五竜岳  富山・長野県 2814m       百名山 


201197

第一日目

 五竜岳は、私にとって北アルプスに残った最後の百名山だ。最短のアプローチは遠見尾根だが、麓のテレキャビンの運行開始時間が815分と遅い。日帰りを目論んで、山頂を踏んですぐに引き返せば、ロープウェイの終了時刻にはぎりぎり間に合うかもしれない。或いは朝早く麓から登る手もある。しかし、それでは如何にも慌ただしいし、それ程の根性も持ち合わせていない。そこで今回は、五竜岳から北上して唐松岳、白馬岳、それに雪倉岳をまで、北アルプス北部を二泊三日で縦走することにした。

 午前
2時に自宅を出発、制限速度をきっちり守って走行する。それでも十分な余裕を持ってテレキャビン乗り場に着くことが出来た。当初ここの駐車場に車を置いていくつもりであったが、実際に走ってみて白馬大池駅からは結構な登り坂であることがわかった。一旦下山後に駅からまた登っていくのはしんどいだろうと、白馬大池駅最寄りの道の駅白馬に車をとめることにした。そこでまさかのハプニング。トイレに入ろうとして入口の段差に躓いて転んでしまったのだ。もともと痛めていた左膝を強打。格好も悪いが、幸先悪いことこの上ない。痛む膝をかばいながら再びロープウェイ乗り場まで歩いて行く。少し痛むが大丈夫そうだ。


        白馬五竜スキー場への道                    テレキャビン駅


 登山計画書を提出した後、駅周辺をうろついていると、同年輩の方に声をかけられた。今回の山行で五竜岳と鹿島槍岳の
2座をクリアして99座の百名山踏破になる由。大きなザックにテント装備を担いで歩く根性には脱帽だ。話の成り行きから私のHPのサイト名を紹介したが、見ていただけるかどうか。

 テレキャビンのゴンドラは
10分足らずで標高1530mのアルプス平まで運んでくれる。眼下にはメンテナンス用と思われる相当な勾配の車道が見える。歩いて登ればゆうに2時間はかかるだろう。今日は平日なので機械任せはアルプス平まで。週末はアルプス展望リフトでさらに高度を稼げるようだ。

 かんかん照りの日差しのなかを歩き始めた。しばらくはリフト沿いに登っていく。山は既に秋モードに入っているらしく木道沿いのお花畑に花が殆ど見られないのが残念だ。この植物園には200種類以上百万株の高山植物が管理されているとか、時期を選べば高山の花々がさぞかし見事だろう。


      リフト沿いを歩く              植物園には花は無し

 素晴らしい青空の下、振り返ると妙高、戸隠方面の山々や大糸線沿線の市街地が、くっきりと見えている。小遠見山が近づくにつれて後立山連峰の大パノラマが広がってきた。この位置からだと鹿島槍は南峰と北峰が重なって一つの山に見える。これから目指す五竜岳の山頂付近にはガスがかかっているのが気がかりだ。


妙高方面もくっきり



五竜岳山頂は雲のなか



             小遠見山                            中遠見山

 中遠見山、大遠見山と小さなアップダウンを繰り返しながら、路は白岳へと突き上げている尾根に差し掛かった。この区間が遠見尾根で最も急峻かもしれない。眼前の五竜岳の頂は相変わらず雲のなかだ。ひと頑張りで白岳に到着。ここから少し下ったところに五竜山荘がある。


        大遠見を過ぎると稜線は目前                 ど迫力に感動



          白岳への登り          



鹿島槍の双耳峰がくっきりと



白岳から五竜岳(左下に五竜山荘が見える)

 山荘前のベンチで腹ごしらえをした。さて今日の宿はどうしたものか。時は既に正午を回っている。結論を先延ばししたまま、取り敢えず五竜岳の山頂を空荷でピストンすることにした。カメラとGPSだけ持っていくこととする。険しい岩場もあるが40分足らずで頂に立つことができた。アルプス平から4時間15分。これで90座目の百名山制覇だ。若かりし頃にもこの山だけは登った記憶が無いので私にとって大事な処女峰。気がかりは天気だが、どうやらすっかり晴れ男が板に着いてきたらしい。先ほどまで山頂にかかっていたガスがどんどん薄くなってきたのだ。おかげで山頂からの素晴らしい展望を堪能することができた。


      百名山90座目の山頂             五竜山荘を振り返る


剣岳と立山連峰



二つの槍(鹿島槍と槍ケ岳)



手前は唐松岳、白馬岳は雲の中


 間近に見えるは見事な双耳峰の鹿島槍岳。圧巻は黒部川の向こうに聳える剣岳とそれに連なる立山連峰だ。しばらく頂を一人占めしていたが、トレラン姿の若者が登ってきた。今日は日帰りとのこと。さて私はどうしたものか。まだ体力には余裕があるので、当初の計画通り唐松岳まで足を伸ばすことが出来るが、時刻は既に午後
1時を過ぎている。結論を先延ばしにしたまま下山開始。登りと同じ時間をかけて慎重に下る。五竜山荘に着いたところで腹を決めた。山は早立ち早着きが原則、明日は出来るだけ早く出発することにして今日はここに泊まろう。


             五竜山荘                         明日の晴天に期待


 受付を済ませて割り当てられた蚕棚上段へと足を運ぶ。相部屋になったのは皆さん、私と同年輩の人達だ。しばらく彼らと楽しい山談義をして過ごす。夕食の後、部屋に戻り、うとうとしていると夕焼けがきれいだぞと声をかけられた。カメラを持って外に出るが、気温が随分下がって寒い。これなら明日はきっと晴れるだろう。


行動時間 5時間20
歩行時間 5時間

二日目(唐松岳)へと続く

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