飯豊山  山形・新潟・福島県 2105m    百名山 
 

2011828

 百名山も残すところ13座となった。そのうち10座が東北の山である。そこで今年は東北百名山ツアーを集中的にやろうと心に決めていたのだが、その矢先に大震災が起きて、それどこではなくなってしまった。被災者のご苦労を尻目に山歩きを楽しむ気にならず、半年近くが過ぎたが、最近は激減した観光客を何とか呼び戻したいという流れになっている。そこで今回はまず比較的東京に近い飯豊山から歩くことにした。経済貢献の内に入らないかも知れないが、車内泊ではなくちゃんと地元の宿に泊まり、出来るだけ福島産品を買い求めるつもりだ。

 近いと言っても飯豊山の山頂は福島県を越えて山形県との県境に位置しているのだ。自宅から登山口の川入まで
350kmもある。夕食後3時間ほど仮眠し、日付が変わる前に自宅を後にした。寝不足でぼんやりする頭に活を入れつつハンドルを握り続け、登山口の御沢野営場には午前4時半に到着。多くの車が駐車しているが、人の気配はしない。どうやら皆さんは山の上にいるらしい。

 車の中で腹ごしらえをして
5時過ぎに駐車場を後にした。ゲートからしばらくは平坦な林道を行くが、天白布川を渡って登山道へ踏み込むと、すぐに本格的な登りが始まった。下、中、上十五里という標識が0.5kmきざみに出て来る。意味不明ではあるが良い目安にはなる。


          御沢のゲート                        ここから登山道



          0.5km毎の標識


 天候は今ひとつ、深いガスに覆われて遠望がきかない。時折薄日が差すので稜線は雲海の上に出ていることを期待しよう。
U字溝のような深くて窮屈な溝のなかを時には根っこに摑まりながら、高度を上げていく。風が通らないので蒸し暑い。額から汗が滴り落ちる。


        こうした道が延々と続く                   冴えない空模様

 笹平、横峰と過ぎて次第に稜線が近くなるが、相変わらず天気はぱっとしない。本日初めて出合った下山者曰く、上はガスが濃く、それに昨日は相当雨に降られたとのこと。今回は晴れに見放されたかと少し弱気になったが、それもつかの間。地蔵山との分岐を過ぎるころになると時折ガスが晴れて山並みが見えるようになってきた。眺望と活力はどうやら比例関係にあるようで、いかにも夏山らしい景色に元気をもらって足がよく動いてくれる。三日前の鋸岳がハードだったので疲労が抜けていないことを心配していたのが嘘のようだ。


      緑のトンネルを抜けると横峰だった               ガスが切れてきた



俄然やる気がでてきた


 やがて剣ヶ峰の岩稜に差し掛かった。朝露で濡れた岩場は滑りやすい。ストックを素手に替えて慎重に通過する。三国小屋は鉄製の頑丈なシェルターだ。避難小屋のような造りだが、
9月第一週までは管理人がいるらしい。三国岳からは尾根上の細かなアップダウンを数えきれないほど越えていく。


             剣ヶ峰                             三国小屋



       いかにも夏山らしい景色に感動              無数にも感じるピーク越え


 次から次にと下山者とすれ違う。やがて切合小屋が見えてきた。その先に見えている高みは
1908mのピークだろうか。ようやくこのピークに辿りついたと思うと一気に下る。百メールほども高度を下げた所が姥権現だ。白装束を纏ったちょっと薄気味の悪いお地蔵さんがある。その先少し行くと御秘所との標識が現れる。曰くありげな地名だが、岩稜があるだけで特に何があるわけでもない。


切合小屋が見えてきた



        切合小屋には沢山の登山客                 姥権現のお地蔵さん



           御秘所                           高度感のある岩場



雪渓がたっぷり残っている


 登るに連れて向かう先の頂に石垣が見えてきた。これは本山小屋のあるピークで、本当の飯豊山の頂はさらにその先にある。ガスの晴れ間から山頂とさらに北股岳方面も垣間見える。本山小屋から殆どフラットの稜線を辿り
1045分に頂に立った。ここまでの所要時間は5時間40分。

 山頂には新潟から来た青年が一人いた。彼は大日杉小屋から登ってきた由。特に危険個所も無い歩き易い道だったとのこと。日帰りピストン登山のベースとしては一つの選択肢か。但し東京方面からのアクセスには難がありそうだ。新潟の人は先に下山したので頂上を一人占め。ランチをとりながら雄大な景色を堪能する。


頂上は左側のピーク(右は本山小屋)



本山小屋から飯豊山へと向かう



 帰りの道のりも長いのでゆっくりしていられない。腰を上げて下山を開始。登り下りの多い稜線だが、山を下っているという実感が無い。高度計の数字があまり変化せず、チェックする度、がっかりする。思った以上にアップダウンのアップが多いのだ。剣ヶ峰を過ぎるとようやく一気に高度を下げていく。駐車場への帰着は
1530分。朝にはひしめくようにあった車は殆ど姿を消して駐車場は閑散としている。着替えを済ませて喜多方市内の宿へと向かった。


花は終盤だがまだ見事


 飯豊山は学生時代に一度登っているので今回は
2度目となる。どのコースを通ったのか記憶が定かではないが、登山口の沢の渡渉点に一人乗りの籠があって自分でロープを引いて対岸に渡ったことと、山を降りてバス待ちの間に頂いたビールと山菜のつまみが最高だったことだけは、鮮明に覚えている。いったいどこを歩いたのだろうか。


行動時間 10時間25
歩行時間 10時間


磐梯山へ続く

 


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