2012年10月16日
2年前の春に登った越後駒ケ岳から眺めた残雪の荒沢岳は、とても凛々しく美しかった。いつかその頂きを踏みたいと思い続けてきたが、紅葉真っ盛りの最高の季節に念願を果たすことができた。
いつものように夜半に自宅を出発。前の晩は来客があって殆どまともな睡眠がとれなかったため流石に眠い。運転が覚束なくなる前にと、関越の赤城高原SAでしばらく仮眠をとった。
登山口の銀山平には6時半ごろに到着。平日にも関わらず既に数台の車がとまっていた。6時55分、身支度を整えて出発。準備運動の暇があればこそ、いきなり遠慮会釈のない急登だ。ほぼ同じタイミングで中年カップルが歩き出したが、この急登をものともせず、のっけからハイペースだ。とてもついていけないので先に行って頂く。暫くウオーミングアップするうちに私の方も調子が出て来た。休憩中のお二人を追い越してどんどん高度を上げる。
登山口の洒落たトイレ 登山者カードのポスト
まだガスっているが晴天確実 紅葉もちらほら
奥只見湖が眼下に展望できるようになるとそろそろ前山。フラットな尾根筋に出ると右手に紅葉した木々の間から越後駒ヶ岳が見えてきた。正面には前嵓らしき険しいピークが聳えている。
越後駒ヶ岳がチラチラと 前に見えるは前嵓
やや下り加減の登山道を進んでいくと「これより岩場注意」と書かれた案内板が木にくぐり付けられてい。いよいよ今日のコースの核心部だ。噂に違わず、本当にここから鎖のオンパレードになった。ただ、妙義山などの鎖場とは違って腕力に頼らねばどうにも登降できないようないやらしい個所はない。岩場にはしっかりしたスタンスがあるし、雨が降ったりして岩が濡れていたら話は別だろうが、基本的には脚力主体で登って行ける。とは言え、チキンハートの私は片手は常に鎖を離すことは無かったのだが。
岩場注意の案内 北側なので日が差さないが、、、
鎖地獄の上は天国
鋸状の前嵓の岩壁は圧巻で、一体全体どこを登るのかと訝しく思うほど。ここにルートを開拓した先人は大したものだ。一旦左側にトラバースしてからルンゼ状の岩場を直登するようになっている。
前嵓の岩壁
数え切れないほどの鎖に命を託して夢中で攀じ登り、前嵓の頂きに立った。ここから荒沢岳方面を眺めると、痩尾根にうねうねと道が山頂に向かって伸びている。
岩場を攀じて行く
鎖場が終わるとしばらくは尾根歩き
この辺りでようやく先行していたハイカーをキャッチアップできた。休憩中のご夫婦や女性パーティなど数パーティに追いつき道を譲っていただいた。
カラフルな谷間 登りの辛さが吹き飛ぶ
山頂までもう一息
9時50分、登山口から2時間55分にて荒沢岳の頂きに立った。山頂には私と同年代の男性二人組が休んでいた。彼らはこれから兎岳を経て中ノ岳の避難小屋まで縦走するとの由。私の持っている2009年版の山と高原地図には何も記されていないルートだが、数年前に尾根筋に登山道が切り開かれたようだ。
余談だが、帰宅後調べると2012年版は改訂されていて実線で標準CTまで記されているとのこと。ちなみに後から登ってきた方の30年前の地図を見せて頂くと点線のルートとなっていた。どうやら古くからある縦走路らしい。
山頂からのパノラマは文句なしに素晴らしい。越後三山はもとより平ガ岳、燧ヶ岳など日光方面、さらにはミニチュアサイズの富士山まで遠望できた。
立派な山頂標識 続々とハイカーが登ってきた
紅葉と秋の空
中ノ岳へと続く縦走路
燧ヶ岳方面を望む
夢中になってあちこちにカメラを向けているうちに追い抜いた人達がぞくぞく到着してきた。狭い山頂がかなり賑やかになってきた。あまり長居をしても迷惑か。
山頂には20分ほど滞在したのみでそろそろ下山にかかる。怪我をしないようにゆっくり慎重に下る。結局登りと同じ時間をかけて登山口に帰着した。
秋晴れの下、素晴らしい展望に恵まれ、鎖場のアスレチックあり、紅葉ありの最高の山歩きができた。事前にもう少しよく調べておけば中ノ岳、越後駒ヶ岳を経由する周回コースへのチャレンジもあったかも知れない。これは次回の楽しみにとっておこう。
行動時間 6時間30分
歩行時間 5時間50分
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