東谷山BC               
 


2013年2月26日(火)


 厳しい寒気が日本列島を覆って北日本や北陸、上越方面はかなりの積雪量らしい。しかしこの寒気も長くは続かないだろう。雪国の方々には申し訳ないが厳寒が名残惜しくもある。3月に入るとどんどん暖かくなってしまうので、そろそろパウダースノーを楽しむ最後のチャンスかも知れない。

 例によって好天のタイミングを狙って、先週の鍋倉山同様、お手軽で人気のパウダースポット、東谷山詣でに行くことにした。予定のコースは二居集落から登り、二居峠、山頂経由、北西斜面を滑り降りて貝掛温泉へ下山、バスで二居へ戻るというもの。しかし、当日の早朝、国道
17号線を走りながら下山予定のヘアピンカーブ辺りを下見すると、山側に除雪車が切り取った高さ数メートルを越える雪壁が連続している。まるで切り立った崖のようで、とても道路に降りられたものではない。

 スタート前から計画修正ということになりそうだ。スキー滑降の後、二居峠に登り返す周回コースにしないとダメかな等、つらつら考えながら午前
7時に目的地の二居集落に到着。住民は昨晩の雪の除雪真っ最中で、駐車スペースを探すどころではない。仕方なく道路反対側の田代スキー場の片隅に車を置かせてもらった。

 
7時半にスキーを担いで出発。二居峠への林道と思しき方向へ進むが、どこも雪の壁だらけで登山口がよくわからない。ふと目をやると中越森林管理事務所脇の吹溜まりなら越えられそうだ。さらさらの雪を掻き分けて旧二居スキー場ゲレンデに出た。


         二居スキー場跡をハイクアップ                      送電線鉄塔を目指して登って行く


 ここから眺めるとランドマークの送電線鉄塔が意外に近く見える。二居峠をパスしてゲレンデから続く小尾根経由、鉄塔に直接登りあげてしまおうとまたもやイージーに計画を変更、ゲレンデ跡の雪原を膝ラッセルで進む。元々スキー場だっただけにとても美味しそうな斜面だ。ノートラックのパウダースノー滑降の誘惑を振り切ってゲレンデ最上部に着いた。

 ここから小尾根に取り付く。下から観察したよりも尾根は狭くて急であり、何度も小刻みな切り返しを強いられた。いよいよ鉄塔直下まで来たところで、背丈を大きく越える雪庇に行く手を阻まれた。仕方なく比較的壁が低い個所を狙って雪かき開始。全身雪まみれになって雪庇を切り崩し、這い上がるようにしてようやく主稜線に立つことができた。


            狭くて急な小尾根を登る                           行く手を阻む雪庇



              切り崩した雪庇                                 送電線直下


 主稜線には二居峠方面から続くトレースが一本。どうやら今日は一人きりではないらしい。ここからはラッセルせずに済むので登行が格段に楽になった。


連続する雪庇


 トレースは雪庇が連続する尾根筋を避けて樹林帯を抜けていく。クラスト気味の斜面が出ていたので、クトーを装着。急斜面だが、雪面が締まって歩きやすくなった。ジグを切りながらどんどん高度を上げて行く。勾配が緩み無木立の斜面に出ると頂は指呼の距離。


      ヒドンツリーホールにハマって脱出に一苦労                  雪が締まって歩きやすくなった


             傾斜が緩み山頂近し                                あと一息           


 
4時間10分かけて360度大パノラマのピークに立った。ここで休憩していた若いスキーヤーにラッセルの感謝を伝えた。群馬の方で今日は北西斜面を滑って二居峠に登り返すとのこと。まさに渡りに舟で心強い。栄養補給しながらすっかり晴れ渡った空の下、大展望を思う存分堪能した。


仙ノ倉岳、平標山方面



苗場山方面



東側のピーク(こちらの方が若干標高が高いが三角点は撮影地にある)


 一足先に滑り降りた群馬氏を見送った後、ぼちぼち私も滑降の準備を開始する。正午きっかりにお楽しみスタート。傾斜の緩い山頂付近からゆるゆるとブナの疎林に突入すると、斜度が増してぐんと加速。どんどん落ちて行く。気持ちの良い天然のゲレンデがどこまでも続くようだ。


          山頂から北西斜面に向かう                              こんな斜面が続く




 陽の差すことのない北西斜面にたっぷり積もった底付きしないふかふかの雪。パウダースノーのスプレーを体中に浴びながら標高差
500mをあっという間に滑り降りた。無雪期藪山の東谷山は、ひとたび雪が積もれば正に山スキーヤーのための山と評した人がいたけれど、偽りも誇張も無かった。掛け値なしに素晴らしいの一言。

 傾斜が緩むとそこは密度の濃い樹林帯。木々の間を縫うようにして先行者のトレースも使わせてもらいながら左方向へとトラバースして行く。標高
850mで滑降は終了。ここで再びシールを貼ってハイクアップ開始。一つ目の尾根に登り上げたところで再びシールを外して滑降。日当たりの良い南向きの斜面はすっかり雪が腐って板が回らない。さっきのパウダーが嘘のようだ。


           そろそろ藪が濃くなり                              左へトラバース開始 


 
100m近く下ってからまたもやシール登行を再開。群馬の方の御蔭でラッセルせずに済むので本当に助かった。ようやく二居峠に着いて後は消化試合、眼下の二居集落に向けてほぼ夏道通りに滑り降りた。


           二居峠へ向けて登り返す                      二居峠のあずま屋は雪に埋もれそう


 少し影の長くなった午後
3時、田代スキー場の駐車場に帰着。稚拙なルート取り等、反省点多々あったものの、最高の天然ゲレンデと天気に恵まれて今回も山スキーを思う存分に楽しむことができた。

行動時間 7時間40

  
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