鍋倉山BC               
 


2013
2月17日(日)


 鍋倉山は山スキー屋にとってすこぶる人気の山らしい。標高はさほど高くなく、里山に近い感覚で登れ、美しいブナの疎林のツリーランが楽しめるのだそう。ネットの投稿を見えていると、この山にすっかり魅せられてレピーターになる人も少なくないようだ。

 ちょっと東京から遠いので二の足を踏んでいたが、老い先短い我が身、ぐずぐずしていればその内足腰が立たなくなってしまう。四の五の言わずに
Goしようと、例によって天気図と睨めっこ。冬型の緩むタイミングを狙って自宅を後にした。

 午前
7時半に温井集落の除雪最終ポイントに到着。ネットで見慣れた茶色の建物前には先着の車が数台。さすがに人気の山だ。車中で支度をしている間に5名パーティが出発していった。

 8
10分、私もハイクアップを開始。粉雪が舞っているものの、見通しもあり、空も明るくなってきたので天候回復は時間の問題だろう。これまたネットで有名な水道の施設小屋は、押しつぶされるのではないかと心配になるほど、こんもりと雪が積もっていた。


          先に出発する5名パーティ                            さすが豪雪地帯


 林道と思しきスロープを登って行くと、広い雪原に出た。この先には首都大学小屋の三角屋根が見える。事前の計画ではこの辺りから尾根に取り付くつもりだったが、トレースは右の林道を登ってひたすら雪原へと伸びている。私はいつもの軟弱ぶりを発揮して辛い一人ラッセルよりも楽な方を選択、人様のトレースを追従することにした。


       深い雪に埋もれた林道と思しきスロープを行く             田茂木池近くの雪原(上の黒いのは指)



             先行パーティのしんがり                          山並みがかなりクリアに


 ほどなく先発の
5名パーティに追いついたので先に進ませて頂く。その先には二人パーティが見えた。標高900m辺りから雪原を離れて山腹を直登するようになった。かなりの急斜面で私のシール歩行技術ではぎりぎりのところ。二人組のうちの一人が私同様、シールが滑って相当に難儀している。

 彼を追い抜きがてら私は先行者の直登トレースを離れてもっと楽な勾配でジグを切ることにした。マイペースのルート取りで少し楽になったので周囲を見渡す余裕も。左手にずっと見えているブナの疎林が広がるスロープがいかにも美味しそうだ。


             先を行く二人パーティ                         気持ちよさそうなスロープ


 急斜面が一段落したところで、休憩中のもう一人に追いついた。何と私と同じ
DPSの板に同じPomocaのシールを使っているではないか。これでシール歩行の巧拙を道具のせいと言い逃れする訳にはいかなくなった。要は腕前、足前の問題ということだ。

 進行方向にはスノーシューのトレースのみ。同氏曰くこのトレースの持ち主は既に尾根筋を下山したらしい。お先に失礼して休まずにハイクアップを続ける。

 周囲にはブナの巨木が立ち並び、おとぎの国に迷い込んだかのよう。霧氷に包まれた、青空にキラキと輝くブナの枝が形容できないほど美しい。



幻想的なブナの森(トレースはスノーシュー)



 10
40分に山頂に到着。取り敢えず独り占めの頂きだ。火打、妙高など頚城三山や黒姫、高妻などの眺望が素晴らしい。風も無い穏やかな山頂で絶景をのんびり楽しんでいると、追い抜いた人達とは別のスキーヤーが登ってきた。私が断念した尾根筋から来た由。話を聞けばこの山には相当に精通されているらしい。お勧めのスロープを尋ねると、どこを滑っても楽しいが、特に北斜面が最高とのこと。いつも登り返して二三本滑るとか。彼はテキパキとシールを剥がしてその北斜面に向かって行った。


         まるで繊細なガラス細工のよう                          山頂まであと一息



妙高、火打、黒姫、高妻等々、北信の名山が勢ぞろい


 時刻はまだ
11時前だし、私もトライしてみることにした。ブナの疎林目掛けて斜面に飛び込む。宇宙遊泳、自由落下とか色々表現されている通りのパウダースキー。板が小気味よく浮いてくれて会心の滑り。200mの高度差を一気に滑り降りてしまった。

 ここで先ほどのベテラン氏と再び合流。曰くスキーヤーズライト方向に向かってトラバース気味に行けば簡単に下山できる由。彼は再びシールを貼って颯爽と登り返していった。あまりに楽しかったので、このまま下山するのは惜しいと私も再び山頂を目指すことに。


北斜面を登り返す



          登り返した北斜面を振り返る                      いつの間にか山頂は一で一杯


 暫く登っていくと上から歓声を上げて
3人のスキーヤーが降りてきた。二度目の山頂は大勢のスキーヤーがひしめいていてびっくり。休日、かつ天気も良くて人気の山となれば、自然の流れか。まだ12時前だが、流石にもう一度という元気は無いので、素直に下山することにした。

 帰路はもともと登行する予定にしていた尾根伝いを滑っていく。陽のあたる東面のせいか、先ほどの北面と比較すると雪が重いが、それでも十分に快適だ。温井の集落へ向けて真っ直ぐに降りていく。


               尾根伝いに滑る



快適なスロープ



雪原に向かって最後のお楽しみ


 急斜面を滑り降りると先ほどの雪原に出た。斜度が無いので固く踏まれたトレースに乗って行く。
茂木池先の三角屋根の山小屋脇を通り、一滑りで出発点に戻った。満足感で一杯。いい意味で予想を遥かに超えた素晴らしい山だった。これで私も間違いなくレピーターの仲間入りだ。


                首都大学小屋                            ボブスレー状態で戻る



行動時間  4時間40

  
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