見れば時刻は既に
12時半を回ろうとしている。冬の日暮れは早い。今回は諦めて下山することにした。


              頂上直下のザレ場                         オベリスク基部から甲斐駒ケ岳



赤抜ノ頭の向うに北岳



          割れ目のところまで行って断念                         観音岳と富士山



甲斐駒ケ岳の背後に北アルプス


 往路を忠実に辿って特記することもなく、午後
340分に御座石鉱泉に帰着した。車に鉱泉のフロントに寄るよう貼り紙があったので、何事かと早速鉱泉に出向く。出てきた女将曰く、三日前に入山したまま下山していない登山者がいるので情報を知りたいとのこと。道中何事も無かったし、鳳凰小屋の冬期小屋も覗き込んだりもしたが、それらしい形跡は無かったのでそう伝える。何とか無事であって欲しいものだ。


雲海上の富士山


行動時間  8時間55
歩行時間  8時間10


 
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