赤岩岳  大天井岳  2769m、2921m 長野県     二百名山  
 

一日目

2015929日(火)

 昨夜は長丁場の疲れからぐっすり安眠、、、のはずだったが、残念ながら全くその逆の結果だった。ヒュッテ西岳のその日の泊まり客は、台湾のツアー客20名、日本人客6名。夕食後は、スポットライトのようなスーパームーンを鑑賞したり、山談義を楽しんだりしてくつろぎ、消灯前に就寝スペースへと向かった。そこには午後8時の消灯を待たずして早々就寝した男が一人。凄まじい大鼾をかいている。

 台湾の方々の名誉のために敢えて言うが、この騒音源は日本人。今まで何度も山小屋に泊ったが、これまで経験したことの無いギネス級の強烈な鼾。これが間断なく起床時間まで続いたのだからかなわない。朝になって寝不足顔の騒音被害者の一人は、騒音源からその日の宿泊予定をしつこく聞きだそうとしている。同じ小屋には絶対泊りたくないと言う下心が見え見えで思わず笑ってしまった。

 朝食後、午前
525分にヒュッテを後にした。宿泊者26名中、大天井岳方面に向かうのは私だけだ。GPSを時折チェックして赤岩岳を通り過ぎないように気をつける。山頂直下まで来たところでルートを観察するがハイマツに隠れて山頂付近の様子は良く分からない。


          このガレ場の右端を登った            振り返ると結構な高度感


 適当に検討を付け、足場の悪いガレ場の際を草木やハイマツを手掛かりにして登って行く。山頂直下の急斜面は完全にハイマツに覆われていた。前日の悪夢の再来だ。再び密生したハイマツの枝との格闘。幸い大した距離ではないのですぐに登り切ることができた。


赤岩岳山頂(南峰より))


 登りついた先はピークの一つではあるものの、三角点は見当たら無い。目と鼻の先にある北側のピークがどうやら本命らしい。そこへ至るルートを探ってみたが、急峻な岩場で手掛かり足掛かりに乏しい。岩もかなり脆そうだ。無理すれば登頂できるだろうが、万一事故でも起こせばつまらぬ無謀さを非難されるだけ。百高山は所詮自己満足の話でもあり、南側ピークをもって赤岩岳を終えたことにして潔く引き返す。ガレ場を下って登山道に復帰するまで
30分ほどの寄り道だった。


山頂より眺める大天井岳



縦走路より赤岩岳(私が立ったのはおそらく左側のピーク)


 再び縦走路に戻り、今度は大天井岳へと向かう。
4年前の初登頂時は天気に恵まれなかったので快晴の今日はどうしても登っておきたい。前日の疲れが残って足取りは重いが、ちょうど一緒になった若い女性の手前、見栄の老人力を振り絞って一足先に登頂。360度、遮るもの無しの眺望だ。



燕岳へと続く縦走路 黒部湖が僅かに見えている


 景色を十二分に堪能できたので帰路に就く。表銀座との分岐点まで戻る間、数多くのハイカーとすれ違った。時間的に見て燕山荘を発ってきた人達なのだろう。もう何度シャッターを押したかわからない峰々、紅葉、黄葉に飽くことなくカメラを向け、燕山荘への長い道程を歩く。



燕山荘までもうひと頑張り


 大下りの逆は大登り。その後もダラダラと高度を上げて燕山荘に到着。雄大な景色を眺めながら小休止した後はもう思い残すこと無し。今年雪の無い北アルプスは、おそらくこれが見納めだろう。錦秋の山々に別れを告げ、一路中房を目指して下山を開始したのだった。


行動時間  
8時間20


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