飯豊山から続く
2011年8月29日
昨日は喜多方駅に近いビジネスホテルに泊まった。震災の影響だろうか、それとも日曜日のせいだろうか、街に活気が感じられない。閑散とした大通りをぶらつき、土産物店で福島産品を購入、その後、喜多方ラーメンを食べてホテルに戻った。店の人曰く、風評被害が深刻で観光客が例年より激減しているとのことだ。私に何ができるわけでもないが、枯れ木も山の賑わい、次回は安達太良山と西吾妻山に来ようと心に決めた。
さて一夜明けて今日は磐梯山を目指す。この山への登山口はいくつもあるが、そのうちの最短コースである八方台から登ることにした。登山口の駐車場には車が2台だけ。まだ夏休み中だというのに寂しいものだ。5時40分に車を後にする。熊出没注意の立て看板があったので一応鈴を付けていくことにした。
閑散とした駐車場 八方台登山口
四駆の車なら登っていけそうな幅広い道を行く。30分も歩かないうちに廃屋が見えてきた。これが中の湯に違いない。辺りには強い硫黄の臭いが立ち込めている。しばらくすると裏磐梯登山口への分岐が出て来た。ここからやや勾配がきつくなり高度を稼いでいく。荒れた火口壁からは湯気が上がっている。眼下には桧原湖の眺めが印象的だ。
登山道というより林道 中の湯の廃墟
火口には湯気が 磐梯山が見えてきた
桧原湖
やがて弘法清水とお花畑経由弘法清水の分岐が現れた。迷うことなくお花畑経由を選択。朝露に濡れた笹をびっしょり濡れながらかき分けて進んでいくと、正面にいかにも存在感のある櫛ヶ峰が見えてきた。夏も終わりの今、辺りには草地が広がっているだけだが、初夏であればさぞかし花が見事なのだろう。火口壁にはロープが張ってあって近づけない。それにしても何と巨大な噴火口だろうか。1200年前には3000m級の山だった磐梯山が、その標高を半分近く失う大噴火だったらしい。そんな説明が納得できる眺めだ。
お花畑への分岐 火口壁を望む
花の少ないお花畑で残念 磐梯山へ向けて最後の登り
弘法清水から少し急になった登山道を一気に登っていく。途中で大荷物を背負ったカップルを追い越した。幕営するような山でも無いのにと訝しく思ったがその理由は後で判明する。7時35分、360度の大展望の頂に立った。目の前には猪苗代湖や合津若松の市街地が広がっている。残念ながら昨日登った飯豊山や西吾妻山、安達太良山など近くにあるはずの山々は雲の中だ。
先ほどのカップルは山頂に到着すると、おもむろにザックのなかから電子ピアノを出してセッティングを始めた。どうやらこれから山頂コンサートを行うらしい。静かな山が好きな人にとっては迷惑千万な話だ。私もその一人、騒がしくなる前にとさっさと下山することにした。
猪苗代湖をバックに山頂の祠 三角点
合津若松の市街地
山頂小屋 コンサートの準備をするカップル
弘法清水を過ぎた辺りから次から次にハイカーとすれ違うようになった。皆さんかなりの軽装で、運動靴は当たり前、なかには街中と見紛う格好で歩いている若い女性もいた。どうやら私の方が思い違いをしていたのかも知れない。コンサートがあっても不思議ではない、ここはお気軽なハイキングの山なのだ。駐車場に戻ると朝方が閑散ぶりが嘘のように車で一杯になっていた。帰る道すがら道の駅で福島産品を買い求め、さらに食堂で喜多方ラーメンの味をもう一度おさらいして帰途についた。
行動時間 6時間20分
歩行時間 5時間50分
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