2821m 長野・富山県 | |
2013年8月19日(月) 一日目より 夜中に一度トイレに起きた際に空を見上げると満天の星だ。オリオンなど冬の星座もあって季節の移り変わりの早さを実感する。暗闇のなか山小屋まで岩だらけの急坂を降っていくのが面倒なので、前回味をしめた(ちょっとグロい表現ですが)、ピーボトルのお世話になった。 午前3時に起床。傾斜地ながら谷側にザックを置いて体のずり下がりをブロックしたのが功奏したのか、ぐっすり安眠できた。しっかり朝食をとってからテントの撤収開始。ザックのパッキングを終えてから改めて山小屋のトイレを借りに行く。 まだ薄暗い4時40分にテント場を後にした。蓮華岳への登路にはヘッドライトの明かりが見える。早くも蓮華の大下りへ向かいつつあるライトもあるが、一体何時に出発したパーティなのだろうか。 針ノ木峠から針ノ木岳へはいきなりの急登から始まる。息を弾ませながら登っていくと東の空が次第に赤みを帯び、それが見る見る輝きを増して日の出を迎えた。針ノ木岳山頂には5時30分に到着。
針ノ木岳の山頂は360度の大展望でいつ来ても素晴らしい。しかし、今日の行程は長丁場。余り長居をすることもなく、マヤクボ沢の源頭へ向けて降り始める。昨年はスキー板を背負ってここを降ろうとしたが、浮石だらけの岩稜と急峻な雪渓のトラバースに阻まれて断念した経緯がある。夏道はその雪渓の方角についていた。夏は夏で不安定なガレ場なので細心の注意を払って通過する。
この難所を終えてやれやれと一息ついていると、大きなザックを背負った学生3人組が追いついてきた。この連中はロッジくろよんからスタートして南へと周回し今度は北上中。何と山中9日目とか。彼らとはしばらく抜きつ抜かれつしながら種池小屋まで一緒に歩むことになる。 スバリ岳に向かう途中の痩せ尾根で今年5月のドロップポイントをみつけた。ここも先ほどの頂上直下のルンゼ同様、恐ろしい程の急斜面だ。それにしてもスキーとは不思議な乗り物。板を履いてお立ち台に立つとアドレナリンが大量に放出されて恐怖心がマヒするらしい。
痩せた稜線を歩き続け6時15分にスバリ岳に着いた。ここは今年一度頂に立っているのであっさりと通過、次のマイルストーンの赤沢岳へと向かう。
7時35分に赤沢岳山頂に到着。日本百高山95番目の頂きだ。目の前に屏風のようにそそり立つ立山連峰と剣岳の大パノラマ、眼下には黒部湖の絶景を眺めながら小休止。
ここで休憩中のご夫妻は新越山荘から来られたとか。昨晩の小屋はガラガラだった由。この新越山荘が視界に入ってからが長い。痩せた稜線の激下りがあったりして意外に時間がかかった。新越山荘は北アルプスにしては小ぢんまりしている。お花畑に囲まれてとても居心地の良さそうだ。
この辺りまで来るとゴツゴツした山容は次第に女性的になってきた。アップダウンも緩やかだが、時間は9時を回り強い日差しにいかんせん暑くてかなわない。岩小屋沢岳の登りで大汗をかいてしまった。
しばらく緩やかに下ったり登ったりをしながら10日ぶりの種池山荘に到着。ここでランチタイムの大休止。今日の行程はもう終わったような気がしてついビールに手が伸びてしまった。 半時間ほど休んで下山開始。前回登ってきた際には特に苦しい思いもせず、さっくり種池山荘についてしまった記憶があるが、下りはそうもいかなかった。長い周回の疲れと暑さのためか、歩き易い下りなのに、右手に見えている扇沢のターミナルがなかなか近づいてこない。 それでも何とか標高1500mを切る辺りまで下山してやれやれと思ったところで、すれ違った青年から「もう半分ほど来ましたか」と聞かれ耳を疑う。冗談かと思い「海抜ゼロからならそうですが」と言いかけたが、本人は大まじめ。気の毒なので「残りは3/4、後2時間頑張れば山荘に着きますよ」と励ましておいた。神社の裏山感覚で北アルプスを登る人がいるとは恐れ入りました。陽のある内に辿りついでいれば良いのだけれど。。。 それからほどなく登山口に到着。コースタイム通りの2時間30分かかってしまった。すぐにザックをデポし、貴重品だけ持って扇沢の駐車場へと向かう。車をピックアップしてザックを回収、そのまま前回同様、薬師温泉へと直行した。 行動時間 9時間25分 |