武尊山BC               百名山
 


2017年3月12日(日)

 晴天確約のこの日曜日、群馬のKさんから武尊牧場スキー場を起点にした武尊山BCのお誘いを受けた。このスキー場は、3月末日をもって38年の歴史に幕を下ろす由。来シーズン以降はアプローチが遠くなるので、今回の機会はおそらく最初で最後となる。二つ返事で同行させてもらうことにしたのは言うまでもない。

 予報通り文句なしの快晴の下、朝一番のリフト2基を乗り継いでゲレンデトップへ。ここは富士山を望むことができるほど景観に恵まれたスキー場だ。スキー人口減少は時代の流れとは言え、閉鎖に至ったことが惜しまれる。


武尊牧場スキー場 右に富士山が見えているのだが残念ながら写真には写っていない


 午前8時40分、標高1460mからシール登行開始。スタートから暫くは視界が悪いと迷いそうな広々した森の散策だ。川場やオグナからのメジャールートとは異なり、積雪期にここから武尊山を目指す人は希少らしい。薄っすらとあったトレースはすぐに消えてしまい、ラッセルを強いられる。それでもせいぜい足首程度。Kさんとラッセルを交代しながらゆるゆると高度を上げて行く。


スキー場をスタート



緩やかに登って行く 中ノ岳が見えてきたが随分と遠い


 標高1600m辺りから少し斜度が増して山歩きらしくなってきた。高度差200mほどを登ると尾根は再びフラットになる。この辺りはオオシラビソの森だ。雪を纏った自然の造形物は、いつもながら我々の想像力をかきたて楽しませてくれる。この辺りに武尊避難小屋があるはずだが、完全に雪に埋もれているようで見当たらない。




雪のリスがいた


 ここからセビオス岳までの稜線は痩せている上、寄せる大波のように起伏が連なっている。この延々と続くアップダウン地獄は聞きしに勝る凄まじさだ。とにかくどえらく体力を消耗させられる。


アップダウンの続く稜線



同上


 中ノ岳が近くなると、眺望が開け家の串山から前武尊への稜線や、西俣沢の源頭部が一望の下になった。西俣沢源頭部にはすでにシュプールが3本ついているのを見た(バージンスノーフリーク?の)Kさんはガックリ。手垢のついたバーンは止めにして、この鞍部から西俣沢に降りることにしたいとのこと。このツアーに同行させて頂いている私としては勿論異存はない。


当初予定していたラインには先行シュプールが3本



アップダウンを越えて中ノ岳へ 右手には武尊山が見えてきた


  鞍部からは急峻な中ノ岳直下を避けて右にトラバース。こちらは北向きなのでフカフカのパウダーだが、氷化斜面も混じってきたのでクトーを装着。おかげで急斜面のトラバースでも危なげなく2回キックターンをしただけで稜線に出ることができた。すぐ目と鼻の先にある武尊山山頂は、信じられないほど大勢の登山者で賑わっている。


中ノ岳をトラバースする私



中ノ岳をトラバースするKさん



稜線まであと一息



武尊山山頂は満員御礼



剣ヶ峰


越後の山々一望



尾瀬の山々一望


 午後1時5分にその満員御礼状態の山頂に到着。薄く雲がかかっているのは残念だが、遮るものの無い360度の大展望は圧巻だった。山頂からは川場谷へと滑降したシュプールが2本残されている。一通り記念撮影をした後は、シールオフして我々も滑降開始。セビオス岳の鞍部までトラバースのラインより標高を落とさないように注意しながらギルランデ滑降する。


山頂から滑降するKさん



同 私


 鞍部からはいよいよ西俣沢に滑り込む。切り込み隊長のKさんは「モナカだーっ」と叫びながらも悪雪を切り裂き、華麗な小回りで沢床まで一気に滑り降りていった。次は私の番。悪雪を警戒して恐る恐る斜滑降を始めると、足下に亀裂が入りみるみる崩れだして落ちていった。ハードバーンの上に乗った新雪が私のスキーカットで厚さ20cmほどが雪崩たのだ。


西俣沢へドロップインするKさん



雪崩れた跡を滑り降りる私


 雪が落ち切ったのを見届け、斜滑降を続けると再び雪崩れ。この調子でいくといつまでも下にたどり着けない。こんな時は雪崩跡のハードバーンを滑り降りるしかない。3年前の金山沢での湿雪雪崩の悪夢が蘇ってきた。ともあれ何とか無事にこの剣呑な斜面を滑り降りることができた。デブリを近くで見るとかなりの量と厚みがある。半身でも埋まれば自力脱出は困難だろう。気温の上がる午後の南向き急斜面+新雪はやはり鬼門だったのだ。


やや重パウダーを楽しむ私



同上


 その後はモナカ交じりのパウダーを楽しみつつ、右岸沿いにどんどん高度を下げていく。標高1510m辺りで沢筋から離れ再びシール登行。疲れが出てきて中々足が上がらない私を尻目にKさんは快調そのものだ。こんな時は一回り以上違う年齢差を否が応でも感じてしまう。


右岸を降りていく



同上



正面の小尾根の鞍部を越えていく


 西俣沢の右岸を下降していくと左岸に林道が見えてきた。標高1190mで右岸に渡った林道に合流。後は自動運転でスキー場に戻った。ちょっとスリリングな堰堤を越えて本日のツアーは無事終了。


堰堤を渡るKさん


 大展望、変化に富んだツアーコース、加えてあわや雪崩の餌食とイベントも盛り沢山で忘れ難いBCとなった。今回もお世話になったKさんに深謝です。


行動時間  7時間50分(リフト乗車時間含む)


追記

 先週西吾妻山で不調となったGPSは代理店で最新版のファームウェアに更新してもらった結果、不具合はすっかり解消した。もしハード障害だったら長期入院。そうならなくて良かった。

  
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